町の適当な観光案内
深夜、こちらに向かっている視線が消えたような気がしたかと思うと再び別方向から気配がしたかと思うといきなり腹部にナイフが振り下ろされた。
「姫様から使いでまいりました」
「物騒すぎない?」
もし刺すと同時にそれを言わなければその人を返り討ちにしていたかもしれない。
「その、姫様が(黒髪の方はそれくらいした方が信じてくれるわ)だそうで……」
「声マネがお上手な事で、確かに信じるしかないようで、それで何の用事で?」
「はい、ユウキ様がいるこの町におそらく目標の組織があると思われます」
「ほう……」
「私達も捜索しているのですがあと一歩の所で逃しておりまして……」
「おおよその位置は掴めてる?」
「いえ、それもつかめておりません、複数の箇所で追い詰めているのですがどうにも……」
「それって地下とか無いかな?」
「……地下ですか、それは確かに十分あり得ますね、ちょっとその辺含めて捜索してみますね」
声の主は少し元気になったようでどこかへ行ってしまった。
「……寝よ」
「よっ、よく眠れたか?」
「おはようございます、紹介してもらった宿はすごくよかったです」
「そうか、そりゃあよかった、じゃあ今日もよろしくな」
「はい、よろしくお願いしますね」
「おう、まかせとけ」
目標がこの町にあるとの事なのでチェックアウトはせずにレビィスさんについていく。
町の建物はレンガ造りの建物が大半でたまに木造の建物がある、ほとんどの建物が高くても2階建てでそれより高い建物は装飾が多く特別な物しかないのだろうか。
また同じような見た目の建物が続いているので土地勘が無いとすぐに迷ってしまいそうだ、お店の看板やのぼりも同じようなデザインや色合いが多いので2,3日程度では覚えられそうにない。
そのせいで進んでいるのか戻っているのか分からなくなってしまう、宿の場所は荷物と一緒にユウキの一部を置いてきたので宿の場所だけならなんとか判別できる。
「まずはここかな、入る事はできないけど教会だ、ウチらの軍とギルドと仲が悪くてな、特別な用事とか許可がないかぎり入れないんだわ、でも外見だけみればなかなかに豪華で一応名所にしても良いと思っている」
「ほえ~」
外から教会を除くとこちらを睨んでいるような視線がいくつかあり、あまり長居はしたくない。
「もう移動しましょうか」
「まぁそうだな、歓迎されてないみたいだしな」
それからいくつかの公共施設や個人の目立つような建物などが紹介された。
「……案内している私が言うのもなんだが楽しめているか?」
「ええ、他の国の景観を見るのは楽しいですよ」
「それならいいけどさ……」
地元の観光名所とかって特別感ないですよね。




