あんた、一体誰なの?
「あんた、一体誰なの?」
誰もいなくなった後の放課後の教室、窓の外では雨が降り続けている。
静寂を裂くように、女生徒の苛立ち交じりの声が響き渡る。
「僕は神野八代さ。同じクラスだけど話すのは初めてではないだろう。それどころか、針のむしろの学校の中で君だけが僕に優しく話しかけてくれていたんだから」
彼女の名前は祭火灯花。
神野八代とは幼馴染らしく、数少ない友人関係というのが彼の中での彼女に対する位置付けのようだ。
「あんたは神野八代じゃないわ」
「なぜそう言い切れる?どう見ても神野八代本人だろう。まさかルパン三世みたいに華麗な変装をしているというのか。それともシェイプシフターが変身したとでも?」
「今までと雰囲気も言動も全然違うの。全く別人と言っていいくらい。あの病院を退院してからまるで人が変わったみたいに」
「良かったじゃないか。かつての彼よりも学業も部活も共に活発に励んでいる。周囲から軽蔑されることもなくなり、友人も増えた。今日だって放課後にクラスメイトとカラオケに行く予定だ。人間性が良くなり、周囲からも評価されるようになった私を幼馴染の祭火さんはなぜ素直に喜んでくれないんだ」
私の堂々たる主張に彼女は顔を歪め、口を噤んでしまった。
何かを言おうと口を開きかけたが、言葉が見つからなかったようで、悔しそうに唇を嚙みながら教室を出て行った。
一体私の何が気に入らないというんだろうか。
彼女はきっと頭がおかしいのだろう。




