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引きこもり主婦のポンコツな日々  作者: 小日向冬子
13/21

引き続きにゃんこネタですにゃ

 くらにゃんの持病は、慢性腎不全だ。

 この夏、尿路結石になったのをきっかけにそれが発覚した。


 そういえば、去年の夏に食欲が落ちてけっこう痩せた時期があった。が、自分の体調もいまいちだったわたしは、「これだけ暑けりゃ、ニンゲンもにゃんこもバテるわな」とさして気にもとめずにいた。

 今さら後悔しても遅いが、思えばそのときすでにくらにゃんの体には異変が起きていたに違いない。


 そして今年の夏の終わり、おしっこが出ないという明らかな症状を得て病院に駆け込み初めての血液検査をしたときには、腎臓の機能はすでにかなり落ちていた。


 以前のデータが何もないので、それがいつから始まったのか原因がなんなのかも確かめようがない。が、5歳(ニンゲンでいうと30代らしい)という若さで腎不全になるのは、先天的に病気を持っていた可能性が高いという。


「大変ですが、これからはずっと何らかのケアが必要になると思ってください」

 ここ一か月ですっかり懇意になった獣医さんは、申し訳なさそうな表情でそう告げた。


 かくして、くらにゃんの闘病生活の幕は切って落とされた。




 腎不全のにゃんこにとって、体重の減少と脱水は大敵だ。

「普通は腎不全ケア用の低たんぱく食を勧めるんだけど、この子の場合、最優先事項はとにかく食べることだから。フードの品質は二の次ね」

 センセイからそうお達しを受けてしまうほど小食のくらにゃん。それからは各種猫缶を買い込んでとにかく食いつきのいいフードを探し、水飲み場も増やした。

 それでも口から入るだけではどうしても水分量が足りないようで、定期的に点滴を受けなければ体調を維持できない。


 毎週のようにリュック型のキャリーバッグにくらにゃんを押し込み、自転車をこいで病院に向かう。たび重なる通院は、心にも体にも、もちろんお財布にも優しくない。

 さらにお布団を汚されトイレの始末に追われ、いつものペースは乱れっぱなしだ。


 だがどんなに疲れていても、ぐったりしていたくらにゃんの調子が上向きになるのを見れば全部吹き飛んでしまう。


 ――ゆっくりでいいからさ。元気で生きていてさえくれたらそれでいい。


 祈るように心の中でつぶやいてから、ふと思う。


 どうして自分に対しては、同じことを言ってあげられないんだろうなぁ。


 他人には優しくできるのに、自分のことはいまだにちゃんと許せない。

 できもしないことばかりを要求し、あっという間に身動きが取れなくなる。役立たずなんじゃないかとか、誰かのお荷物になってるのではないかと考え始めるともう止まらない。


 ハンデを負ったくらにゃんを受け入れ大事に思えるのなら、自分にだって同じまなざしを向けてもいいはずなのに。


 ああ、人間って、本当に面倒くさい。




 今日もわたしのベッドを占領し、すやすや眠っているくらにゃん。


「だってみんな、ボクのこと大好きでしょ?」


 だらりと伸びきった寝姿からはそんな風に言ってのける声が聞こえてくるようで、その生き様がなんだか羨ましくなってしまったりもするのだった。

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