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リバース・ワールズ・アカデミー 記憶喪失の俺は反転世界の学園で頂点に立つ  作者: カギナナ


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9/9

学内交流戦0

 目を覚まして最初に見えたのは白い壁だった。いや俺は今ベッドで横になっているようだからこれは天井か。おそらくこの学園の病室なのだろう。何があったのか分からねぇと思うが俺にも何があったか分からねぇ。が、ただ一つ言えることがあるとすれば、どうしようもなく頭が痛いということだ。まるで俺のよく知る顔のお嬢様が俺に石を思いっきりぶつけてきたような激しい痛みだ。ほんとに一体なぜこんなに痛いんだ俺の頭よ。

「ようやく起きたようね」

 静かな声の主の方を見ると随分と分厚い本を膝に添えている少女の姿が映った。きっとこの病室で俺が起きるまで待っていてくれたのだろう。肩にそっとかかった白い髪と何を写しているのか読み取らせない瞳は、まるで彼女が空気そのものであるかのように感じさせた。そして、その少女がまとっている雰囲気はどこか気怠げで、人生にたった一滴の価値すら感じていなさそうな、どこか諦めを感じているような様子だった。そして服装的にこの学園の生徒らしい。さらに特徴的なのが左腕に巻いている腕章だ。あれはリン曰くこの学園にある生徒会の生徒の証だそうだ。つまり彼女はこの学園の中で上位の生徒なのだろう。ひとまず俺はなにか会話をしようと考え彼女が持っている本が目に入った。

「なあ、その本ってどんな本なんだ?」

「これはラマ・ナ・ベンドと言う小説家が書いた小説よ。タイトルは罪人の瞳」

 彼女はこっちに表紙を見せながら答えてくれた。その表紙には一人の少女と、その少女の目の中に檻に入れられた竜の姿が描かれていた。表紙だけでは全くどんな内容なのか掴めない。

 その表紙を見つめていると少女が飽きたように椅子から立ち上がった。

「はぁ、もう良いわ。あなたはもう目を覚ましたみたいだし、わたしはもう戻るわね」

「えっちょちょっと待てっ」

 俺の言葉を待たずして彼女が部屋を後にした。

(そういや、名前聞いてなかったな)

 程なくして部屋にリンが焦った様子で押しかけてきた。

「ちょっと刹那あんた大丈夫なの?」

「うん?どうしたんだよ。てかなんで俺はこんなとこで寝かされたんだよ俺なんにも覚えてないぞ?」

「うーんとそれは…あっそうよ!あんたがここに来る途中で急に転んで頭を強く打ったのよ!うんうん」

 なぜだか分からないがリンの目がいつもでは考えられないほど泳いでいた。

「まあそんなことはいいじゃないの。ひとまず頭大丈夫そうでよかったわ。さ、早く教室に戻るわよ」

「お、おう」

 誤魔化されながらも俺はそのベッドから体を起こし、仕方なくリンについていくのだった。


 その後、昨日とほとんど同じように授業を終えて、帰りの時間になった時に先生が今後の予定について話しだした。

「皆さんはもうすでにご存じかと思われますが、今日から約2週間後に学内交流戦が始まります。皆さんはこの学園に入ってから2回目となりますので、前回以上の結果を残せることを期待していますよ。どうか頑張ってくださいね」

(学内交流戦?なんだそりゃ)

 隣に座っているリンを見ると顔が酷く強張っていた。

 俺がリンに声をかけようと思ったと同時、先生が終了の号令をしたことでリンは焦りを感じているかのように早い歩調で歩き出した。それに対して俺も急いで荷物を持ってついて行く。

「ちょっとおいリンどうしたんだよ」

 俺の声を聞いてか一瞬驚いたように体を浮かせたが、少し冷静になったのか俺の方へゆっくりと体を向ける。そして少しの間を空けてようやく口を開いた。

「一回場所を変えましょ。じゃなきゃちょっと…話しづらいこともあるから」

「お、おう。分かった」

 そうして俺達は最寄りの喫茶店に足を運んだ。リンはミルクティーを、俺はよく分かんない物がかなりあったからコーヒーを頼んだ。

 そしてそれらが運ばれ、お互い一口ずつ口に運んでからリンが話し始めた。

「まずは学内交流戦について話しましょうか」

 それに対して俺は小さく頷く。確かに俺はそのことを何も知らないわけだからな。そこから話し出さないと噛み合わないことも多いだろう。

「学内交流戦って言うのは簡単に言うとこの学園全生徒によるトーナメントよ」

「全生徒って、この学園の生徒は一体何人いるんだよ!?」

「ざっと3000人ね」

「3000人!?」

 そんな人数でトーナメントってキツいにも程があるだろ。

「その人数で一体何をするんだよ」

「基本的に制限時間あり、一人一人武器を持って2対2のタッグバトルっていう形式で行われるわ。でも人数は1人でも参加は可能だわ。魔法の使用も可。というか実際そっちがメインって感じね」

 なるほどな。確かにその条件じゃ今のリンには厳しい条件にはなっちまうよな。

「じゃあそれでリンはどこまでいったんだ?」

 俺がそう言った途端、リンの表情が重々しくなった。言いたくなさそうにしながらもなんとか振り絞って言った。

「…1回戦、不戦敗」

「んなっ」

 このリンが不戦敗?冗談はよしてくれよ。そんな初めっから逃げるようなやつじゃないだろ。

「なんでそんなことに…」

リンは一度心を静めるかのようにミルクティーを一口運ぶ。そして言葉を紡ぐ。

「1回戦当日にその対戦相手につかまったのよ。『お前が出るのは学園の恥だ』って言われてそのまま校舎裏で縛られて、私は試合に出ることすらできなかったのよ」

「え、一緒にペアだったやつとかは?」

 その問いに対してリンは首を振る。

(なんだそりゃ、どんだけこの世界はコイツに厳しいんだよちくしょう)

 その時、何かが俺の中で溢れ出した。それが自分ではっきり分かったと思った時にはもうすでにその手はリンの小さな手を確かにしっかりと掴んでいた。

「大丈夫だリン!お前にもうそんな寂しい思い絶対させねぇし、お前のために誰にも負けねぇから…だから」

 その心の内を俺の伝えられるものの全てをかけて吐き出す。

「俺に…俺にお前を救わせてくれ———」

 もうこれ以上のことは、俺には言えなかった。だが、だとしても俺はこれを伝えるべきだと思った。そうだ、これは誓いなんだ。世界に打ちのめされ続けたこの少女を俺のまだ空っぽな存在の全てをかけて…



 俺は、地獄に落ちてでも『リーン・カルネシオン』を俺の手で————




あとがき

今回も・ワールズ・アカデミーを読んでくださり誠にありがとうございます。なんでしょうか刹那君はリンのことがかなり好きみたいですね。こっからラブコメに発展してくれたらなぁ〜と思ったり。あ、あとなんか最後の部分意味深ですよね~記憶喪失のはずの刹那君には一体何があるのでしょうかワクワク。ということで次回もこんな2人の動向に乞うご期待!ブックマークレビューよろしくお願いします!(迫真)

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