軌道と多段ロケットの意味
千束「さてさて〜!ロケットの話、いよいよネクストステージに突入だよ!」
ひとり「えっ……宇宙に……落ちる……って……落ちない場所が宇宙なんじゃ……?」
圭介「いや、そこが誤解されがちなんだ。“宇宙に出た”って言っても、ちゃんとスピードが出てなきゃ、ただ落ちてくるだけなんだよ」
夏美「そう。“宇宙にいる”ってのは、“落ち続けながらも落ちない”っていう不思議な状態。これが“軌道に乗る”ってことなのよ」
千束「つまりね、“ボールをめっちゃ速く投げたら、地球の丸みに沿って落ちるけど、地面にぶつからない”――そんな速さが“秒速7.7km”なの!これが軌道速度!」
ひとり「……私の人生も……地球に向かって落ちてる途中で……軌道を見失った感じ……」
圭介「ロケットも同じだ。重さがありすぎると、いくら速くても軌道に乗らない。だから“軽くなるまで”何度も“段”を捨てる」
夏美「それが“多段式ロケット”。1段目でちょっと上がって、2段目でさらに加速して、3段目で軌道突入!捨てるたびに軽くなるから、少ないエネルギーで済むってわけ」
千束「そうそう!しかもグラフで見ると、一段一段でΔV(速さの増分)が積み上がってくんだけど、1段だけでやろうとすると……燃料がエグいの!」
ひとり「……全部ひとりで抱え込もうとすると……潰れる……ってことですね……」
圭介「そう。構造部材・エンジン・燃料タンク――全部が荷物になる。ツィオルコフスキーの法則でも、最終的に“積める荷物”はたったの4〜8%」
夏美「だから、その“荷物”の中に“人工衛星”とか“宇宙望遠鏡”をねじ込んでるのよ。ジュース1本にキャップ2杯ぶんしか詰められない、って言われるとすごい非効率だけど……」
千束「それでもやる!だってそれが、唯一の宇宙への道だからっ!」
ひとり「……捨てるの……もったいないけど……捨てなきゃ行けない場所があるって……なんか……切ないです……」
圭介「人生と同じさ。背負ってたものを降ろすと、初めて見える景色がある」
夏美「泣かせに来てる?でもホント、宇宙って技術だけじゃなくて、哲学でもあるよね」
千束「ってことで!多段ロケットで、いざ宇宙へゴー!軌道に乗ったら、あとは“落ち続けながら飛び続ける”!……なんてカッコいいのっ!」
ひとり「私も……いつか……軌道に乗ってみたいです……」
圭介「まずは朝、布団からの発射を成功させような