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私の世界が変わってから

『私の起こす行動に意味がある』


そう言われても、その力は私が扱いきれる物ではないので、お告げが下されると思われる意識がなくなった時、私はどんな行動を取るのだろうと思うと不安に感じながら寮の部屋へと戻りました。


それでも、私の今までの行動は病気とか実は夢遊病とかではないと思ったら、何処かほっとした安心もありました。


その安心のせいか私は少し気が抜けてしまい、最近は私が動く事で何が起こるか判らないからと、部屋の窓は締め切っていたので、少し風を通そうと窓を開けてから、気分を落ち着かせる為に本でも読もうと手に取り、本を読むために椅子に移動しようとした時でした。


足躓いてしまい、あっと思った時には持ってた本が手から離れていまして、窓から落ちていくのが見えました。


いえ、本当に窓からハードカバーの分厚い本が、え?こけただけで、手から離れた本が、窓まで飛ぶのですか?


私は慌てて窓辺に寄って下を見ました。

下には人が居たので無事か確認する為にも声を掛けます


「申し訳ありません、手を滑らせてしまって物を落としたのですが、お怪我はありませんか?」


でもその返事がないので、私は本を回収する為にも急いで下へと降りました。


「大丈夫……でしたか?」


姿を現す前にもう一度声を出して尋ねてみて、建物の角を曲がった時に王子殿下達とリルティア子爵令嬢の姿が見えて、その側に落ちた本を見て、最近の事を思うと誰も怪我をしていない事に嬉しくなり


「皆さんご無事ですか?」


と声を掛けながら落ちた本を拾いました。

でも本をはたきながら顔をあげれば、青ざめながら私を見るフォール王子殿下達とリルティア子爵令嬢が私を見てましたが、誰も怪我をしてないという事が嬉しかった私は気がつけなくて、リルティア子爵令嬢の悲鳴で私はやっと、大怪我をしてしまったリルティア子爵令嬢を、今回は怪我をしてなかったとはいえ、怯えさせた事に気がつきました。


「申し訳ありませんでした」


私は謝りながらその場を急いで去って、寮の自室へと急ぎました。

開けてあった窓を閉めて、ベッドの上で丸くなりながら、リルティア子爵令嬢に、巻き込んでしまったフォール殿下達に謝罪の言葉を口にしながら、何度も自分を責めてました。

たまたま怪我をしなかったからと喜ぶような事ではないと、喜んではいけないことなのだと、だって私は傷つける側なのだから…………。


私達の住む寮には、食堂等でご飯の支度と私達の着る衣類と寝具等の洗濯をしてくださる方は居るけれど、部屋の掃除とかの室内の事は全部己の手でする事になっています。

邸で住んでいるのであれば、確かに家に仕える者達がしてくれますが、魔獣討伐の戦場に立った時に同じ生活が出来るわけではないので、そういった場に行っても自分で行えるようにという、最低限の身の回りの事を身につけるために、寮では例え王族でも仕えるものは居ません。

メイドや侍女を連れてくることは禁止されてます。


そして貴族としての社交界等の集まりも一切禁止されます。

大体の方達はこの学校に入る前に、一般教養やマナーに貴族間でのお付き合いの事等を教え込まれます。

なので寮の部屋は1人でも管理できるようにあまり広くなく、物を持ち込むのも大概は学校の必需品や着替えに身につける装飾具や後は趣味のもの位の人が多いそうです。

実際私の部屋も、備え付けの勉強机とベッドに衣装を仕舞う棚と本棚位で、後は化粧等の簡単な身の回り品が多い位です。


今回の事でたとえ窓辺に物を置かない等の対策を取っていても、私という存在は高い場所に居ると誰かを危険に合わせると思い知ったのでもうここには居られません。


私は寮の管理をしている寮母に部屋の入れ替えの希望を出して、今の3階にある自室を1階にある空き部屋に移動させてもらえる事になりました。

寮の玄関に近く、人の出入りが激しくて人気がない場所なので、あまり入りたがる人が居なかったと言う場所で、あまり人との接触をしたくなくて、直ぐに逃げ込める自室が近くなるという場所なので私としては逆にありがたくなりました。


衣装棚からここに来るときに使った、荷物を詰めてたトランクを取り出して、その中に今まで使っていたものを詰めていき、本来なら決まった時間を過ぎると部屋から出るのを禁止されてますが、寮母からの許可を貰い皆が寝静まった夜中に、静かに部屋の移動をしました。


なるべく音を立てずに静かに動いたつもりだったのですが、後日の噂で女子寮の怪談話として流れてたと聞いたときは、少しですが泣きたくなりました。

その1日だけの移動なのに、今では夜中になると、何処からともなく物を引きずるような物音が聞こえるといわれてます。


そして部屋の移動をしてから、私は学校に行かずにズル休みを決行してみました。

自宅謹慎も牢屋等に閉じ込められるのも駄目なら、寮に引篭もってみてはどうでしょうか?と思って実行してみたのですが、たった4日で諦めました。


毎日フォール殿下達3人がお出迎えに来るのです。

部屋の移動を終わらせて朝が来たその日に、私はもう人も居ないでしょうし、夜移動した為に部屋の中が少し埃っぽい感じがするので、少しだけ空気の入れ替えと部屋の掃除をしましょうと、窓を開けました。


そしたら居たのです窓の外に……開けて目があった途端に驚いて締めてしまいましたが、向こうも同じだったみていでして、窓を軽く叩きながら声を掛ける音が聞こえたのですが、一切無視をしていました。

そしてそれから3日間、殿下達はずっと窓の外で私が出てくるのを待ってました。


流石の私でも殿下達が待ってる相手が私だとは判りますよ。


4日目これ以上待たせるのは私としても殿下達3人学校を休ませるのが心苦しいので、数日振りの制服に袖を通して寮から外に出ました。

せめて私を待っている理由だけも知りたいからです。

あまり理由も無しに休みすぎると学校から罰を出されるのです、私は自分の行動で罰を受けるので良いのですが、何故か私を待ってる殿下達まで巻き添えにする訳には行きません。


「おはよう、チェルシー令嬢、やっと話が出来そうで嬉しいよ」


いえ、私は嬉しくないですと思ってもよいいのでしょうか?

こうして会話をするだけでも、凄く気を張ってしまいますし、正直何が起こるのかと怖いです。


「おはようございます。フォール殿下、カイル様、ユリウス様。3人揃って何の御用でしょうか?」

「僕達はチェルシー令嬢の護衛だよ、先日の件により、国王から命じられたんだ。

だから顔合わせと一応その理由を説明しようと思ったのだけれど、まさか出てこないという事は想定してなかったので、予想外だったよ」


フォール殿下は困ったように笑いながら私の話しかけてくださるけれど、私は殿下の言葉に、護衛……?ですか?誰の?私の?何の為に?

私の顔を見てから、考えを読まれたのか、気がついたように、ユリウス侯爵子息が私の疑問に答えるように言葉を続けます。


「私達3人が交代でずっとチェルシー令嬢様が事を起こさないように、守れというご命令です。

勝手がわからず、最初は手間取らせると思いますが、本日より宜しくお願いします」

「あとさ、リルティア子爵令嬢のお願いでもあるんだよ、チェルシー令嬢と顔を合わせたくないから、鉢合わせにならないようにする為でもあるんだ」


カイル公爵子息の言葉が胸に何かを突き立てられたように刺ささりました。

フォール殿下とユリウス侯爵令息が慌ててカイル公爵令息の口を塞いでますが、その行動遅すぎると私でも思います。


でも今回の件での一番の被害者でもある、リルティア子爵令嬢様がそれを望まれるなら私はそれを受け入れます。

怪我を負わせた上に、沢山の人達の前にあの姿のまま見世物にしてしまったうえに、この騒動の巻き込んでしまった私が出来る謝罪が顔を合わせなくていいになるなら…………

きっと他にも沢山の方が私の事をそう思っているのに、私の地位と恩恵のせいで誰もそんな事を言えないのでしょう。


私はどうすれば今まで犯した私の罪を許されるのか判りません。

だからせめてこうして与えられるこの罰を受け入れます。

ただ、私の起こす事に巻き込まれる殿下達には申し訳がないのが仕方ないのですが、殿下達もこれが自分達の罰だから気にするなといわれました。




殿下達が側に来てから逆に巻き込むことの数が増えすぎて、正直言って回数が増えすぎて、やっぱりいりませんって言いたくなりました。

どうして階段から落ちそうになった私を助けるはずの、ユリウス様が一緒に落ちてるのですか?

しかも私手すりを掴もうとしましたのに、その手を握られてしまわれては落ちるしかないじゃないですか

もしかして狙って一緒に落ちているのかもしれませんね……。

ユリウス様そういうご趣味の方だったのですか。


教室に入るための扉を開けただけではめ込まれているガラスが割れたときは、さすがに驚きました。

でもその割れたガラスに殿下も巻き込まれないで下さい。いえ私が悪いのです申し訳ありません。


私が今まで怪我をさせた人達にはもう無理ですが、せめて今巻き込んでしまう方達への謝罪の意味も込めて私も保健室で治癒魔法を使うことにしました。

私のせいで貴重な魔法薬の在庫もギリギリになったと聞きましたし、せめてものお詫びの意味もあります。


保健室の治癒魔法はリルティア子爵令嬢様が最初始めた事なので、私はリルティア様の居ない時間を担当する事にしました。

簡単な怪我には治癒魔法は使いませんが、保健室に来るほどの怪我は大抵酷い怪我が多いので、今までは課外授業として受けていた実地を全て保健室で行うことに切り替えてもらいました。


課外授業先まで殿下達を連れて行く訳にもいかないし、何より私が学校から外に出るのが怖いというのもあります。

今まで気にせずに居られましたが、私が起こす事をこれ以上広げたくなかったというのもあります。


今の私の学校での生活は、教室での授業か校舎の裏でひっそりと過すか、この保健室で治癒魔法を使ってるかのどれかになりました。


問題が起こるとすれば今は大体が移動中が多いです。


そして対処に慣れてきたからなのかどういった対策を取ってるのか判りませんが、殿下達が巻き込まれても怪我をする回数が減ってきて、私が何かを起こす回数が殿下達と出会う前位に戻った頃、私は廊下の移動中に開いてた窓から入ってきた虫に驚いてしまい、少し後ずさってしまいました。

それにより、私の後ろに居た方とぶつかってしまい、私がぶつかった事によりその方は階段から落ちそうになりました。


何時もなら私の前と後ろに1名ずつ居るのですが、今日はカイル様と移動教室の時間がずれてしまった事と、フォール殿下はリルティア子爵令嬢様の所に私と鉢合わせにならないために、すでに行った後だったこともあって、ユリウス様1人になった時に起きた事で、普段なら防げたそれが防げずに起きてしまいました。


でもそれを側に居た他の男性が助けてくれた事により、誰も怪我をせずにすみました。

ほっと安心をして、私はその女性に謝罪の言葉と助けてくれた男性に感謝の言葉を口にしてから、移動先へと向かいました。


殿下達の取る対処が良いのかそれとももしかしたら、私のこの良く判らないお告げと呼ばれる何らかの現象が減ってきたのだと、思いたくなった頃に、私はまた意識がないうちに、何かを起こしてました。


その事を知ったのは目が覚めると保健室のベッドに私は横たわっていて、カイル様が心配そうに私を見ていました。

驚いて体を起こすと、少し皮膚に違和感を感じしまい、何故だか判らなくて困っていたところ、保健室の先生が起きた私に気が付いて、説明をしてくださりました。


私は合同魔法の授業の最中に、炎属性の魔法を放つ直前の男子生徒の前に飛び出して、その男性が慌てて魔法を打つのを止めようとした余波の暴発に巻き込まれたそうです。


なんて危険な事をするの!と怒られてしまいましたが、私もですが相手の方はさらに酷い火傷を負ってしまい、私の治療を先にしてたそうで、これからその男性の治療をするそうです。

なので私は慌ててその男性の方の所に行き、その酷い火傷から目を逸らしたくなりながらも、ありったけの力を込めて魔法を発動させました。


火傷が治ったからか、その男性の目が開き、私を見ながら


「ありがとう」


と言葉にしてくれましたが、違います私のせいなんです、私のせいでこんな酷い火傷を……


「私のせいで、申し訳ありません、私のせいで……」


堪えきれずに涙が溢れ出てしまい、私はそのまま保健室を飛び出してしまいました。



チェルシーさんは公爵家の予知能力と、聖属性としてのお告げの力により、力が暴走してしまい、無意識下で何らかの形でその内容を実行させようと体が動いて怪我をさせていた、が全ての原因です。

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