転校生はお約束
俺「ふぅ、すっきりした。いやぁ、危なかった」
さてと教室に行くか。
俺の教室は、1年1組だ。
もう大体の生徒は登校しているようだ。
俺の席はラノベ的に、当然、窓際の一番奥だ。
席に着くと、前の席の男が話しかけてきた。
?「よう! 飛鳥井」
俺「よう。ヨシオ」
?「え? ヨシオって誰だよ」
俺「お前、女子のことなら何でも聞けと初対面の俺に言ってきたよな?」
?「うん」
俺「妹いるだろ?」
?「うん。あれ? 何で知ってるの?」
俺「もうヨシオでいいんじゃないかな」
幸「よくないよ。俺は八乙女幸太。いい加減覚えてくれよ」
幸「それより、ニュース、ニュース! 極秘情報があるんだ」
俺「ああ、転校生だろ」
幸「え!? 知ってたの? 俺も偶然知ったのに」
俺「ラノベでは良くあることだ」
幸「そ、そうか……。で、転校生って女子かな~?」
俺「女子だったな」
幸「だった……?」
「キーンコーンカーンコーン」
チャイムが鳴ると同時に先生が入ってきた。
先「おっはよ~。みんな席について~」
猫なで声を出しながら、先生が入ってきた。
ナレーター「猫屋敷撫子先生。得意技は猫なで声とあざとい仕草であるが完全に逆効果である。黙っていれば可愛いと評判。一応まだ20代」
撫「みなさ~ん。新学期だからって浮かれてばかりじゃダメよ~」
先生は良くわからない話を始めた。
俺「せんせ~」
撫「は~い飛鳥井くん」
俺「転校生の紹介をしなくていいんですか?」
撫「あ、ごめ~ん忘れてた。でも良く知ってたわね。まぁいいわ。入って~」
転校生の女子が戸を開けて入ってきた。
その瞬間、男子だけでなく女子もどよめいた。
モブ男A「おおお! 可愛いんじゃね」
モブ子B「お人形さんみたい」
モブ男C「あれ、どっかで見たような」
モブ子D「ねぇ、アイドルのあの子じゃない?」
撫「は~い、静かに~」
先生は黒板に名前を書きだした。
撫「この苗字、読める人~」
俺「はい」
俺は迷わず手を挙げた。
俺「雲母と書いて「きらら」だと思います」
撫「すっご~い。先生も読めなかったのに~。雲母凛さんで~す」
これで彼女は落ちたも同然だな。
難字の名前が読めれば、その女子は落ちると何かのラノベに書いてあった。
俺はドヤ顔をした。
のも束の間。
凛「あ~!? あんたはさっき、街中で押し倒してきた男!」
ざわざわ、ガヤガヤ。
生徒たちがざわめいている。
俺「おい! 誤解を招くようなことを言うな! それにぶつかってきたのはお前だろ!」
忘れてた。流れから行って転校生はコイツだった。
撫「高校生は高校生らしい、お付き合いをしなきゃダメよ~。でも先生、興味津々」
ナ「この作品は全年齢対象だから大丈夫である」
撫「みなさ~ん、仲良くしてあげてね。じゃ、雲母さんは、飛鳥井君の隣に席に座ってね」
凛「ぐ、ぐぐ・・・。はい」
凛は、すごく嫌そうに俺の隣の席に座った。