無欲
よそいたての豚汁。湯気が昇る白胡麻をかけた玄米入りの白飯に、はりはり漬けがあれば、もう、何かを欲することはあるまい。それほどまでの満足感を味わえたことが、昨夜の幸せであった。
謎の睡魔に誘われて、覚えていない夢を見て、目が覚めたら、今日の炊飯ボタンを押す時間になっていた。ぼうっとしながら、何かに操られたように真っ直ぐ手を伸ばし、カチッとひと押し。そして、ぐらぐらと炊ける音を聴きながら、ソファ代わりにしている折り畳みベッドの背もたれに置いたクッションに頭をのせ、毛布にくるまって、飼い猫のように、まあるくなってみるのだった。
それでも食後にはお土産の八ツ橋を頬張っているから、面白い。あたたかいお茶を啜って、なんとなく笑えるTVを観る。
思い立ったら、キータッチで執筆する、手描きで創作する、本を2、3冊読みながら目を閉じて、唸って・ぼやいて・呟いてを繰り返す。ある意味、贅沢なひとときの中で生きている。本業=修行、副業=生計と
思うことで、暮らしてくだけのために従事している副職が本職の支えになっていると思うことで、乗り越えられている。研究と活動は、自由に・好き放題に・楽しく遊ぶように思考の世界旅行を飛び回る。
だから、明日も生きていく。明日から先も長く歩いて行けるように、飲む点滴、甘酒にジンジャーパウダーを入れて、良くかき混ぜながら、ふうふうといただくのである。
美味しくて、ありがたいと手を合わせる時間が1日のうちに1回でもあるなら。
もう、何も、望まない。




