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第二音楽準備室に着くと、間宮さんは早々に椅子に腰かけ腕を組んだ。目を瞑り、何か考え込んでいる様子だ。

 僕の予想じゃ今日はどの部位を撃ってもらおうかとかそんなところだろう。

「どうしたの?」

 中々腕を解かない彼女に僕は問いかけた。

「いや、今日はどこにしようかと……、もうほとんどやり尽くしたな」

 僕の予想通りだった。

「そうだ」

 何か思いついたように間宮さんは急に立ち上がった。一切の隙間なくカーテンを閉め、ドアの施錠を再度確かめた。えらく慎重だ。

 完全にこの部屋の光が外に漏れないことを確認した彼女は「よし」と頷いた。

 そして、何を思ったか徐に服を脱ぎ始めた。

「ちょっと、何やってんの!」

 僕は慌てて制止した。

「ん?」

 既に彼女の上半身は下着姿になっていた。

「なんで急に服脱ぐの!」

 彼女の方に視線がいかないように僕は顔をそむけながら言った。

「今までは後ろを向いていて、いつ当たるか分からなかったけど、何処に当たるかは分かってたでしょ? だから何処に当たるかも分からないほうがいいかなって」

 彼女の理屈は分かった。

「だからって、その……別に脱がなくても。恥ずかしくないの?」

「いまさら何を言う。それに、私と君は付き合っているんだろ?」

 平然とそういう彼女に返す言葉がなかった。

 僕が呆然と口を閉ざしている間に、とうとう間宮さんの身を包むのは二枚の下着の身になってしまった。 

 僕は恥ずかしく、まっすぐに彼女を見れなかった。

「何を恥ずかしがる? 水着だってこんなもんでしょ」

「そうだけど……」

 それは水着じゃない。心の中で僕は訴えた。

「さあ、いつでもいいよ」

 そう言って間宮さんは後ろを向いて両手を広げた。

 間宮さんが後ろを向いたことをいいことに、僕は暫く彼女の身体に見とれてしまった。細く長い手足は引き締まり、素直に美しいと思った。よくみると所々に赤い小さなあざが多数見受けられた。考えるまでもなく僕が放った弾丸の跡だろう。

 しかし、それ以外には目立った外傷はなく、僕は意外に思った。

「何してるの? はやく」

「あ、ごめん」

 僕は急いでエアガンに弾を込めた。

 すぐに準備を済ませ、いつでも発射可能だった。僕は銃を構える。

 そして久々に戸惑った。

 今までは決められた部位――的があったが今回は彼女の身体全てが的だ。 そして衣服を身につけていない。

 初めて彼女を撃ったときの、抵抗――人を撃つことへの罪悪感がぶり返してきた。

「早く」

 間宮さんの声に反射的に引鉄を引いた。

 何処にも狙いを付けていなかった弾は背中の中心に当たった。

「っ……」

 間宮さんは小さな悲鳴を漏らした。そして顔半分振り向き『もっと』と、ねだるような背視線を僕に向けた。

 その誘惑的な視線に操られたように僕は次々と弾を放った。


――パンッ。左腕。


――パンッ。右足のふくらはぎ。


――パンッ。右肩。


――パンッ。左の太もも。


 ランダムに、だけど箇所が重複しないように撃ち分けた。

 次第に荒くなる彼女の声が僕の耳にも届いた。呼応するように僕の鼓動も高鳴っていた。

 いつの間にか、マガジンを五つも使い切り、彼女の後ろ半身は真っ赤に染まっていた。

 撃ち終わると間宮さんはその場にぺたりと座りこんだ。

「痛い、痛い。だけど届かないからさすることもできない。そこがまたいい……」

 自分を抱くように両手を背中に回しながら彼女は呟いた。

「いつもより多く撃っちゃったけど、大丈夫?」

「非常に満たされたよ」

 そう言って振り向いた彼女の顔は蕩けていた。

 下着姿でそんな表情をされては僕の理性がどうかなりそうだった。

「取りあえず、服着てよ」

「まったく、もう少し余韻に浸らしてくれたっていいだろう? それに誰も見ていない」

「僕が見てる」

「ふふ、そんな見つめてたの?」

「……」

 僕は黙り込んだ。それは肯定を意味していた。

「別にいいよ、君なら」

 間宮さんのその言葉をどう捉えたらいいものか僕は迷った。僕なんかに見られたところでなんとも思わないのか、それとも……。


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