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第17話 魔法実験

魔法は『火』、『水』、『風』、『土』、『氷』、『雷』、『岩』、『木』、『金』、『光』、『闇』、『無』の12の属性がある。

魔法はこれら12属性に区分されている。

その中でも、『無属性』は特殊で他の11属性には区分されることなく、なおかつ魔力を持っているものなら誰でも使えるはずの魔法がこの属性に区分されている。


だからといって、この世界ではどうかは知らないが、俺の世界では『無属性』が他の属性と比べて劣っているという認識はなかった。

『無属性』は才能の差が圧倒的に離れやすい魔法である。また、定型詠唱が他の属性の魔法と比べて短く、魔力消費量も少ない。

まあ、その分魔法としての効果は低いのだが、正直気にするほどの差ではない。

例えば、『無属性』の下級魔法【力球(パワーボール)・通常】(・ノーマル)【魔球(マジックボール)・通常】(・ノーマル)位ならだれでも使えるが、才能有る者と無い者とではその基礎となる威力が桁違いである。

仮に才能無き者が野鼠をこの魔法で殺したとしたら、才能ある者はこの魔法で魔物を殺せるくらいに隔絶している。しかも、消費魔力も2倍くらい違うだろう。

ちなみに、【力球】は主に物理的ダメージを、【魔球】は主に魔法的なダメージをぶつけたものに与える魔法である。


どちらも魔力の塊のようなものだが、【力球】、のほうは表面の魔力が結晶化していて実態が存在している。

俺の持っている魔法スキル数は【現術(曖昧)】や【幻術】を含めると12をはるかに超える。

そのため、使う魔法によってはスキルが被ってしまう。その時にどうなるのかも確かめなくてはならない。

【自己情報閲覧】以外の初めては発動する魔法なので、まずは得意な魔法にしよう。


この世界の魔法を使うために必要な詠唱が、俺の前世の魔法詠唱と同じだということは確認している。流石に、全ての魔法詠唱が同じとは言えないが1つから2つの詠唱が一緒だったら他もほとんど一緒で問題ない。

使う魔法は『光属性』の下級魔法【幻影】(ファントム)。『幻』系統の魔法では最も簡単な魔法の1つだ。

また、スキル的に考えれば、【光属性魔法】と【幻術】スキルと被っているので早速確認することができる。

ちなみに、それぞれのスキルの説明文はこんな感じである。


【光属性魔法】(178)

光に関係する魔法を使うために必要なスキル。段階が上がる毎に『光属性』の魔法の効力、効果時間が増加し、必要な魔力量が減少していく。

(スキル段階が150を超えているので追加効果が解放されています)

増加値 『光属性』魔法効果+178% 効果時間+356%

減少値 『光属性」魔法魔力消費量-2%

追加効果【光属性魔法】スキル段階100以上

     スキル効果によって変動する数値が数字から割合に変わる

    【光属性魔法】スキル段階150以上

     スキル効果が2倍になる


【幻術】(200)

幻に関係する魔法を使うことに最も適したスキル。段階が上がる毎に『幻』系統の魔法の効力、効果時間が強化され、必要な魔力量が減少していく。

(スキル段階が200を超えているので追加効果が解放されています)

強化値『幻』系統魔法効果+1000% 効果時間+800%

減少値『幻』系統魔法魔力消費量-25%

追加効果【幻術】スキル段階100以上

     スキル効果によって変動する数値が数字から割合に変わる

    【幻術】スキル段階190以上

    『幻』系統最上級魔法の解放

    【幻術】スキル200段階以上

     スキル効果が5倍になる(段階150時の効果は消失する)

    【原型詠唱】の使用許可【深度1】までの解放


まさか、この世界でも【原型詠唱】が使えるとは思わなかった。

まあ、解放されているのが【深度1】までなので下級魔法でも簡単なものにしか使えないだろうし、既に滅茶苦茶な強化がされているはずの魔法をこれ以上強化しても意味がないと思う。

後、スキルの補正は既に説明文のほうに反映されているはず。

なぜなら、そうしないと『幻』系統魔法の魔力消費量-125%となって、魔法を使っているのに魔力が増えてしまうからだ。さすがにそれは無いと思いたい………

では、【幻影】の魔法を使うとしよう。

体内に流れる魔力を整えて、詠唱を開始。


「『全てを浄化する大いなる白の光。その断片が我が意思に従い変化する、実態なき偽りを作り出した』」

「【幻影・通常】」


もしものことがないように、詠唱は最も魔力を整えやすく、リスクも低くて使いやすい定型詠唱。魔法の強さは通常にした最も一般的な魔法の使い方にした。

魔法は何事もなく無事に成功して、俺の目の前には不定形の白い塊が出現した。

大きさは大人の人間の頭部と同じくらいで、部分によって不透明だったり半透明で向う側の雪景色を覗かしていたりする。常時、全体がゆらゆらと細かく揺れ動きこれが実体のない幻であるということが一目でわかる。


何故こんな塊が出現したのかというと、本来ならば作りたい幻影の姿かたちを想像しながら詠唱するのだが、今回は特に何もイメージしていなかったので好きなように弄る前の初期状態の幻影が作られたのだ。決して失敗ではない。

この魔法で作られた幻は俺の思考によって、形が三角錐になったり球になったり、色が白から赤、青とほとんど時間差がなく想像した通りに自由自在に変化する。

だが、揺らぎがいまだに残っていたので俺は継続している魔法を制御して揺らぎを消して、ついでに半透明な部分もなくした。

これで一目見て幻とは分からないはずだ。

そのまま、俺と瓜二つになるように想像して幻を変化させる。

あっという間に、俺と同じ中性的な顔立ちをした黒髪赤目の少年の幻が完成する。


どこからどう見ても俺である。半透明な部分や揺らぎを消して、細かい影も付けたので見た目だけでは判断が付かないであろう。

触ってみた(・・・・・)感じも良好。子供特有の質感の柔らかい髪の毛に、人体と同じ程度の体温を脳が感じている。

これなら全く問題ない。

これは【幻影】の魔法の効果の一つで、幻を見た物に幻覚を作用させることができるから行えたことだ。

さっき俺が自身の作った幻を触ったといっても、実質は触れてはおらず『柔らかい髪の毛を触った』、『人体と同じくらいの温度がする』と俺の脳が誤認していただけに過ぎない。


幻覚の効果を試すのに適当な相手がいなかったから自分に使ってみて確認した。

この効果は魔法を発動させた本人である俺には発動しないのだが、魔法を制御して自身にも効果が及ぶようにした。

最後に、幻の形を現在の形で固定してしまう。

こうすることによって、俺が幻の形の固定を解くか、この魔法自体を終わらせるまで幻がこれ以上変化しなくなる。

結果的に言えば成功で、【幻影】の効果を完全に引き出せていることがわかった。


この魔法は使用するだけなら簡単なのだが、効果を十分に引き出すことが難しい。俺の様に自在に幻の形を変化させることならば、少ないながらもできる人は見かけたが幻覚を作用させることは人間だとグリーパー家前当主の俺の父親以外だと見たことがなかった。

しかも、しっかりと制御できていないから効果も薄いし魔力も多く消耗してしまう。

この魔法に挑戦して諦めた人は何人もいる。そして、『幻』系統魔法が不遇される一端を作っている魔法でもある。

ポーン


『スキル【光属性魔法】の段階が1上がりました』

『スキル【幻術】の段階が1上がりました』


ポーンといった気の抜けたおとが、頭の中で響き視界の隅に表示してあった『お知らせ』に変化が起きていた。

さっき唱えた【幻影】1回の魔法発動で2つの魔法スキルの段階が上がったようだ。

まあ、こんな偶然はそうは起きないだろうが、1回の実験でスキルが被っている魔法を発動したらどうなるのかが分かったのは良かった。

結果は、スキルの重複している効果は段階が上のものが優先されて、被っている魔法を使うと両方のスキルに経験としてカウントされるようだ。

次は補助系のスキルも交えて今の自分の限界に挑戦しよう。

スキルの説明文ですが、魔法スキルだと段階が1~50だと向上、51~125だと上昇、126~199だと増加、200以上で強化と表示されます。

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