私の世界が変わった日
「だいたいですね、普段人に治癒魔法で散々治せ治せと頼っておきながら、人の上に落ちてくるわ怪我をしてる私を治す事無く『授業の一環以外の一般治療で治癒魔法は使うなと言われているので、申し訳ないですがその方を治す事は出来ません』ってどういう意味ですか!!!
お陰で熱もあるし、体はどこもかしこも痛いのに呼び出されてこん目に合わないといけないとか、私がなにをしたっていうんですかー!!!」
その方は私達に指を指しながら力いっぱいの声で叫んだ後に
「うわーーーーん、もうやだーーーーー」
崩れ落ちて、沢山の涙を流しながら声を上げて泣かれました。
私はただ聞きたかっただけなのです、あの時私が取った行動を。
この学校に入って他の方達と一緒に過すようになってから、少しずつですが私は周りの方達と何かが違う事に気がつきました。
学校に入る前も、確かに私は誰と一緒に怪我をしていて、私はそれは他の皆様方も同じだとばかり思ってました。
参加したお茶会等で、誰かが
「このあいだうっかり手をすべらせて、茶器を割ってしまいましたの」
とか言えば、私もたまにしますわ、と誰かが返事をする。
物を落とすのはやっぱり誰もがする事なのねと安心をし
「新しいドレスが嬉しくて、少し回ってしまってこけてしまったの」
と話を聞けば、誰かの
「新しいドレスは嬉しいものね、私もこの間こけてしまいましたの、はしたなくて恥ずかしい」
という話題を聞いては私は怪我をする時は、誰かが一緒の事が多いので勝手にそう、誰かと一緒に怪我をしたと勘違いをしてました。
でも学校に来てから私の魔法属性の関係と、授業内容の関係であまりクラスの方達と関わる事がなかったので気がつくのに凄く時間が掛かってしまいました。
私は普段からぼんやりしていたので、何か起こすときはぼんやりしすぎて、気がついてなくて、そういった行動を取ってたと思っていたのです。
そして学校で他の方達を見ていて、少しずつですが、人は頻繁にぼんやりとはしない、そして物を落として誰かに怪我をさせたり、一緒に落ちて怪我をさせる事はないのだと気がつきました。
公爵家に居た時は家に居る者は私と一緒に居ても誰も怪我もしなくて、家から出た先でばかり怪我をしたり物を落とものだから、たまたま出先でそういった事が起こるだけで、私が原因だとは気がつきもしませんでした。
そして怪我をすると必ず、お城から来てくださった方が治癒魔法を掛けてくれていたので、私は怪我をしたら治癒魔法で治してもらうのは当たり前だずっと思っておりました。
他の人は誰か一緒に怪我をしないし誰かに物を落としたりしないと気がついてから、私は私が怖くなってきました。
特に他の方達との魔法授業の時は人の側に居るだけでも怖くなってました。
今までなら、私のくしゃみの音に驚いて、魔法を暴発させてしまいました。
と聞けば、私はぼんやりしてる間にくしゃみをしてしまったのですね、と思えたのですが
私は自分が怖いと気がついてから、少しだけわかった事は、私が誰かを怪我をさせた時私はその時の意識がないのです。
他の方々は私みたいに一瞬たりとも意識をなくさないし、意識をなくすというのは具合が悪くて倒れたりする時とかであって、私みたいになんとでもない時には起こらないといのです。
魔法授業の時に意識がない時がきて、誰かを怪我をさせたらと思うと、怖くて仕方がありませんでした。
なのでぼんやりしないように気を引き締めていたのですが、それは意味が全然なく、逆に回数が増えていくようになりました。
特にここ最近は私でも何かがおかしいと気がつくくらい回数が多いのです。
あまりの回数の多さに、私は城からの治癒魔法を頼むのをためらうようになり、怪我をしてそれを隠していたのです
保健室で治療するのにも、回数の多さから異常がられるのかと思うと不安になり、保健室での治療も行わないようになりました。
それでも日常生活をするのにあたって、やはり少々不便になってきて、どうしようかと悩んでた時に、私と同じもう1人の方の存在を思い出しました。
その方に治療を頼むと最初は断られたのですが、私の落ち込みように見かねたのか治して貰えたので、あまりにも酷いときはその方の所に行くことにしました。
怪我の内容は、適当に嘘をついたりなどをして……。
私が意識が無い間に一緒にこけてとか、意識が無い間に物を落としてなど本当の事を言って、その回数の多さと異常さに気がつかれるのが怖かったというのと、自分で認めてしまう怖さとがありました。
そしてその方からも治療を断られてしまい、私は今後の事をどうしようかと考えてました。
その時、そのもう1人の治癒魔法を使われるリルティア子爵令嬢の姿が目に入りました。
楽しそうに発表会の魔法の練習をしている方々の姿を見ながら、廊下を歩く姿を見た……と思った時には私は何故かその方を下に敷いて階段の踊り場に居ました。
怪我で動けないその方を目にして、慌てて立ち上がり助けを呼びますと声を掛けて、階段に足を乗せたときにその方の足がそこにあり、盛大に踏んでしまい、私はまたこけてしまいましたが、それでも急いで人を呼びに向かいました。
保健室の先生に魔法薬が切れてるから、治癒魔法をかけてくれないかと頼まれたのですが
魔法の先生から治癒魔法を授業の一環以外では使うなと言われていたので、私はそれを断りました
「だったら城から治癒魔法使いの方を呼べばいいではないですか」
と言った私の言葉に先生は怪訝な顔をしながら私を見てました。
私は、城の治癒魔法使いの方が許可なく治癒魔法を使う事を知りませんでした。
私は普通に治癒してもらえてたので、他の人も治してもらえるそれが当たり前だと思っていたのです。
そして今までは側に居た人が限定だったのに、視界に入っただけで……というのは初めてで、私はリティア子爵令嬢にあの時私がどういった行動を取ったのか聞きたかったのですが、その肝心のリティア子爵令嬢が学校に現れないので、私はどうしたらいいのか悩んでいました。
治癒魔法を受ける事が出来ずに、寮の自室で痛みと熱で寝ているとは知らなかったからです。
てっきり魔法で怪我も治ってて、でも私と顔を合わすのが嫌で避けられてるのかと思ってました。
もう私もその時は、私の起こす事で怪我をした方々が私の事を避けているというのは察していました。
姿を見ただけでも怪我をさせてしまうようになったと思うと怖くて、人に近づけなかったので私は校舎裏の庭園でひっそりとその事について考えてました。
そしたら
「あれ?チェルシーじゃないか、こんな所でどうしたの?」
と幼馴染のカイル公爵令息に声を掛けられました。
幼馴染ではあるけれど、何度か顔を合わせたことがあるくらいで、あまり一緒に遊んだ事のない方で、まさかこんな所で声を掛けられるとは思っても居ませんでした。
「あ、いえ、あの……」
少し言葉に詰まってしまい、もしかして同じクラスではないから私の噂を存じないのかと気がついたけれど、私に近寄ると大怪我をするので近寄らないでとか言う勇気はなくて
どうしようかと戸惑っている間に、カイル公爵令息と一緒に居たのかフォール王子殿下とユリウス侯爵令息にも現れました。
私は言い訳をして逃げる事も思いつかずに、カイル公爵令息の、どうしたの?ねえ?攻撃に気がついたら
リルティア子爵令嬢と階段から一緒に落ちてしまい、怪我をさせたお詫びをしたいのだけれど、手紙の呼び出しに応じてもらえるか判らなくて……という本当の事はいえないけれど、嘘はついてないという方法で悩んでる事を打ち明けてました。
それを聞いた王子殿下達が、手紙で呼び出してくれることになり、その時に話せばいいよと言われました。
それを聞いて大事になったと思ったのですが、断っても気にしなくていいよと言われて、私はどうしようと思いながもそのまま流される事になりました。
そしてあの日当日、話をしたいという手紙を出したと言う王子殿下達3人で校舎の玄関ホールで待ち合わせをして、リルティア子爵令嬢が来るのを待っていました。
私はリルティア子爵令嬢と同じクラスの方を見かけたので、思わずリルティア子爵令嬢は何分頃に大体学校に現れるのか聞こうと声を掛けました。
流石に王子殿下達と一緒に居ると目立ち過ぎるのと、あまり人の居る場所にいて、もし何か起こしたらと思うと、これ以上何かを起こすというのは、私の噂のことをまだ知らない他の方達にもあまり知られたくないという思いもありました。
そしたらその方からリルティア子爵令嬢がここ数日来てない事を教えられて、今日も来れるかわからないと言われたのです。
その会話を聞いた王子殿下達が周りの人に誰か見た人が居ないかと聞き始めて、段々と人が集まり騒ぎが大きくなり、こんな状況でリルティア子爵令嬢からあの時の状況を聞くとか無理だし、これ以上人が集まり私が何か起こす前にもここから離れようと思い、王子殿下に今日は無理そうだから辞めましょうと、そして断ろうと思った時に、彼女は姿を現したのです。
松葉杖をついて顔の半分は腫れてて、全身で満身創痍といった感じで歩くリルティア子爵令嬢が目に入った時に、私は何かとんでもない事をしてしまったのではないかと思い、目を逸らしたいけれど、逸らす事も出来ずに縋るようにフォール王子殿下の服を掴んでました。
そしてこの騒ぎは国王様の耳に入り、直ぐに私も王子殿下達も城に呼ばれる事になりました。
急ぎだった為に城からの迎えの馬車に4人で乗ることになり、王子殿下達に、最近私が1人で人から隠れるように居るのを見るようになった事と、よく怪我をしているから、誰かから虐められていて、公爵令嬢である私に何か言える立場の人間と言えば、王女殿下か聖属性恩恵のあるリルティア子爵令嬢になるけど、一緒に落ちたのがリルティア子爵令嬢なら注意をしようと思ってしまい、浅はかな考えでいらない事に僕達が口を出してしまった為に大事にしてしまってすまないと謝られました。
違うんです、違うんです私が何か起こしたのです、でもそれを言う勇気もなくて、噂を知らないからと甘えて断れずに流された私が全部悪いんです。
でも未だにそれを言う勇気のない私はただ、城に付くまで泣きながらずっと、私が悪いのです申し訳ありませんと繰り返す事しか出来ませんでした。
城につくと私は王子殿下達3人とは違う部屋に案内されて、其処で学校に入って以来会うことのなかったお父様と会いました。
「お父様!
私何処かおかしいのです、もう誰かをこれ以上傷つけるのは嫌です、貴族の役目を果たせなくなりますが、館の自室でも城の地下牢でもいいので、もう私を誰かと会えない状況にしてください!!」
そういって泣き崩れた私をお父様は、ずっと抱きしめて私が落ち着くまで待ってくださりました。
そしてお父様から沢山の話を聞かされました。
本来は治癒魔法は特別なもので、誰もが気軽に魔法で治してもらえる訳ではない事。
今回は特別処置の為にリルティア子爵令嬢は国王の命によって、私達と入れ替わりになったけれど聖属性使いが学校に行き治癒魔法を受けた事。
そして私の能力の事を聞かされました。
学校に入るまでの事故の回数を思えば、学校でもそんなに事故の回数は起こらないと思ってたそうです。
多くても1月に1回あるかないか位だろうと。
なにせ貴重な聖属性の治癒魔法使いを育てる事なく、どこかに押し込める事は魔獣との戦いに備える為にも無謀な事だと国王が判断したそうです。
そしてこの能力は公爵家長子か国王と一部の者しか知らなくて、私の場合は私の能力が強大な為もあり、今までともその能力内容が違う為に教えれなかったそうです。
私が学校に入り少しずつですが事故の回数が増えていったけれど、私が治癒魔法使いを呼ぶのを止めた事により、そういった事故は減ったかなくなったと思ってた矢先に起きたのがこの騒動だそうです。
私がもっと早めにお父様に相談するなりしてたら、もっと違った対策を取れたかもしれないけれど、ここまで回数が増えると思って無かった事と、私がその事でここまで思いつめると思ってなかったそうです。
「死なせない代わりに怪我をさせると言っても、私は操れない力で誰か傷つけるのには代わりないので、やっぱりどこかに閉じ込めてください」
「それは出来ない、これは国王からの命令でもある」
「そんなの嫌です!もう嫌なんですお父様お願いします!どうか私を……」
「今日お前に会って、駄目だとお前を学校から離すなと、俺自身がそう強く感じるからそれは出来ない」
「それはお父様の能力でそう判断したという事ですか?」
「そう思ってくれていい」
「わかりました」
能力云々ではなく、お父様真剣で譲る気のない意思の強い瞳を見て、何があっても私の言っている願いを聞くことはないと悟りました。
お父様と別れたその後に入れ替わるように城に勤めている、年輩の治癒魔法使いの方が来て、リルティア子爵令嬢と一緒に落ちたときに捻った私の腕の捻挫を治癒してもらいながら、聖属性の事を話してくださいました。
「公爵家の能力の事を国王陛下からお聞きしました。
元々聖属性は他の属性との特性の違いからと、あまり知られておりませんが、お告げを授かる事から神からの贈り物だと言われています。
私も何度かそのお告げを授かった事があるのですよ、本当に些細な事が多いのですが
突然、明日の晩御飯はビーフシチューです、とか授かったときには、これはお告げの部類にしていいのかと悩んだりもした事ありますが、大体は国にとっての重要人物の安否に纏わる事が多いですね」
「重要人物の安否ですか?」
「はい、何処其処で事故が起こるとかですかね、大体そういったお告げを貰ったら、そこで治癒魔法を使うことにしてます。
たとえその者が子供だったとしても、大きくなったら魔獣討伐隊団長とかになってるかも知れませんからね」
その方は私の手を優しく握りながら、いい聞かせるように話の続きを聞かせてくれました。
「チェルシー公爵令嬢様は元々の家から受け継いだ能力が依り代となり、お告げとして授かる聖属性の力が過剰反応している可能性があります」
「過剰反応……」
「お告げは重要人物の安否を授ける事が多い事と、本来は縁を結び悪縁を切るべき公爵家の能力ですから、チェルシー公爵令嬢様が学校で起こす事には何か意味があるはずなのです」
リルティアさんが切れるまで、チェルシーさんが側に居て起こる事故の数々の周りの反応。
学校のクラスの女性陣
『学校に入る前から聞いていた噂を思い出して、あの噂はやはり本当だったのでは?』という感じ
男性陣は
『魔力操作難しいなー、加減間違えて暴発しちゃったぜ!』
と女性陣の間で流れているチェルシーさんの噂を知らなかったから、自分達の方でのなんらかのミスだと思われてました。
公爵家も国王様も、学校で事故件数が格段に増えると思って居なかったので、言うほど対策なんてありませんでした。




