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忘れられた盾の勇者は護りたい  作者: たてみん
第1章:忘れられた盾の勇者
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1.伝説の生まれた日

いつも読んで頂きありがとうございます。

お初な方は初めまして。今後ともどうぞよろしくお願いします。


新年度になりましたので連載投稿を開始しました。

といってもいつも通りプロットなしストック少しという状態なのでこの先どういう展開になるのか作者にも全く分からない状態です。

一緒に彼らの成長を見守って頂けると幸いです。


 その日。世界中を恐怖に陥れていた黒き龍が地に伏した。

 その時。一人の英雄が静かに息を引き取った。

 周囲は戦いの激しさを物語るように大地は切り裂かれ、生命は死に絶えていた。

 残ったのは英雄の仲間たちと、最期に英雄がもたれ掛かった1本の木のみ。


「……終わったのか」

「ああ。そのようだな」

「まったくとんだ化け物だったぜ」

「それはどちらの事を?……いえ、忘れて下さい」


 生き残った者達は勝利に湧き立つこともなく、静かにその場に佇んでいた。

 黒き龍。邪神龍と呼ばれた怪物は倒れてもなお小山ほどの大きさがあり彼らは圧倒されていた。こんなものに挑んで良く自分たちは無事でいられたなと。その原因を作った者もまた怪物だったのかもしれない。


「しかし討伐証明はどうする?」

「不要でしょう。邪神龍が死んだことは多少魔法に覚えのあるものなら大陸の端からでも感知出来ます」

「それに角1つ取っても簡単に持ち運べるサイズじゃないし」

「そもそも、フンッ!

くそ、死んでなお俺の全力でかすり傷しか付かねえもんをどうやって回収するんだって話だ。

これ後から解体部隊が来て回収できるのか?」

「まあ、最悪このままの状態で物量に物を言わせて王都に運んで展示する、とかですかね」

「兎に角帰るぞ。騒動が収まって周辺の魔物が集まって来られても厄介だ」


 そうして何も回収せずに帰国した彼等は、それでもなお英雄として迎え入れられることとなった。

 ただ、後日邪神龍の遺体を回収しに行こうとした部隊は、その遺体から発せられたと思われる瘴気に阻まれ回収どころかその姿すら確認することは出来なかったという。


……

…………

………………


 暗い暗い闇の中、俺は何かの視線を感じで目を開けた。

 闇の中に映るのは闇よりもなお黒い邪神龍の頭。その瞳がギラリと光りながら俺を見つめていた。


『ふっ、ようやく目を開けたか』

『なっ!?お前喋れるのか』


 戦いの間のこちらを押し潰すような咆哮からは想像出来ない程、落ち着いた声が聞こえてきた。

 これがあの死と破壊を撒き散らす邪神龍の声。とても知性的で悪意の欠片も感じない。

 いやそれよりも。


『まだ生きていたのか!

 みんなは?みんなは無事なのか??』

『安心しろ。我は死んだ。

 そして、お前もな』

『!?』


 暗くて分からなかったけど、言われてみて気付いた。今の俺には手足の感覚がまるでない。それに邪神龍も首から後ろが無い。ドラゴンヘッドと呼ばれる魔物も居はするが、あれは他の魔物が擬態した姿だ。

 しかしそうか。


『世界は護れたんだな。良かった』

『ふむ、不思議な奴だ。

 自分が死んだのに他人の無事を喜ぶとはな』

『いや、死にたかった訳では無いし、やりたいことはまだまだあったよ。

 それでもお前が居なくなれば世界は平和になるし、あいつも……』


 俺が胸をなでおろせばしかし、邪神龍はこれ見よがしに溜め息を吐いた。


『はぁ〜。どうやらお前は救いようのない莫迦のようだ。

 我が居なくなっても世界は平和にはならん。

 むしろ人間同士の争いが加速し、より混沌とするだろう』


 邪神龍の言いたいことは分かる。

 どの国に行っても俺達が魔物を蹴散らせば、なんの根拠も無いのにもう邪神龍に勝てたような口振りでその先のことを話し出す。そう、平和になった世界を誰が納めるかで。


「邪神龍を倒した暁にはぜひ我が国にお越し下さい」

「先見の明がある者が次の時代を担うのだ。

 他の国に遅れを取ってはいかん」


 確かに先を見据えて動くことは大事だろう。だけどやっていたことは周囲の足を引っ張る事だけ。そういう国に限って一部の特権階級以外は貧しかったりする。


『大丈夫さ。俺の国にはあいつが居る。

 共に戦った仲間達も世界の安寧の為に頑張ってくれるさ』

『……そうか。まあ信じるのはお前の自由だ。

 おっとそろそろ時間か。

 そう言えばお前の名前を聞いてなかったな』

『名前?死んだ身で意味があるかは知らないけど。

 俺は盾の国アイギスの王子アルファスだ』

『ではさらばだアルファス。

 人の身で我を超えし者よ。…………を頼むぞ』

『なんだって!?』


 邪神龍は最期に遺言とも言える言葉を残して消えていった。それと同時に、俺の意識も闇の中に溶けていくのだった。



本作は試しに今までと書き方を変えてみましたが如何でしょうか。

「読みにくくなった。これまでの方が良かったぞ!」

という声が多ければ戻しますので感想欄からご一報ください。


(これまでは句点ごとに行を区切って、代わりに字下げを行っていませんでした。

 本作は国語としては正しい文体なのですが以前より若干詰まった見た目になっているかと思います。

 活字が苦手な人には敬遠されそうな気もしますが)

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白いです! [一言] 追ってまいりますので、執筆頑張って下さい!!!
2023/06/06 22:28 退会済み
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