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一人百物語 2

一緒に

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/08/08


以前、友人の雅代さんが事務のパートに行っていた某大手スーパーの社員トイレの個室のひとつには、いつも<使用禁止>の貼紙がドアに貼ってあり、使えない様にドアが閉められているところがあった。

ある日雅代さんがトイレに入ると、いつもは使用禁止になっている個室のドアが珍しく開いており、使える様になっていた。

修理したんだ、と雅代さんは思い、その個室に入ろうとした。と、そのドアの向こうに誰かが立っていた。

雅代さんと同じ、紺色の事務員の制服姿の二十歳代の若い女性で、きょろりとした大きな目が印象的な、知らない女性だった。

「あ、すみません」

と、雅代さんはあやまった。が、もう一度見ると中には誰もいなかった。

「?」

狭い個室の中をもう一度見回し、確かに誰かいた様なんだけど、と気味が悪いようにも思いながら、その時雅代さんはそこそこもよおしていたのでそのままドアを閉めて洋式便座に腰かけた。

そして用を足しながらふと足元を見ると

便座に座る自分と壁の間の狭い場所に、誰かが立っていた。

「!」

顔をあげると、先程の大きな目の女性が、より大きく目を見開いて雅代さんを睨んでいた。

雅代さんは悲鳴とともに、下着も上げないで個室から飛び出した。

その時、トイレには他に誰もいなかったので恥ずかしい姿を見られずに済んだが、雅代さんはとりあえず下着を上げ、みなのいる事務室へと戻ってきた。


以降、雅代さんは他の階のトイレを使う様になった。

目の大きな女性がいたという個室では以前何があったかはわからず、ただ、その後も

<使用禁止>

の貼紙が貼られたままだったらしい。



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