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第31話 決闘ごっこ

以前に書いた第9部と第17部の身体情報を変更しておきました。

「あっそうだ、俺はリラク=カルシュっていうんだ、よろしく。それで君の名前を教えてくれない?お互いに名前を知っていないと不便だろ」


決闘をすると言ったサインとエリーに付いていった、他の子供たちを追いかける道中にリラクと名乗った金髪碧眼の少年はそう言ってきた。

決闘をする場所は集会所の近くにある適当に開けた場所でやるようなので、そこまで長くはない時間で話すならそこら辺の簡単に済む話題が妥当だろう。

ちなみに、集会所は住んでいる人が少なく広い土地を利用できる『南区』に作られている。

それに、見知らぬ人のことを知る時には、まず名前と容姿から知ることは基本なのでとても理に適っている。


「(まあ、こっちは大体分かっているんだけどね)」


身体情報

nameリラク=カルシュ Lv3 age2 sex男 race人間種

condition良好 fromイバキ Exp2050/1123

命86/86 魔力78/78

筋力60 耐久50 敏捷47 器用40

知能52 精神58 持久484

スキル一覧

【畑仕事】(3)【無属性魔法】【火属性魔法】【風属性魔法】【筋力向上】(2)

【穴掘り】(2)

称号一覧

【人間種】【初心者詠唱者】


俺は最初に会った時に既に【解析】スキルをリラクに対して使っている。

それによって情報を得た状態だと相手に気づかせないで、相手がこちらにどう対応するかを見るのだ。

そうすることで、相手がどういう目的を持ってこちらに接触してきているかをある程度は判別できる。

嘘だったら碌でもないことを考えていたり、こちらには正体を明かしたくないとかそんな感じだ。

前世では事前に情報収集をしておかなければいけなかったが、今世では【解析】の一発で十分だからかなり楽だ。

まあ、わざわざ反応を様子見するまでもなく、本当に一人で突っ立ていた俺を連れていかなくちゃと考えていたのだろうことは分かっていた。

けど、やっぱり前世での癖は中々抜けないし、警戒しておくに越したことはないのでつい【解析】してしまった。


身体情報にExpの情報が映るように【解析】の加減を調整しておいた。

これで、どの位でLvが上がるのかが分かるようになっている。

Expは経験値のことで、それがどんな経験であろうと関係なく貯まっていくことは既に実験済みだ。

もちろん、貯めやすい経験、貯めづらい経験が存在して戦闘行為は貯めやすい経験に分類されることも分かっている。

これが分かることによって敵対した時に早急に殺しておくべき敵を判別することができる。

Lvが上がると能力値が高くなることはこの世界では当然のことのようだ。

だから、経験値が貯まっているやつとの戦闘を長引かせた結果相手がパワーアップしてしまったとか洒落にならないことになる前に殺すべきかどうか判別できるということは途轍もない利点だと思う。


それにしても、リラクは中々素質があるのではないかと思う。

『筋力』と『精神』はLv3の時の俺の値にかなり近いし、『耐久』、『持久』だと俺よりも高い値になっている。

また、スキルも計6つと結構多めに持っていて、『無』、『火』、『風』と3属性の魔法スキルを持っている。


今日集まってきた子供たちにも適当に【解析】をかけて、年齢とLvで平均をとっておいたため、分かることなのだが身体情報はそんなに高くないし、持っているスキル数が少ない。

身体情報を見ると、俺と同年代だと全能力値の平均はそれぞれ40程度。

そして、4歳、6歳、8歳、10歳と2年ごとに平均をとったところ、全能力値において2年で約20くらい上がっていっているようだ。

もちろん、鍛えていたりLvが違ったりする例外が存在するのだが、それはなるべく誤差が少ないように調整した。

Lvだと最高値が20で、それ以下だと年齢的には上でも俺と同じ10くらいで皆止まってしまっている。

また、俺と同い年位だとリラクと同じ3程度と極端な結果になってしまった。

Lv10くらいだと平均が150くらいの能力値になっている。

Lv3だと平均は40程度。Lv20は………3人しかいないし、その3人とも能力値が極端なので何とも言えない。


スキル数は年上でもLvが高いものにもかかわらず、大体5個くらいしかない。しかも、その中で魔法系スキルを持っているのはほんの数人しかいない。

また、持っていたとしても『無』だけや『無』と他一属性だったりと3個以上持っている人はほとんどいなかったりする。

何故こんなにスキルの量が少ないのかはよくわからないけど、たぶん経験が足りないのではないかと考えている。

実際、アリシティアのスキル数は既に10種類を超えている。

元々持っていた5種のスキルに加えて、村長も持っていた【拳】や【蹴り】などが増えていたからたぶんだけど村長が教えたのだろう。

あの親ばかなら本当にやっているような気がする。


「そうだね、僕の名前はナツト=ペンネイトだよ。よろしく」

「へー、そういう名前なんだ。じゃあ、ナツトでいいな。俺のこともリラクって呼んでくれ」

「うん、分かったよリラク」


そんなことを話しながら歩いていると、ちょっとした十字路のところで先に行った子供たちがいた。

この十字路は時折存在して、主に畑を区切るためにある。

他にも、畑を踏み荒らさないようにするための通路代わりにするとか、十字路の中心点の近くで一仕事終えた農家の皆さんがお茶会するために使われていたりする。

あくまでも、十字路の横道は区切りに使うので、馬車が余裕で通れる縦道に比べると細い。

それでも、人位なら余裕で通れる広さを持っている。


「(あーあ、やっちゃったなこれは………説教は覚悟しておこう。日が暮れる前に済むといいんだけど………)」


この光景を見たリラクも隣で、片手で自分の顔を軽く握り少しうつむいて悲痛な声を上げている。

何が言いたいのかというと、道の幅が足りなかったのだ。

決闘を行う以上安全が保障されているわけではないから、距離を取らなければいけない。

百を超える子供が決闘を見物するには普通だったら、二重三重になって輪を作らなければ見ることはできない。

しかし、まだ子供だからか、魔法を使うことがほぼ確定している決闘を見ることができる興奮からかは分からないが彼らは冷静な判断を失ってしまっている。

つまり、何重にも輪になっていると見づらくなるから、彼らは一重の輪で見られるように道からはみ出して見物しているのだ。


畑同士を区切るための道なのだから、道の外には当然畑があるわけだ。

その外に出るわけだから、必然的に畑に足を踏み入れることになる。

数多くの子供が畑に入れば畑は踏み荒らされる。

一年で最も寒くなる【虚無の月】が過ぎて、まだ低温だが若干温かくなってきているので村人の何人かは既に低温でも育てられる作物を植え始めている。

俺の住んでいる『南区』なんかはほとんどの人が作物を植え終えている。

集会所は『南区』にあるのだから彼らが踏み荒らしている畑は、『南区』の人たちが植えた物だけど彼らはその存在に気が付いていない。

『南区』の人たちにかかわらず【イバキ】の村民の主な収入源は農作物だ。

その貴重な収入源の一つをつぶされたと分かったら当然怒るに決まっている。

まあ、まだ子供だから説教や厳重注意程度で済むと思うが、十分に畑仕事の手伝いができるくらいの年齢の子供たちは畑仕事の手伝いをさせられるのではないかと考えている。


「では、僕がこの決闘の審判をやらせていただきます。よろしいですか?」

「おう、もちろんだ」

「ええ、いいわよ」

「お兄様ですし、私もよろいいと思うわ」

「(うわっ、もう決闘始まる直前になっている)」


周囲に広がって見物している他の子どもたちからも「いいぞー」とか「頑張れ」とかの意味の言葉が何度もかけられる。

中には「死ねー」とか「かすめ」などの意味のない誹謗中傷や下品なことを口ばしっている者もいる。

まあ、本気で本人に向かって言っているわけではなさそうなので気にする必要もないし、それを諌めるのは彼らの友達をやっている人たちで俺が口出しするのはお門違いだろう。

それに、俺くらいの年の子供のいうことを聞くとは思えないしね。


審判に選ばれているのは、決闘する二人と同い年の金髪碧眼の落ち着いた印象を持つ少年だ。

名前は、確かコサン=ドロップといって、あのアリシティアの兄だ。

顔立ちはやはり整っていて縁なし眼鏡をかけている。

見た目のイメージは秀才といった線の細い感じだが、筋肉が適度についているところを見ると運動もできているのだろう。

実際、『筋力』と『知能』のどちらも高い値を保っている。

彼はこの村にいる少ない詠唱者の一人でやはり魔法学園の5回生だそうだ。成績はエリーとサインの二人よりも優秀で、持っている魔法系スキルも4つあり『筋力

』では負けているが『知能』では完全に勝っているから、決闘で時折起こる行き過ぎた過剰な攻撃が起きた時ちゃんと止めてくれるだろう。


コサンもリラクと同じような感情を持っているのか時々ため息をついているのが見て取れる。

たぶん、俺と同じようにこの後怒ることを考えて憂鬱になっているのだと思う。

けれど、それでもこの決闘を止めさせないということはもう畑が完全に荒れてしまっているから諦めていることと、妹がこの決闘を見たいと言っているから否定できないのだろう。

家族を思う気持ちは俺にもあるので、なるべく家族の意見を尊重させてあげたいと思う気持ちはよくわかる。

とりあえず、止めることもできないので俺たちは決闘を見ることにする。

輪の中に入ると畑をさらに荒らす手伝いをすることになるので、子供たちの輪の外から見ることにした。


「一応ルールを確認しておきます。勝利条件は相手を行動不能にするか、降伏させるかのどちらかです。しかし、致命傷になるような攻撃の一切を禁止させていただきます。武器を使ってもいいですが、これはなるべくなら寸止めでお願いします。そして、決闘では敗者は勝者の言うことを一つ聞くという悪しき伝統がありますが、勿論それはなしでお願いします。よろしいですか?」

「大丈夫だ」

「こちらも準備はできてます」

「ああ、いよいよお兄様とお父様以外の魔法も見られるのですね。楽しみ………」

「はあ………では、始めっ!」

「…………………」


身体情報

nameサイン=タンジェ Lv20 age10 sex男 race人間種

condition弱緊張状態 fromイバキ Exp6800/3420

命860/860 魔力980/980

筋力500 耐久480 敏捷430 器用350

知能330 精神340 持久1020

スキル一覧

【片手直剣技】(89)【両手直剣術】(2)【拳】(45)【蹴り】(44)【畑仕事】(102)【穴掘り】(92)【無属性魔法】(20)【金属性魔法】(21)【木属性魔法】(21)【岩属性魔法】(8)【土属性魔法】(6)【筋力上昇】(2)【耐久上昇】(2)【敏捷向上】(135)【知能向上】(67)【精神上昇】(5)【詠唱短縮】(23)【難聴詠唱】(8)

称号一覧

【人間種】【中級詠唱者】【中級戦士】【憧れに生きる者】


身体情報

nameエリー=コサ Lv20 age10 sex女 race人間種

condition弱緊張状態・微冷静状態 fromイバキ Exp6800/6578

命560/560 魔力1200/1200

筋力330 耐久320 敏捷340 器用450

知能520 精神480 持久800

スキル一覧

【片手直剣技】(67)【片手盾技】(60)【長杖術】(2)【拳】(78)【蹴り】(35)【畑仕事】(89)【片付け】(130)【洗い物】(34)【無属性魔法】(18)【水属性魔法】(23)【氷属性魔法】(21)【木属性魔法】(10)【風属性魔法】(6)【筋力向上】(110)【知能上昇】(7)【精神向上】(143)【魔力向上】(94)【詠唱短縮】(56)【難聴詠唱】(24)

称号一覧

【人間種】【中級詠唱者】【下級戦士】


決闘直前に二人を【解析】してみた結果だ。

『筋力』などの肉体面ではサインが勝っているが、『知能』と『精神』の魔法面ではエリーのほうが高い。

そのことから、近接戦闘になればサインに分があり、魔法戦闘になるとエリーの勝率が高くなるはず。

だから、二人は自分にとって最適な距離で戦おうとするだろう。

二人の総合的な能力の合計値はほぼ同じだから、作戦や駆け引き、奇抜な発想なんかが勝負を分けると思う。

少し気になるのはサインの持つ称号【憧れに生きる者】だけど、たぶん大丈夫だろう。


開始の合図の前に二人とも当たり前だが構えていた。

どこから持ってきたのかは知らないが、二人とも木剣を持っていた。

サインは木剣を両手で持ち、正眼に構えていた。

対してエリーは木剣を片手で持ち、だらりと垂れ下げていた。

観察して見た感じだと、両者攻めていく気満々だった。

さっきまでヤジを飛ばしたり応援したりと熱狂していた子供たちは、今は固唾をのんで見守っている。


コサンがまた一つため息をついた後の、決闘の開始の合図とともに二人は飛び出した。

『敏捷』で勝っているサインのほうが素早く反応し、先に木剣を振り下ろす。

それを見越していたのかエリーは、軽いサイドステップで木剣の切っ先を回避し木剣を薙ごうとして急にそれを止め、バックステップで再度木剣をかわす。

サインは最初の振り下ろしは避けられることを前提に考えていたようで、その後すぐに木剣を切り上げてきたのだ。


「『全てを凍てつかせる大いなる水色の氷。その断片が………』」


エリーは更にバックステップで距離を開け『氷属性』の魔法を詠唱し始める。

サインはそれに気づいて、すぐさま距離を詰めようとするが詠唱完了までには間に合わないと気が付いて、ちっと一つ舌打ちをするとすぐさま詠唱し出す。

迷いなく詠唱する魔法を決める辺り、サインにはエリーがどんな魔法を放っているのか分かっているのだろう。


「『………痛みもなく傷つける槍を作り出し、貫いていった』」

「『他に属することのない異端なる無。その断片がいかなるものも通すことのない強靭な守りを作り出していった』」

【氷槍(アイススピア)・通常】(・ノーマル)

【力盾(パワーシールド)・通常】(・ノーマル)


急いで詠唱し終えたサインの目の前に結晶化した魔力の盾が浮かび上がり、ほぼ同時にいち早く詠唱し終えたエリーから氷で作られた槍が打ち出されて落ちてくる。

しっかりと詠唱するために立ち止まっていたことが災いし、サインには避ける暇がなかった。

とっさに作り終えたばかりの盾をサインの身体と氷槍の間に割り込ませる。

槍と盾がぶつかり一時の間膠着状態になる。

しかし、魔法としての難度が【力盾】よりも高い【氷槍】に加えて、エリーが放物線を描くように打ち出していたために勢いよく落ちてきた槍は盾を貫いた。


「っ、【敏捷向上】」


サインは落ちてきた槍をぎりぎりで避ける。槍はザクっとさっきまでサインが立っていた場所を貫いて刺さった。

盾は抵抗空しく砕け散ってしまったが、槍の勢いを奪いサインに一瞬の時間を与えたようだ。

さっきの魔法の選択は一歩間違えば確実にサインはやられていただろう。

『無属性』下級魔法の【力盾】は物理的攻撃を防ぐ要素が大きく魔法攻撃にはほとんど機能しない。

準物理的な『氷属性』下級魔法の【氷槍】だったから何とかなったが、同難度の【冷槍】(クールスピア)だったら時間を稼げずに直撃していただろう。


「おい、エリーお前さっき殺すつもりだっただろう!」

「っ、そんなことはないわ。あなたならあれくらい避けるだろうと思っていたの」

「だったら俺からもいくぜ………『全てを刺し貫く大いなる銀色の金。その断片が冷たく硬き針を生み出し貫いていった』」

「いいでしょう。受けて立ちましょう………『全てを凍てつかせる大いなる水色の氷。その断片が凍てつき鋭い針を生み出し貫いていった』

【金属針(メタルニードル)・通常】(・ノーマル)

【氷針(アイスニードル)・通常】(・ノーマル)


今度は先に詠唱し終えたサインの魔法がエリーを狙って打ち出される。

更に、詠唱人為込める魔力を増やしたようで一本しか出ない金属の針が追加で三本作られ発射される。

輝き方から見るに【金属針】で作られた針はアルミニウム製だろう。

アルミニウムの時は針が軽くなり、相手に与えるダメージが少なくなる分飛んでいくスピードが速くなっている。


後から詠唱し終えたエリーはサインよりも二本多い六本の【氷針】を生み出し、速い速度で迫りくる【金属針】を冷静に狙い定めて【金属針】に【氷針】をぶつけていく。

二つの属性の針はそれぞれが真正面からぶつかり合い、しばらく拮抗した後どちらも崩壊した。

残った一本の氷の針をサインはステップで回避して、また詠唱を始めた。

そして、エリーもそれに答えるように詠唱をする。


「なあ、ナツトさっきの凄くなかったか?氷の針を金属の針に全部ぶつけてどうやっていたのか俺にはさっぱりわからなかったよ!」

「うん、まあ、そうだね凄いね………」

「(やっぱり、子供じゃこんなものかねえ。この程度じゃあ、決闘じゃなくてごっこ遊びの域を出ないね………おや?折角だし道を譲ってあげよう)」


二人の雄姿を見守っていた子供たちは魔法という未知の現象に興奮しざわざわとしゃべっている。

その中には自称天才のアリシティアや素質があるリラクも含まれている。

冷静に状況を見ているのは俺とコサン位のものだった。


俺には何でこんなに興奮できるのかがよくわからなかった。

前世での決闘といえばまさに殺し合いだった。

常に魔法が飛び交い、剣と剣がぶつかり合い鳴り響く金属音は止むことがない。

殺意をむき出しにして戦うために口は無駄な発言をすることなく詠唱を続ける。喋る時は相手の調子を乱すための道具として使われる。


この世界ではどういうものなのかは知らない。

だが、剣を振るったのは最初のほんの少しの時間だけ。

詠唱に短縮や無詠唱、同時詠唱などの工夫は一切見られない。

飛び交う魔法も全てが下級魔法で中級魔法は全く使われていない。

詠唱者自身は固定砲台となり魔法をただ放ち続けるだけ。

リラクが凄いといった魔法の狙撃による相殺なんて、詠唱者として基本中の基本のことだ。俺にとってはできて当然。リラクだって将来的にはできるようになるだろう。

それのどこに楽しみを見つけることができるのだろうか?

こんななのに【中級詠唱者】とかお笑いものだ。

まあ、そんなつまらなくなってしまった時間ももうすぐ終わるんだけど。


「はあ………【水取出(テイクウォーター)・最強】(・マキシマム)

「おうわっ!」

「きゃっ!」


丁度、サインとエリーの二人が、魔法を放ちあいお互いに相殺し終えた瞬間。

二人の頭上から魔法で作りだされた水が大量に落とされる。

そのおかげで二人はずぶぬれになり、そろって折角いい所だったのに邪魔したやつは誰だという顔をして魔法を使った人物がいるほうを見て、表情を青ざめさせた。

そこには、一見笑顔だが背後に燃えるような朱色の鬼のオーラを出している村長を始め、大人の村人の皆さんが揃っていた。


「どうだ、サイン君とエリーちゃんこれで少しは頭が冷えてくれたかな?」

「ええ、もちろんです」

「私も大丈夫です」

「そうか、そうか………後で5歳以上の子供たちは私の家の前に来ること。時間は後で親御さんを伝えて教えるからちゃんと守るように。分かったかな?」

「「「「はいっ、分かりました」」」」


どうやら、何かさせられるのはもう決定事項らしい。

村長の目が笑っていない。


「じゃあ、親も来ていることだしここで解散しましょう。ではさようなら。御身体にお気をつけて。あっ、コサンは今日の食後に私の部屋に来てくれ」

「………分かりました」


おや?どうやら懸念していた説教はないようだ。俺みたいな小さな子供がいるからぐずられても困るとでも考えたのかな?

たぶん、家に帰ったら父さんと母さんに怒られるだろうけど、事情を説明すれば何も言われなさそうだし。

まあ、無駄な時間が無くなると考えておけば、得した気分になるしもういいかな。


帰宅した後、やっぱり両親が説教しようとしたが、経緯と畑に踏み入ってないことを説明したら、「大変だったね~」とあっさりと説教を止めてしまった。

俺は事実何もしていないから説教されるいわれはないけど、2歳児の説明であっさり掌をひっくり返す両親を少し心配になってしまった。

この世界では子だくさんです。ナツト君の住む村では普通に6男とかいます。

なので、家庭が3桁あったら子供が3桁いるのは当たり前だったりします。

ペンネイト家は現在3兄弟ですが、どちらかといえば子供が少ないか普通くらいの部類に入ります。


【難聴詠唱】は【無詠唱】の劣化版のようなものです。

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