強襲
こちらに向かってくるワイバーンを見たマキナは驚きのあまり悲鳴を上げる。
「まったく空気の読めない奴ですね~」
対してユウキは驚くことはなく、いきなりの訪問者に怒りを覚える。
拳に炎をイメージしながら力を込めてみると拳を覆うように炎が勢いよく吹き出す。思った以上に火力があって驚いたが自身が熱くないと気づき、拳の炎の勢いを上げ、小さくしていく。
炎の大きさが拳の倍ほどの大きさになりワイバーンにぶつけようとした時、ワイバーンとは別方向から高速で近づいてくる気配があった。
「私は命令する、全てを飲み込む力を加速させ前方の敵を喰らい尽くせ!」
高速で飛んでくる針のような攻撃がワイバーンを狙っているのを確認し拳の炎を納める、小さな子供が拳に炎を貯めていれば怪しまれてしまいそうなので早めに鎮火しておく。
高速で飛翔する攻撃がワイバーンに命中しそこから膨大な枝や幹が伸びワイバーンを飲み込んでいく。
枝が完全にワイバーンを飲み込みきると、初めはもがいて抵抗していたものの徐々に動きが鈍くなり動かなくなった。
「大丈夫か君たち!」
ワイバーンを倒した人が駆けつけて来た、声からして女性のようだ。
「あ…」
ユウキは完全に油断していた、炎は完全に鎮火できていたものの未だに拳からは煙が出ており、それを誤魔化す事ができたとしても、今の姿は5歳位の女の子でさっき息絶えたワイバーンに似ている翼と後ろに伸びた角が生えているのだ。
服装は捨てられた時に身につけていたドレスから余分な装飾品を引きちぎって着ているためかなりボロボロに見える、さらにマキナには翼は無いものの、頭には角が4本生えている16才位の少女で、そしてなにより服などを一切身に着けていないのである。
「あ、はい大丈夫です…」
ユウキ達を見た女性はしばらく固まっており、ゆっくりと後ろに倒れた。
「…は、私は一体…」
「あの~大丈夫ですか?」
女性は上半身をゆっくり起こしユウキ達を眺める。
「君達は一体何者なんだ?」
ユウキ達を見る視線は厳しいが少女が2人なのもあって敵意そのものがない。
「私達は…多分、龍人かなぁ?」
「どういうことだ、龍人なんて人種は聞いた事がないぞ……、しかしそんな生え方をしている角がある種類は見たことがない…」
「…えーとですねぇ」
ユウキは特に隠す理由が無いと判断して、親に捨てられてから今までの経緯をなるべく丁寧に話し始める。
「俄かには信じられない事がいくつかあるな…」
「そう言われてもここにあるのが事実なのでしょうがないかと」
「そうだよなぁ…」
女性は胡坐かいて腕を組みながらしばらく考えていた。
「そうだな、君たちは行く当てがないようだし2人ともウチに来ないかな?」
「そうですね、よろしくお願いします」
「私もお願いします」
断る理由などは全く無いのでこの提案はとてもありがたい、女性は即答に少し驚いたようだがすぐに笑顔になった。
「じゃあ決定だな。とりあえず自己紹介だ。私の名前はレティ・アーノイドだ」
「ユウキ・イマイです」
「マキナ・フォン・パルマ…です」
「2人ともよろしく」
呪文の名前は何となくで考えたので特に意味はないです。




