困った時に助けてくれないのは友達じゃないよね
俺はワカメおむすびにペットボトルのお茶。
対して、凜はよくわからないオシャレなパンとペットボトルの紅茶。
屋上は雨ざらしのため直接座ると汚れるので、立ったまま食べている。
凛「ねぇ」
俺「ん?」
凛「あんたは私のこと聞きたくないの?」
凛は、こっちをみないで話しかけてきた。
俺「聞いてほしいのか?」
俺は逆に聞き返した。
凛「そういう訳じゃないけど、他の人達と違うから」
他の人間と違う行動を疑問に思うのはもっともか。
俺「>言いたくなさそうなものは、無理に聞かない」
凛「そう――」
俺「ラノベ的模範解答ならそんなとこだろうな」
凛「……は?」
俺「単に面倒くさいからさ」
俺は本音を言った。
凛「……あぁ、そう」
凜は呆れた顔でそう言った。
俺「俺と凜は友達か?」
凛「え? 今日会ったばっかりだし、多分……違う……かな」
凜は少し困った顔をしながら答えた。
俺「他人の悩み事を聞いたら、なんとなく助けないといけない空気になるじゃないか」
凛「まぁ、そうね」
俺「どっかのラノベの主人公じゃあるまいし、友達でもない他人を助けるほど、お人好しじゃないし、暇でもない」
凛「ふ~ん、友達なら助けるんだ?」
俺「困った時に助けてくれない友達なんて友達じゃない……ってある人の受け売りだけどな」
凛「ぷっ、ははは」
凛は突然、噴き出した。
俺「何がおかしいんだよ」
俺は若干むっとした。
凛「さっき助けてくれたじゃん」
俺「……あれは――」
と言いかけたが、凜の微笑みに見とれてしまい、言葉に詰まった。
と思ったのだが、すぐに凛の微笑みが消えた。
凛「……あのさ、あたし――」
凜が何かを言いだそうとした時、昼休みの終了を告げるチャイムが鳴った。
俺「言いたいことがあるなら、後で聞くけど?」
凛「他人を助けるほど暇じゃないんでしょ?」
凜は、少しいたずらな顔をしながら言った。
俺「中途半端が気持ち悪いだけさ」
凛「また今度ね。それにもう……」
俺「え?何だって?」
凛「何でもない」
凜は足早に屋上を後にした。
何なんだ一体。
さて、屋上のドアをきっちり絞めないと。
俺「ん?」
校舎側から、屋上を振り返る一瞬、人影のようなものが見えた。
再度見直すも、変わったことは何もない。
俺「気のせいか」
俺はゆっくりと教室に向かうことにした。