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10年前に回帰した元世界最強は、隠しスキル〈共鳴〉と未来知識で無双する ~俺だけ2周目の世界で、ダンジョンを最速攻略していきます~  作者: 八又ナガト
第一章 チュートリアル階層編

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018 決意と仲間

 当日の夜、『グロウスタウン』にある個室の食事処にて。

 俺は祈に、これからの方針について説明していた。


「今後の予定なんだが、明日にでも第10階層のボスに挑戦しようと思ってる」


 そう切り出すと、祈が目を丸くする。


「もうですか!? い、いえ、そういえば第10階層の階層主フロアボスはさっきのエリアボスと同じ40レベルって話でしたし、佐伯さんの実力なら確かに問題ないかもしれませんね……」


 不安と期待の入り混じった瞳でこちらを見つめる祈。

 しかし、俺はそこで首を横に振った。


「……そこなんだがな。実は、単純に階層主フロアボスと戦うわけじゃないんだ」


 そう告げると、祈が怪訝な顔をする。


「ど、どういうことですか……?」

「これが関係してくる」


 俺は入手したばかりの【蔦鎧の宝玉】を取り出し、説明を始めた。



「祈もこれの説明はさっき読んだだろ? ここに書かれている『定められた場所』というのが第10階層のボス部屋のことを指していて、そこでこの宝玉を使うことで、通常の階層主フロアボス以上に強力なエクストラボスに挑戦できる。今回、俺が挑もうと思っているのはそっちだ」

「え、ええっ!? どうしてそんなことを知って……というか、そんな強敵が待っているならもう少し準備した方が……」



 驚く祈の言葉を遮り、俺は続ける。


「普通ならその通りなんだけど、このエクストラボス戦には特殊な仕組みがあってな。挑む冒険者の人数やステータスに応じて、それに見合う力を持った個体ボスが出現する――つまり、いつ挑もうと討伐難易度自体はあまり変わらないんだ」


 そう。それが第10階層のエクストラボスが持つ最大の特徴。

 第1階層では挑戦者のレベルやステータスに関係なく出現するのは【智慧ちえへび】と決まっていたが、今回は完全にランダムなのだ。


「具体的な強さとしては、レベル、スキル共に、挑戦者がギリギリで乗り越えられるかどうかといった水準になってくる。他にも厄介な点として、ボス部屋入場後は新たにスキルを獲得することもできなくなるせいで、魔物の特徴を見てから対策を取ることも不可能……どう転ぼうと、挑戦者の真価を試される高難易度なボス戦になる」 


 俺の言葉に、祈は唇を噛む。

 危険性を察しつつも、その目には疑問が浮かんでいた。



「仕組みは分かりました……でも、そこまでしてそのエクストラボスに挑む理由はなんですか?」

「報酬が通常時とは段違いなんだ。本人のステータスやエクストラボスとの戦闘結果から、その才能を発揮するために適切なものが与えらえる」

「それって、第1階層のボス戦でスキルがもらえた時みたいな?」

「そうだ。今回はスキルに限らず、装備や称号になる可能性もあるが……いずれにせよ、今後もずっと役に立つ報酬をもらえる可能性が高い。それこそ、祈の〈調律〉みたいにな」

「…………」



 今朝までならいざ知らず、今の祈は自分に与えられた〈調律〉の凄さを理解しているはず。

 それに匹敵するだけの報酬を獲得できるチャンスなどめったにない。

 それが低階層にもなればなおさら。ここを過ぎれば、少なくとも第30階層を超えるまで同様の機会は訪れないだろう。


 ただ、祈にも説明した通り、今回のボス戦はそれなりの危険が伴う。

 出現するボスはランダムなため、俺の未来知識も活用できない恐れがあるのだ。

 戦い慣れしていない祈の安全を考えれば、エクストラボスには俺一人で挑戦し、その後で通常の階層主フロアボスを倒した祈と合流する手段もある。


 だが、〈調律〉という際立った才能を持つ彼女が、それに匹敵する何かを貰える機会を逃したくない。

 だからこそ俺は、まっすぐに彼女を見つめて自分の思いを伝える。


「危険がないとは言わない。だが、そのリスクに優るだけのものを与えられる自信はある。だからどうか、祈の力を俺に貸してほしい」

「――――!」


 驚いたように目を見開く祈。

 彼女はしばらく無言のままでいた後、ゆっくりと口を開く。


「その、少し驚きました」

「……やっぱり難しいか?」

「いえ、そうではなくて……佐伯さんは本当に、こんな私を信じてくれているんだなって……」

「?」


 最後が小声だったためよく聞き取れなかったが、祈は小さく深呼吸をした後、顔を上げ真剣な眼差しを俺に向けてくる。

 その瞳は、強い決意を宿していた。



「答えは初めから決まっています。私で良ければぜひ、一緒に挑戦させてください!」

「っ! ……ありがとう、祈」



 力強い彼女の言葉を頼もしく感じながら、俺は心からの感謝を告げる。

 かくして俺と祈は、ともにエクストラボスへ挑戦することになり――



『対象者との信頼度が一定数値に達しました』

『対象者:白河祈との共鳴が可能になりました』



「…………ん?」


 ――直後、そんなメッセージが俺の前に現れるのだった。

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