表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/39

2年生の秩父牛太郎君が昨夜、交通事故でお亡くなりになりました

 祭火からヘル・コールを受けた日から1ヶ月ほど経った頃だった。


 チェーンテレホンは校内の2年生を中心に大流行、2年生のほとんどの生徒が誰かからヘル・コールを受け、また他の誰かに発信することで浸透していった。


 そして知らない誰かが終着地点となって流れが止まったものの、何事も起きることなく徐々に風化して廃り始めていたが、ある日の朝学校で急遽全校集会が開かれた。


「2年生の秩父牛太郎君が昨夜、交通事故でお亡くなりになりました」


 体育館の教壇に立った教頭先生が厳かな口調で弁舌を始めた。


 1時間にもわたる長い話を端的に要約すると、事故の経緯詳細は警察の方で調査中、生徒は各自安全な登下校をすること、自転車通学はヘルメット着用を徹底、スマホのながら運転や二人乗りなど法令を遵守することはもちろん、基本的には道幅の広い大通りを通ることを意識するようにということだった。


 話を聞いていた生徒のほとんどは聞き流していたか、一部の聞き分けのある生徒は誰かも知らない生徒の死を静かに追悼していた。


 俺はもちろん前者だった。


 次の日もまた、急遽全校集会が開かれた。


「2年生の所沢良枝さんが昨夜、心臓発作でお亡くなりになりました」


 体育館の教壇に立った教頭先生は厳かな口調で弁舌を始めた。

 1時間にもわたる長い話を端的に要約すると、健やかな食生活と適度な運動、健康な身体づくりから病気にかからないよう日々気を付けて生活ましょうとのことだった。


 教頭先生当人もメタボリックな身体をしているせいで説得力はなく、生徒のほとんどは話を聞き流していた。


 そして次の日もまた、急遽全校集会が開かれた。


「2年生の大宮守君が昨夜、駅の階段から誤って足を滑らせて転落し、運悪く首の骨を折ってしまい、お亡くなりになりました」


 体育館の教壇に立った校長先生は困惑した口調で事故について話し、登下校の際は周囲や足元を充分気を付けるようにと注意を呼びかけた。


 3日連続の生徒の死亡に学校の先生だけでなく、生徒内にもどよめきが広がった。

 そのどよめきがパニックへと変わるのはまもなくのことだった。


 その日の午後に配布された校内新聞の大きな見出しにこう書かれていたのだ。


『チェーンテレホンをかけられた生徒が続々と死亡!?次の犠牲者はあなたかもしれない……(恐怖)』


 次の日も、そのまた次の日も生徒の死亡を告知する全校集会が開かれた。


 死亡した生徒のスマホの中にはみな、HELL CALLのアプリが入っていたことから、チェーンテレホンに参加していたことが推察され、その情報がどこからか漏れて生徒にまで広がっていた。


 そして死亡した生徒の順番がチェーンを逆から辿るように元受信者→元発信者へと繋がっていることが判明し、校内はすっかり恐慌状態のような雰囲気に陥っていた。


 昨夜のバイト疲れが抜けず机に突っ伏して寝ている俺の背中からも、そのただならぬ緊張感はひしひしと伝わってきている。


 そして、表面張力のように膨張し切った恐怖は唐突に弾けた。

 俺の名を呼ぶ男子の不穏な声色がその呼び水となって。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ