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特別展「古代メキシコ マヤ・アステカ・テオティワカン」に行ったよ

作者: 青洸


先日、所用で休みをとった際に時間が空いたので国立国際美術館で開催中の「特別展古代メキシコ」に行ってきました。


国立国際美術館の周辺は他に大阪市立科学館、大阪中之島美術館と文化的な建物が連なって建っており、特に中之島美術館の丘の上から見下ろす形で黒々と輝く外観と国立国際美術館のクジラの骨の様な近代的なデザインは外側から眺めているだけでなんとも愉快な気持ちになります。


平日でも大盛況のモネ展を尻目に国立国際美術館へ向かうと丁度バレンタイン期間であったため特別展では石像が展示されている「カカオ好きのサルの神様」(マヤ・アステカの神々はスペインの侵略で現地の人々が当時どういう風に呼んでいたのか記録が残っていないことが多くある)にちなみカップル割引の案内ポスターが掲げてありました。

なるほどと感心しながらエスカレーターを下っていき受付で通常料金2100円を1人分きっちり支払い更に地下へと進むといよいよ「特別展古代メキシコ」です。


特別展では時代と共にティオティワカン・マヤ・アステカ文明を追っていき、メソアメリカ地方を南下していきます。


最初に私たちを出迎えてくれるのはオルメカ様式の石偶像です。

挿絵(By みてみん)

この妙に間抜け面の像は赤ん坊とジャガーの融合体だそうです。

ジャガー?

言われてもよくわかりませんが下半身に獣の意匠があるそうです。

ガイドでは古代メソポタミアではジャガーが密林最強の動物として神聖視されていたと説明されていましたがなんで赤ん坊と融合しているのかはわかりませんでした。


ともかくこのなんとも言い難い愛らしさを持った石像に初手でぐっと心をつかまれてしまった私はその後も派手で楽し気な雰囲気を持ちながらどこかグロテスクで神聖さのある展示品たちを鑑賞しました。


挿絵(By みてみん)

ピラミッドに施された蛇の神様


挿絵(By みてみん)

死のディスク


挿絵(By みてみん)

猿の神様 


などなど。


人間の頭蓋骨に派手な装飾を施した祭具などもありましたがちょっと刺激が強いかと思いましたので写真を載せるのはやめておきます。


そんな中でとりわけ私に強い感銘を与えた展示が2つあります。


一つは当時の貴族を模した副葬品です。

こちらの写真は撮り忘れてしまったのですが、この副葬品の人物は頭部が不自然に細長く描かれているのです。

 当時の貴族はどうやら骨が柔らかい子供のころに無理やり頭を細長く矯正していたというのです。

 では、なぜ古代メキシコではこのようなことが行われたのでしょうか。

 それは当時の宗教文化が関係しています。

 古代メキシコでは主にトウモロコシが主食として食べられており、非常に神聖な食べ物として神話上でも重要な役割を持ちます。

 マヤの神話では神様が人をつくろうとしたとき土で造ろうとしたら猿ができ、トウモロコシの粉でつくったら人となったそうです。

 このトウモロコシをもたらす雨を神格化した「雨の神様(後にトラロックと呼ばれる)」とともに「トウモロコシの神様(後頭部にトウモロコシを付けた若い神様)」が厚く信仰されており貴族たちはこのトウモロコシの神になるべく似るように頭部の矯正を行っていたのです。

 中国の纏足やインディアンのトレパネーション、日本で言うお歯黒など現代の基準ではなぜそんなことをするのか疑問に思ってしまうような文化ですが、同時にどこか神秘的で興味深く感じます。


 もう一つは展示品ではありませんが、生贄の考え方です。

 古墳時代日本でも貴族豪族が亡くなると黄泉の国で困らないように奴隷が一緒に生きたまま埋葬される、また時代を下っても土木工事現場での無事故を願い人柱をたて生き埋めにするといったことが行われていました。

 基本的にこれらの人身御供は忌避されるべきものであり古墳の生贄などは後に埴輪などで置き換えられていきました。


 一方でマヤ、アステカでの生贄とは雨や豊穣を祈念するもので生贄になることは非常に名誉あることであり生贄になることで天国へ行けると信じられていたようです。

 これは神話上で世界は神々の犠牲によって成り立っておりその神々に対し人はどんな代償を払えるのかということが重要な価値観となっていたからです。

 よって時には球技などで買ったチームが生贄の栄誉を得る、また生贄の獲得のため花戦争と呼ばれる定期的な戦争を都市国家同士の契約の元に行うことまであったそうです。


 しかし時代が進むにつれこのような過剰な生贄の要求に疲れた都市国家群がスペインに味方しアステカ帝国は国家の繁栄を願った生贄が原因で滅びることになったのです。


 さて、なろうの愛読者としてはこんなマヤ・アステカをモデルにした異世界に転生してしまったらなんて考えながら展示を見ていました。

 生贄を要求する側される側、はたまた侵略して滅ぼすスペイン側どの立場に立っても主人公の苦悩が見えて楽しそうです。

 生贄ものは不二子F先生の『ミノタウロスの皿』という大傑作があるのでハードルが高いのか、それともなろうの文化に合わないのかあまり読んだことが無いです。

 生贄まではいかなくても異世界で儀式的身体改造などの文化が出てくる小説読んでみたいなと思いました。


「特別展 古代メキシコ マヤ・アステカ・テオティワカン」は5/6か迄やっています是非創作の参考に訪れてみてはいかがでしょう?


エッセイをかこうと思ってから1カ月放置しているうちに、Twitterでマヤ・アステカを歌ったNHKの曲や、新たに発見された仮面のツイートがツイートバズってました。

マヤ・アステカブームが来るのでは?

時代が生贄を求めている!


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