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10年前に回帰した元世界最強は、隠しスキル〈共鳴〉と未来知識で無双する ~俺だけ2周目の世界で、ダンジョンを最速攻略していきます~  作者: 八又ナガト
第一章 チュートリアル階層編

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010 レアスキル〈調律〉

「調律……?」


 祈のレアスキルが〈調律〉であると知った俺は、驚きのあまり言葉を失った。

 そんな俺を見て何か勘違いしたのか、祈は気まずそうに続ける。


「や、やっぱり知りませんよね、こんなスキルなんて。スキル説明にしたって、『魔力の波長を整え、様々な効果を生み出すことができる』っていう意味不明な一文しかありませんし……」


 そんな彼女に対し、俺は言った。


「いや、そんなことはない。他のレアスキルと比べても、調律はトップクラスに優秀なスキルだ」

「え?」


 その言葉は嘘ではない。

 〈調律〉は一周目において、最高峰のサポートスキルと称されていたほど優秀なスキル。

 味方へのバフ、敵へのデバフ、周囲の索敵。

 ありとあらゆることを叶えられる万能の力だった。


 とはいえ、それだけ優秀なスキルにもなれば当然デメリットも付随する。

 どのような効果が齎せるかは、使用者の魔力操作技術に依存してしまうのだ。

 他のスキルのように発動すればシステムが自動でサポートしてくれるわけではなく、本人が一から魔力の扱い方を学ぶ必要がある。

 そのため初心者が使いこなすには、かなり難易度が高いスキルと言えるだろう。


(なるほど……祈やパーティーの奴らを含め、これまでは誰も使い道が分からず持て余していたってところか)


 その効果が十全に発揮された時のことを想像すれば、勿体ないの一言に尽きる。

 このスキルを使いこなせていれば、彼らは何倍もの速さで上層に駆け上がれただろうに。

 祈りの持つ〈調律〉は、それほどまでに強力なスキルなのだ。


(――それだけじゃない)


 〈調律〉の魅力は、ただ強力なだけではない。

 俺にとっては何より重要なことが、もう一つ存在する。

 〈調律〉のスキルレベルが上がることで獲得可能な()()()()()()()()が、〈共鳴〉を活用する上で必須級の働きを見せるのだ。


 もっと言うと、第1階層の階層主フロアボス攻略時に得られるスキルは、本人の才能に合ったものが与えられる仕組みとなっている(俺の場合は少し例外だが)。

 つまり何が言いたいかと言うと、祈は摩天城のシステム直々に、〈調律〉を使いこなす才能を認められたということ。


(――こんな逸材、絶対に逃せない!)


 俺は身を乗り出すと、まっすぐ祈を見つめた。



「祈、一つ頼みがある」

「えっ? は、はい、何でしょうか?」

「俺と、パーティーを組んでくれないか?」

「……へ?」



 素っ頓狂な声を上げる祈。

 まるで自分が今、何を言われたか理解できていないようだ。


「もう一度言う。俺とパーティーを組んでくれないか?」

「……ほ、本気で言ってるんですか?」


 再度同じことを伝えると、ようやく受け止めてくれたらしい。

 戸惑うような彼女の問いに対し、俺は力強く首肯した。


「ああ、もちろん。今言った通り、調律は強力なスキルだし、俺ならその使い道を教えられる。まずは仮パーティーでいいから、一緒に組んでみないか?」

「…………」


 想定外の言葉に驚くように目を見開く祈。

 彼女はしばらく悩むような素振りを見せた後――自信なさげな表情でゆっくりと俯いた。


「や、やっぱり難しいと思います。お誘い自体はすごく有難いですし、断ってしまうのも申し訳ないんですが……佐伯さんは土村さんを圧倒されるくらい強い方ですし、きっと私が足を引っ張ってしまいますから。組むなら私なんかより、他の人の方がいいんじゃ……それこそ、最近噂のノーネームさんとか!」


 ……ふむ、ここでもNoNameときたか。



「残念だけど、それは無理だな」

「っ、そ、そうですよね、ごめんなさい。あの方は引く手数多でしょうし、そもそも会えるかどうかすら――」

「いや、そうじゃなくて。俺がそのNoNameだから」

「……………ふぇっ?」



 祈は本日何度目かも分からない、困惑の表情を浮かべた。

 つい話の流れで俺の正体を明かしてしまったが、どの道仲間になる相手に隠すつもりはないから問題ない。


「ノ、ノーネーム? 佐伯さんが? 圧倒的な速度でダンジョンを攻略しているっていう、()()……?」


 くるくると目を回す祈。

 どうやら、今の一言だけではまだ信じてもらえていないようだ。


(どうすれば信じてもらえるだろうか……そうだ!)


 俺はステータス画面を表示し、その称号欄を祈に見せる。


「ほら、この【最速踏破者さいそくとうはしゃ】がその証拠だ」

「………………」


 それを見た祈はしばらく無言でステータス画面を凝視した後、



「え、ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」



 これでもかと絶叫するのだった。

ここまでお読みいただきありがとうございます!

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作者のモチベが上がりますので、ぜひよろしくお願いいたします!

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