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忘れられた盾の勇者は護りたい  作者: たてみん
第2章:騙られた救いの聖者
45/131

45.材料集め

 バックラー領都を出た僕達は、バーラさんと物資を乗せた馬車とその護衛にはギュッテン村に直行してもらいながら残りのメンバーは別行動で空の酒樽を背負って森の中を駆けまわっていた。


「いい?到着してから薬の材料を探すんじゃ間に合わないから移動しながら採取していくよ」

「「はい!」」

「必要なのはテング草と、クッコロ茸だ。どっちも有名な毒草・・だからみんな知ってるよね?

 心配しなくても根絶やしにしたって1週間後にはまた生えてくるな奴らだから。テング草は地上部分を、クッコロ茸は根元から採集して酒樽に放り込んで行って」

「「分かりました!!」」

「1班と2班は周囲の警戒を。薬草集めは慣れてないと周囲への警戒が疎かになるからね。ウェアウルフ1匹通すんじゃないよ!」

「「了解!」」

 

 今僕らが採取しているのは森に入ればすぐに見つけられる類の植物で、一般教養として最初に絶対食べてはいけないと教えられる毒草達だ。安易に触ろうとするだけでも叱られる。普段なら絶対に見ても無視するもの達だ。

 同行してくれている皆は僕の指示を聞いて何も言わずに従ってくれている。ありがたい。


「アル坊が要るって言うんだ。そうなんだろう」

「俺達には分からんが、だからこそまずは手を動かす」

「もしかしたらそう言う事かもしれないけど、アル坊が殺るっていうならそれはもう打つ手が無くなったって事だしな」


 みんながせっせと薬草を採取しながら前進していくのを見送った後、僕はサラとフィディと3人で木の上を跳んでいた。その足取りは地上を走るのと遜色がない。


「フィディは流石エルフだね」

「まあこれでも『森の精霊人』なんて呼ばれてるのよ。

 森の中ならアルにだって負けないわ。

 というか、アルもだけどサラもどういう身体能力してるのかしら!?」

「これくらいはメイドの嗜みです。

 アル様に付いて行こうと思ったらこれくらい出来ないと務まりませんから」

「いやまぁうん。そうね」


 なぜかフィディからジトられている気がするけどなんでだろう。

 横を見れば通りすがりに見かけた猿の魔物が僕たちを呆然と見送っていた。追いかけて襲い掛かろうにも追い付かない、いや襲おうと思う暇も無かった感じだ。僕達も今は魔物に時間を取られている暇はないので無視だ。

 そうして1時間ほど移動を繰り返し。


「アル、見つけたわ。2時の方向!」

「よし!」


 お目当てのものはフィディの指差した木の天辺付近にあった。

 遠くからでもブーンと羽音を響かせるそれは、森の殺し屋とも言われる毒バチの群れとその巣。彼らはその強力な毒と顎、そして数の暴力で大型の魔物でさえ食い殺し骨に変えてしまうという。


「でもどうするの? 私の魔法なら倒せなくはないけど、巣も無事では済まないわ」


 通常こうした小型で数が多い魔物を相手にするなら面制圧が出来る魔法で一掃するのが一般的だ。だけどその攻撃範囲には彼らの巣も含まれてしまうので、その巣の蜜が欲しい今はその手が使えない。でももちろんそれは巣を狙おうと考えた時点で分かっていた事だ。


「そこは任せて。僕に考えがある。サラとフィディは後で呼ぶから少し手前で身を護りつつ待機してて。

 あ、それと耳塞いでてね。離れてても危ないかもだから」

「耳?」


 僕はふたりをその場に残して一気にハチの巣へと近づいた。すると当然僕の事を外敵と見なした蜂達が殺到してくるけど、1体1体はそこまで力がある訳じゃないからね。魔力で防護膜を作ってあげるだけで彼らの攻撃は僕には届かない。

 そうして巣の真横まで来た僕は左右の手に持った2枚のちょっと特殊な盾を叩き合わせた。


キーーーーンッ!!


 甲高い音が辺りに響き渡る。それは衝撃波を伴って全方位に拡散していく。大型の魔物でも下手をすれば鼓膜を破られてのたうち回るだろう。小型の魔物ならひとたまりも無い。その音にショックを受けた蜂達は残らず意識を失いボロボロと地面に落ちて行った。

 僕はフィディにハンドサインを送って下に落ちた蜂達の処理をお願いしつつ再度今度は連続して盾を叩き合わせた。


キンキンキンキンッ


 響き合う音は、振動となって巣の中に残っていた蜂達をも気絶させていく。これで巣の中の魔力反応はのこり1つ。なのでサラにこっちに来てもらった。


「えっと、ここですか?」

「そう。ブスッといっちゃって」

「はい」


 サラが持っていたレイピアで僕の指示した場所を突き刺した。途中ズンッと重い感触があっただろう。それは女王バチに止めを差した証拠だ。女王バチは流石にどう頑張っても巣の外には出てこないからね。倒すには巣を壊すか、こうして魔力反応を元にピンポイントに突き殺すしかない。

 無事に毒バチの討伐を終えた僕たちはその巨大な巣を邪魔な外壁を外しなら回収して皆の所に戻った。薬草の採取をしていた皆も酒樽いっぱいに毒草を回収してくれていて、これなら多分足りるだろう。


 

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