エネルギーを燃やして、空にぶち上がれ!
千束「さてさて、今日は“ロケットって何で動いてるの?”って話だよ~!」
ひとり「えっと……ガスとか……火とか……よく燃えてるやつ……?」
圭介「正解。ロケットは“化学エネルギー”で動いてる。要するに、燃料を酸素と一緒に燃やして、その反動で飛んでる」
夏美「そう。しかも地球と違って宇宙には空気がないから、“酸素も自前で持ってく”っていう超大変なやつ」
千束「自炊しながら登山してるみたいなもんだね~!だからロケットは“燃料タンク”と“酸化剤タンク”の2つ持ち!」
ひとり「荷物……多すぎて……絶対肩こります……」
圭介「でもそれがないと、推進できないんだよ。たとえば、水素と酸素を燃やすと、1モルあたり241kJのエネルギーが出る」
夏美「そのエネルギーをガスに変えて、ぶわーって吹き出す。その速度が“排気速度u”で、たとえば5km/sくらいが限界って言われてるの」
ひとり「えっ、それ以上には……ならないんですか……?」
圭介「現実には“物を吹き飛ばす方法”が燃焼だけだから、出せるエネルギーと“吹き出す質量”のバランスに限界がある。だから、水素+酸素の組み合わせが最高効率なんだ」
千束「それが、排気速度ランキングに出てくるんだよね!見て見て、H-3とかスペースシャトル、どれも液体水素と液体酸素の組み合わせで4.2~4.4km/s出てるよ!」
夏美「逆にケロシンとか油系は冷やさなくていいから使いやすいけど、3.0km/s止まり。ロシアのソユーズとかね」
ひとり「なるほど……水素と酸素がいちばんキレッキレなんですね……」
圭介「でもな、取り扱いが超大変。液体水素は−253℃、液体酸素も−183℃。冷蔵庫じゃ済まない」
千束「だから、みんなが選んでるのは“冷やさなくてもいい中間解”。性能もまぁまぁ、扱いもまぁまぁ。でも宇宙行くには……まぁまぁじゃ足りないんだよねー!」
夏美「そこで、重要なのが“推力”の量。要するに、どれだけ強く押せるか。1段目エンジンは、ロケット全体の重さを持ち上げるから推力もバカでかい」
圭介「たとえば“サターンV”、推力7.7MN。打ち上げる質量が3000トンだから、これでもギリギリ」
ひとり「すごい……火力……」
千束「そう、火力と冷却力と制御力の化け物。それが“化学推進ロケット”。燃えてるのに、計算通りに燃えろって言われるやつ!」
夏美「ちなみに今、注目されてるのは“燃料の新組み合わせ”じゃなくて、“電気推進”とか“核熱ロケット”とか、“新しい概念”のほう」
圭介「でも、今のところ“たくさん物を運んで、地球の重力井戸から飛び出す”って意味では、化学エネルギーに勝るものはない。これが現実」
ひとり「夢と火薬と……超低温の冷凍庫……それがロケット……