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それじゃあな

 なんで部室に来たのかと祭火に聞くと、やっぱり気になったからと簡潔に述べた。

 感情型というか直情的というか、もしかしたら彼女は脳筋なのかもしれない。


「今私の事馬鹿だと思ったでしょ?」


「まさか滅相もない。本当に助かったよ。ありがとう」


 祭火たった1人で男子3人を倒して現場を制圧した後、教室からジャージを取りに行き、尾道は彼女のジャージを借りた。

 尾道はいつにない丁寧な口調で祭火に感謝の言葉を伝え、それから事態の経緯の説明を始めた。


「同じ新聞部の先輩とその友人達らしい。先輩がチェーンテレホンの次の対象者になって、こんな風にヤケを起こしたんだ。最悪な気分だよクソがッ」


 尾道は気絶して倒れている先輩に唾を吐いた。

 彼女は口が悪いだけで顔立ちが綺麗なのだが、そのせいで男子にも狙われやすいのだろう。


 学校内の治安はかなり悪化してきている。

 自宅に引きこもるというのもある意味で懸命な判断なのかもしれないと今更に感じた。


「それも今日で終止符を打つ」


 俺は倒れた新聞部の先輩に向かって手をかざす。


 ――――正確には、その背後にとり憑く女の怨霊へ向かって。


 怨霊が恨めしげに言葉を吐き出し始め、俺はそれを静かに耳を傾ける。


 ――――――――なるほど。


「…………分かった。それじゃあな」


 指先に霊力を溜め、怨霊に向かってそっと放った。

 パァンと、何かが小さく弾ける音。

 その小さな音は祭火の耳にも届いたのだろう。

 彼女は驚きながら周囲を見回している。


 こっくりさん事件がきっかけとなり、彼女は幽世の者と縁ができてしまった。

 微かな縁である分、怨霊の姿を視認できず、滅した直後の音だけを感じ取ったようだ。

 だが、それである意味良かったのかもしれないと思う。


 怨霊である女の姿を視て、話を聞いてしまっていたら、優しい彼女はきっと怨霊の味方になってしまっていたと思うから。


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