121.教育的指導というもの
お待たせしておりますm(_ _)m
そしてまだ今月もほとんど執筆時間が取れないのでもうしばらくお待ちくださいませ。
さてと。
空のワイバーンはエンジュが矢を撃ちこんでサラが縄で引っ掛けて街中に落としてキャロと住民有志が処理してくれている。
地上も騎士団の皆がレッドドレイクの突撃を上手に受け止めて、そのエネルギーを利用して討伐しつつ用意しておいた堀を使って血抜きをしている。
堀に流れた血は予め植えておいたつる植物が美味しく頂いてグングンと成長している。むしろ今までは近隣の魔物を狩った時にしか餌を与えられなくて申し訳なく思っていたところだ。あれだけ大きく成長すれば後は維持だけなら光合成で何とかなる。最近は降ってなかったけど纏まった雨が降れば堀に普通に水が溜まるはずだし。
「このまま行けば何とかなりそうだね」
「はい、そうですね」
「人手が足りないのは今後の課題か。
せめてエンジュと同程度の対空戦力が2人くらいは欲しいな」
「ご主人様。わたしでしたらまだまだ行けますよ?」
いやうん。エンジュがお肉確保のために攻撃速度をセーブしてくれているのは分かっている。そうじゃなくて問題なのは交代要員が居ないということだ。
「今後毎回エンジュに頑張ってもらう訳には行かないし、波状攻撃とかされた場合は適度な休憩を挟めるようにしたい。
そう考えると3交代制を取れるだけの人員の確保と育成を行っていこう。
エンジュだって女の子なんだから、数年後には長期で飛べなくなる期間が出来るかもだし」
「そうなんですか?…………あっ」
エンジュは可愛いし大人になればすぐに恋人も出来るだろう。妊娠出産期間は空を飛んだり戦場に出たりは出来なくなる。その事に気が付いてぽっと顔を赤くするエンジュ。とは言っても早くても3年は先の話だ。……いや待てよ?有翼族は普通の人族よりもそう言うの早いんだっけ。
気が付けば潤んだ目で僕を見てる気がするけど、ま、まぁ今は気にしないことにしよう。
「よし。じゃあ僕は邪神龍モドキの所に行ってくるよ」
「お気をつけて行ってらっしゃいませ」
「わたしが道を空けます」
邪神龍モドキは他の魔物が攻撃を開始しても一緒に攻撃せずに後ろでどっしりと構えていた。総大将としては正しい動きかもしれないけど、僕は前に出る派だ。
「そは導きの光。遮る一切を打ち砕き終末へと願いを届けるものなり。
『ペネトレイトフラッシュ』!!」
エンジュが放った矢、というよりももう光の柱が邪神龍モドキとの間に居たワイバーン十数体を吹き飛ばし、そのまま邪神龍モドキへと飛んでいったがしかし。
「ガウ」
ぺしっ
邪神龍モドキが振るった羽にいとも簡単に弾かれてしまった。お返しとばかりに今度は邪神龍モドキが大きく息を吸い込むモーションをした。
「あれはまさかブレス攻撃ですか!?」
「うん、そうだね」
慌てるエンジュ。それもそのはず、僕らの後ろには街があるので避ければ街は壊滅だ。なので今回は防ぐしかない。エンジュの攻撃を軽く防ぐ邪神龍モドキだ。当然攻撃力もエンジュを上回るだろう。
「来ます」
「ガッ!!」
邪神龍モドキから放たれたブレスは太さこそ先ほどのエンジュの光の矢と同じだけど威力は桁違いだ。それが真っすぐに僕ら目掛けて飛んでくる。
僕は一歩前に出てそれを迎え撃つ。
「ていっ」
ぱしっ
目には目を。邪神龍モドキがやってみせたように僕も軽く弾き飛ばして見せることにした。ちょっと腕が痺れたのは悟られない様にしよう。
弾かれたブレスはバウンドするように僕らの上を飛び越え、街も飛び越え、更にその先の大地に墜落していった。するとここからでも分かる程大きな爆発が起きて大地を抉り取った。大量に飛び散る土砂。畑も何もない場所だから良かったけど何かあったら大惨事だ。
……しまったなぁ。これなら見栄を張らずに分散するように弾けばよかった。
「あれを埋め立てるのは面倒だから雨が降って池になるのを期待しようか」
「はい。あの、それは良いのですがアル様」
「ん?」
「あの辺りにはちょうど街から逃げ出した人たちが居たようです」
「そうなの? 逃げ出した時間から考えればもっと遠くに行ってても良いと思うんだけど」
「どうやら、無事に襲撃に耐えられたら戻って来ようと様子を見ていたようですね」
なるほど。無事に襲撃に耐えて僕らが凱旋する直前で街に入って、さも僕らが勝つのを最初から分かってましたって顔で迎えようとしてたんだろう。そんな下手な欲目を出さなければ無事でいられたのに。そもそもの話、街の防衛に役に立たないなら居てもらう意味もないし。
それはともかく、エンジュと邪神龍モドキの攻撃でしっかり道が出来てくれた。
「じゃあ今度こそ行ってくるね。こっちの後は任せるよ」
「はい、お気をつけて」
「お早いお帰りをお待ちしてます」
ふたりに見送られて僕は空を蹴った。そして一直線に邪神龍モドキの元へと向かうとすぐ目の前に立った。
「……」
「……」
じっと見つめ合う僕と邪神龍モドキ。ある程度の実力者になれば盾を打ち合わなくてもお互いの力量が分かるものだ。もっとも、生まれてまだ1年と経っていないこいつにそれを求めるのは酷かな。
「グルァ」
「ほいっと」
振り抜かれる右爪を上に跳んで避ける。そして。
「『お座り』!」
「ギャオオオッ!!」
僕の盾が邪神龍モドキの頭に叩き込まれた。100メートル先の森へと墜落する邪神龍モドキ。ベキベキと木をなぎ倒したその先から光が発せられる。距離が空いたらすかさずブレス攻撃か。この辺りの戦闘勘は悪くないようだ。だけどまだまだ甘い。
「『倍返し』!」
今度は後ろに護るものは無かったから避けても良かったんだけど、折角の僕には足りない攻撃力だ。反動も付けてそのまま撃ち返してあげた。すると呑気に地上でこちらを見上げていた邪神龍モドキに直撃。
「グギャアアッ」
「なにブレス撃って安心してるんだ。
さっきより溜めの少ないブレスなんだから防がれて当然だろう。
なら目眩まし程度に考えてすぐ次の行動を取らないとダメじゃないか」
僕は奴の真上に移動しながらお説教をする。いくら力があってもその使い方がなってないと威力半減だからね。
「グルルルッ」
怒りに目を血走らせた邪神龍モドキが一気に僕の目の前まで飛び上がって来て、今度は左右の爪で連撃を放ってくる。けど違うんだって。
「お馬鹿!」
ガキンッ
「わざわざ目の前で止まるんじゃない!」
ガキンッ
そんな体重も速さも乗ってない爪撃を弾くなんて余裕に決まってる。
僕は弾いた反動でがら空きになった胴体を盾で殴り飛ばしながら言った。
「その巨体は飾りか!?
地上ならともかく上空じゃ踏ん張りが利かないんだから、接近する速度のまま振り抜いて、こうだよ!」
「ギャインッ」
実演で飛び掛かりながら盾で鼻っ面を殴り飛ばす。僕の場合は体重はそれ程でもないから代わりに空中に空気の盾を用意してそれを踏みしめる事で代用したけど。
ともかく邪神龍モドキはずっと向こうまで吹き飛んでいってしまった。




