カフェ「リコリスサイエンス」――話題は「人工衛星って、なんで落ちないの?
千束(コーヒーをかき混ぜながら):「さーて、今日はみんなに、宇宙の話!『人工衛星は落ちながら飛んでいる』って、聞いたことある?」
ひとり(震え声):「えっ……落ちてるの?落ちてるなら、怖くないですか?……宇宙でも、失敗するんだ……」
リョウ(頬杖):「飛んでるのに落ちてる。量子的にはアリだね。って言うと難しいか。でも面白いよ」
夏美(スマホを取り出しながら):「つまりアレでしょ?ボールを横に投げて、速すぎると地球の丸みに沿って……ぐるぐる落ち続けるみたいな。ほら、例の“投げると落ちる”やつ」
圭介(真顔で図を指差す):「その通り。地球は丸い。だから“落ちてるのに地面にぶつからない”。人工衛星は、落ち続けながら進んでる。速度と高さ――この2つが絶妙なんだ
●人工衛星が飛び続ける2つの仕掛け
千束(指で円を描く):「まず一つ目のポイントは、“障害物がなければ動き続ける”ってこと!」
リョウ:「慣性の法則ね。ニュートン、ありがとう。摩擦も空気もない宇宙だから、一度動けば、ずっと動く」
ひとり(小声):「私は……ちょっと動いただけで疲れて止まるのに……宇宙って、体力オバケ……」
圭介:「違う。体力じゃない。むしろ“何も邪魔がないから”なんだ。人工衛星は、落ちても地球にぶつからない“コース=軌道”を取ってる。それが二つ目の仕掛けだ
●「軌道」は「速度」と「高さ」で決まる
夏美:「ここが超重要ってことね!速さが遅すぎると、地面にぶつかる。逆に早すぎると、どんどん遠くに飛んでっちゃう!」
千束(ふわっと立ち上がりながら):「たとえば秒速7.7km!これで高度300kmの円を描ければ、ISSみたいにぐるぐる地球を回れるってこと!」
ひとり:「……は、はっぴゃくメートル毎秒とかじゃなくて、7.7キロ……ひぃぃ、無理……私の全力疾走、毎秒2メートル……」
リョウ(にやり):「プロ野球選手が秒速40mで投げられるとしたら、あと190人分の力でようやく……宇宙にボール投げられるね」
圭介:「だからこそ、ロケットが必要なんだよ。あれは“投げる”ための最初の一撃。人工衛星を地球にぶつけずに、ずっと落とし続けるための設計なんだ
●地球を回る衛星たち:高度と周期の関係
夏美:「でさ、もっと高いところってどうなの?たとえば、3万6千kmとか?」
圭介:「それが“静止軌道”。1日で地球を一周する軌道。衛星がずっと同じ場所の上空にいるように見える。地上のアンテナが動かなくて済む。テレビ放送なんかに使われてるな」
千束:「ふふん、つまり、高く飛ぶほど“ゆっくり”になる!ボールのスピードが落ちる分、遠くを回る!」
ひとり:「私は……逆に速く回るのに、全然前に進まない人生を……」
リョウ(無表情で):「ひとり、それ、物理じゃなくて哲学