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マヨマヨ~迷々の旅人~  作者: 雪野湯
第二十九章 ある一つの結末
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笠鷺VSウード

 戦いの場は整った――

 


 ウードは周囲を見回して、笑い声を上げる。

「ははは、大仰な結界だなぁ。これはみんなの期待に応えないと。なぁ、笠鷺?」

「ほざいてろっ」


 笠鷺は草原を駆ける。

 彼の周囲にはクラス5の火・水・風・雷の力が浮かぶ。

 それを受けて、ウードも同じく魔法を浮かべた。


 互いにクラス5の力をぶつけ合う。

 同時に二人は空間を転移して空に浮かんだ。

 クラス5の魔法たちも転移し、笠鷺、ウードの両名に襲いかかる。

 

 二人は追撃してきた大魔法の流れを制御し、マフープへと還す。

 そして、波長を同調――瞬時に敵の魔法を自分の魔力として身の内に取り込む。


 間髪入れず、笠鷺は黄金の魔力を纏う魔法弾を連射する。

 対してウードは、魔力濃度の高まった黄金の魔法弾に対抗すべく、一段と魔力を籠めた魔法弾を射出した。


 数十の魔法弾が空中で激突し、爆音が響き渡る。



 そのいくつかの魔法弾は転送の流れに乗り、二人の背後に回るが、二人も転送の流れに乗り、地上と空に現れる。

 

 空に現れたウードは複数の魔法を地上にいる笠鷺へ放つ。

 笠鷺はそれらを全て制御しマフープに還し、新たな魔法を刻んで、ウードへ打ち返す。

 ウードはニヤリと笑い、巨大な炎の球体でその魔法弾を飲み込んだ。


 そのまま炎は笠鷺のもとへ向かうが、すでに笠鷺は空へ転移し、クラス6の神なる魔法を放っていた。


「吹き飛べ、ウード!」

「吹き飛ぶのはお前だよ、笠鷺!」

 


 ウードは笠鷺の放った魔法に魔法をぶつけることなく、その魔法の背後にクラス6の魔法を生み出し、彼の真正面から魔法をぶつける。

 すかさず、笠鷺は目の前に現れた魔法を制御し、神なる魔法をマフープに還そうとした。

 そこにウードの声が響く。


「心は水面に!」

 

 ウードは笠鷺が放った魔法を制御し、マフープへ変えることなく、そのまま転送の流れに乗せて彼の頭上に神の魔法を落とした。


 笠鷺の頭上と正面に、全てを破壊尽くす神の名を冠する魔法。

 彼は目の前の魔法を制御するのがやっとで、頭上には対応できない。

 

「くそが!」


 笠鷺は制御中のクラス6の魔法を結界へと変化させ辛うじて難を逃れたが、制御とクラス6の魔法の衝撃によって隙が生まれる。

 その隙を見逃さず、ウードは三つのクラス6の魔法を唱え、笠鷺へぶつける。


「消えろっ」


 ウードの声が魔法の先を駆け抜ける。 

 だが、そこに笠鷺はいない。


「消えんのはお前だよっ!」

 すでに転送で移動した笠鷺はウードの背後に現れた。

 彼は次元を引き裂いて、ウードの両断を試みる。


 しかし、ウードは即座に漂うマフープの欠片を集め、壁とし、空間の爪を剥がし折る――。

 



 広がりつ続ける、大魔法の輝き。

 それらはマフープへ還元されて、一部は二人の身体に戻り、残りは空や草原に濃いマフープの海を作る。

 

 笠鷺とウードはその海から新たなる魔法を創り出す。


 草原に広がるマフープの海原から魔法の剣が生まれる。

 空を覆うマフープの雲海から魔法の矢が生まれる。


 地上と空から魔力の(やいば)が降り注ぎ、二人の姿を覆い隠していく。


 (やいば)は真っ直ぐと向かわず、転送の流れに乗り、視線の及ばぬ場所から襲いかかる。

 だが、(やいば)が彼らを射止めることはない!


 二人は(やいば)の流れを制御し、それらの一部はマフープに還し、一部は新たな(やいば)として生まれ変わらせる。


 さらには新たな魔法を生み出し、空や地上を埋め尽くしていく。


 あらゆる魔法という魔法が埋め尽くす草原。空。

 二人はその草原を、空を、全てを自由に駆けて魔法を生み出し続ける。



 無限の魔法を生み出す彼らの姿に、皆は戦いの場を忘れ、言葉を失い、心を奪われる。

 エクレルは、かつ消えかつ結ぶ玲瓏(れいろう)たる魔法を瞳に宿しつつ、アプフェルとパティへ言葉を渡した。

「二人とも、よく見ておきなさい。これは魔導の頂に立つ者たちの戦い。私たち魔導士が辿り着く場所よ」


 二人はエクレルの言葉を無言で受け取る。



 笠鷺とウードによって生み出された魔法はマフープに還元されて、新たな魔法への転生を繰り返す。

 どれだけ魔法を尽くそうとも、彼らに触れれば、無垢な存在へと還元される。

 上下なく、左右なく、自由奔放に舞う魔法たちは様々な色や顔や形を見せ続ける。


 それは始まりを遠き彼方に置き、終わりなき場所にて永遠を産み続ける夢想の姿――――絶対に尽きぬ、魔導の狂宴。





 ウードは空にふわりと身を預けたまま、同じく浮遊の魔法を操り空に足を降ろす笠鷺に笑みを見せた。

「ふふ、お互い、制御力は譲らず。魔法じゃ、決着がつかないかな?」

「そうでもないだろ。僅かでも隙が生まれれば、そこに魔法を叩き込む。それだけだ」

「ふんっ。まったく、魔力の量と大きさだと俺の方が遥かに上なのに、制御力のせいで差がないときたもんだ。だけど……」


 ウードはねちゃりと笑い、大気中に混ざるマフープの姿を見つめる。

「笠鷺。お前、どういうわけか、自然回復ができないみたいだな」

「……だから?」

「魔力の大きさは俺が圧倒。さらには魔力量に差があり、戦闘中に自然回復もままならない……激しい戦闘を行えば行うほど、お前は魔力を失っていく……結果が見えたな」


「アホか、元々戦闘中の自然回復なんてたかが知れてるだろ。だったら、いつもの戦いと同じ。疲弊して、魔力が枯渇するのと変わらない」

「俺が言いたいことはそこじゃない。戦いは一見、千日手を模様している……だけど、笠鷺。お前は身体機能の強化に魔力を回してる分、魔力消費の無駄が俺より多い」



 これはウードの言葉通りだった。 

 ウードは地蔵菩薩の加護を受けた肉体を操っている。

 対する笠鷺は、地球の普通の少年の肉体。

 この激しい戦闘についていくためには、魔力を使い肉体を補強するしかない。

 ただでさえ、魔力量はウードが圧倒しているというのに、この消費は非常に厳しいもの。


 笠鷺はそれらの魔力を補うために、ウードの魔法や自身が放った魔法をマフープに還元し魔力回復に当てているが、激闘の中、全てを還元できるわけもなく、まったく追いついていない。


 

 だが、笠鷺は不敵な笑みを浮かべ、言葉を返す。


「お前だって、俺の魔法に対抗するためには、より多めの魔力を使わないといけないじゃんか」

 そう言葉を産み、彼は黄金の魔力で身を包む。



 黄金の魔力には二つの特性がある。

 一つは、現在いまある時で身を包み、亜空間を無事に渡れるという特性。


 もう一つは、魔力濃度が高いため、通常魔法でも威力が増大するという特性。


 つまり、笠鷺の放った炎の魔法ミカを相殺しようとすれば、ウードはミカへ余分に魔力を籠めなければならない。


 その消費量は笠鷺の肉体強化の比ではない……だが。



 ウードは赤黒い魔力を放出する。

 それは笠鷺のものとは比べ物にならない、強さ、量を誇っていた。

 いくら、ウードの消費が笠鷺の消費を上回ろうとも、その差は歴然――埋まらない。



 

 ウードは笠鷺の笑みに対して、気怠そうに息を吐く。

「お前の消費魔力は回復を上回っている。あと小一時間ほど戦いを続ければ、立っていることもできなくなりそうだけど、それはだるいなぁ~」

「そう言わず、付き合えよ。ほら、大魔法撃ってこい」

「わざわざ回復させてたまるかっての。ったく、互いに制御の頂に立つ者同士の戦いはめんどいねぇ~。だったら……」



 ウードは片眉を跳ね、自身の前に黒い渦を産んだ。




評価点を入れていただき、ありがとうございます。

その御気持に応え、無限の魔法を生み出すが如く、千の変化万の変化を見せる物語を紡ぎ、皆様の休息を充実させる一つの支えとなれるよう頑張ってまいります。

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