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第18話 その後が気になって(再び回転寿司屋編)

久しぶりに、無性にサーモンが食べたくなった。


気づけば、レーンの説得が下手だと三上が言っていた店の前に立っている。


ドアの向こうで、皿が回っている。


もう一軒のほうがうまいのは分かっている。

それでも、あのあとどうなったのか、少しだけ気になっていた。


席に着いて、湯のみを取る。


まずはサーモンを探す。


普通。

中。

特上。


前みたいに、特上だけが浮いていない。


少し迷って、中を取る。


「孤立が減った」


背後から声がする。


振り向く。

――いた。


入口のほうから、三上灯馬が歩いてくる。


そのまま一席あけて座る。


三上はレーンを見たまま言う。


「金皿が、謝っていない」


「前は浮いていましたよね」


言ってから、落ち着かなくなる。

自分の言葉が、この人に似ていた。


「そう。今は流れの中にいる」


「直したんですね」


「直したのは店だ」


「また見に来たんですか」


三上は湯のみの底に、緑の粉を落とす。

湯が、それを溶かしていく。


「改善は、経過を見るほうが興味深い」


わたしも気になっていたことは、言わないでおこう。


三上はレーンを目で追う。


「孤立は減った」

「代わりに、主張が増えた」


たしかに、前より金皿の間隔が短い。


普通。

中。

特上。

特上。

中。


似た並びが、いくつか流れてくる。


「自信がついたんですね」


「説得が上手くなると、強気になる」


三上は特上を取る。


「強気は、信頼を削る」

「強気で押し切る設計は、選ばれたとは言えない」


「聞く前に、取ってみたかったです」


わたしも特上を取る。

食べる。


……前より、うまい。


「仕入れも変えたんですか」


「伸びると、味も変わる」


皿を重ねたところで、店員が近づいてくる。

手には、金色の皿が二枚。


「本日のおすすめです。今日はサービスで」


三上は遮る。


「優遇は結構だ」


店員が戸惑う。


わたしが口を挟む。


「優遇じゃなくて、お礼ですよ」


三上がこちらを見る。

言い返してくると思った。

でも、こなかった。


「今回だけだ」


皿が、わたしと三上の前にそれぞれ置かれる。


「これきりにしてくれ」


店員はほっとして去る。


「どうして断ったんですか」


三上はレーンに目を戻す。


「改善は、全体に還元されるべきだ」


わたしはおすすめの一貫を口に入れる。


……うまい。


それでも。


この味は、わたしだけのものじゃない。

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