第97話 エルフの国に行くことになりました
ルシナ、ゼナが去ってから俺とリリスは会議を開いた。二人だけで……
「リリス、龍人族だってことがバレたけど……これからどうなると思う?」
「オヌシがバラしたんじゃろ……」
リリスは呆れたような声を出す。
「確かにそうだけどさ、このままだと軍がくるっていうし……」
「まあ、ルシナはエルフ国王と相談するって言ってたな、それ次第かもしれぬのぅ。まぁ、エルフごとき」
エルフの王って、どんな人なんだろ。イメージ的には髭の生えた老人って感じだけど……。いつか会うこともあるのだろうか。
「それにしてもゼナって子。可愛かったな……妹的な感じ?」
「オヌシと同じ歳だろう」
「そうだけどさ……」
その日は、魔法訓練とスキル訓練をして一日を終えた。なんだか気疲れしてしまったのでぐっすり眠った。
翌朝……
「エルフ王がお呼びよ、エルフの里にきて」
俺はびっくりして寝袋の上で、目を開けるとそこにはルシナの顔がアップであった。
「うわぁあ!!?」
俺は驚きのあまり叫んでしまった。
「し、失礼な。ボクの顔そんなに変?」
「へ、変とかそういう問題じゃねーだろ!なんで俺の洞窟にいるのよ!?リリス!リリス!」
俺がリリスを呼ぶと、リリスは横に立っていた。
「なんじゃい」
「い、いるのかよ!ルシナが来ているなら、なんで起こしてくれなかった」
「いや、その反応も見てみたかったのじゃ」
クスクスと笑うリリス。
(この女ぁ……)
「びっくりしたぁ……やめろよな、ルシナ……」
「起きたなら良かったよ。早く身支度して。ブルーサファイアに来てもらうよ」
「え?」
「だから!エルフ王がお呼びなの、来るのよ!」
「はぁ!?」
「君達の話をゼナとしたらね、すぐに呼ぶようにだってさ。さぁ、すぐに用意して!」
なんだか俺は嫌な予感しかしなかった……。招待というより、呼びつけに近いだろ。これ……。
「あ、今日忙しいから、今度ね」
「な!?そんな友達の誘いを断るみたいな!?」
ルシナが驚きを通りこして呆れた顔をしている。表情豊かなエルフである。
「アホなの?!エルフ王っていえば、大陸王でもお呼びがかかれば馳せ参じる。人族よりも位がずーと上なのよ?分かる?あなたの国の王よりも上のそのまた上!そういう御方なのよ?」
「それはそうかも知れないけど……俺は龍人だし……」
「そ、それはそうだけど……」
そこで、リリスが口を出した。
「エルフ王がか……ヤマト行ったほうがいいかも知れんぞ。軍を差し向けられても困るしのぅ」
「た、たしかに……」
俺はしぶしぶ了承することにした。というか、行かざるを得ない。
「わかった、いくよ……」
「良かった。ボクのメンツが立つよ」
俺は当初、エルフの国ってそこまで巨大だとは思っていなかった。
(森にあるから、〇ツ〇ロウ王国みたいなイメージかな)
(なんじゃ、その〇ツ〇ロウ王国というのは、有名な王国なのか)
(有名だよ。むちゃくちゃ有名な王国だ。テレビでよくみた)
(ほう。テレビというのは良く分からないが、よほど優れた統治者がいるのじゃな)
(いるよ、〇ツ〇ロウさんっていう統治者が)
(ほう、王なのに「さん」とは、鷹揚な王なのだな)
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ルシナに連れられ、俺はエルフの王国へ向かうことになった。と言っても転移陣がある場所まで森の中をつっきるだけだ。そこは、とある川の上流にあるらしい。
「この先に、紅い川(くれない川)という、赤い色の川がある。そこを上流に遡っていけば転移陣があるよ」
「あ、あれか!?」
俺が指さすと、そこには本当に赤い水が流れる川があった。
「すげー、本当に赤いよ……」
「なんで赤いと思う?」
「え?なんでだろう……ちょっと判らないな」
「伝説によると、とある若い龍人達が惨殺されたことを悲しんだ。水の精霊が悲しみ、泣いた涙の雫が川になったと言われているよ」
ルシナがしたり顔で、そう俺に教えてくれた。
「それは違うな、山の鉄鋼成分が川に溶け出しているのじゃ」
「お前、夢も希望もないこというなよ……」
そんな会話をしながら半日ほど経過したころ。
「ず、随分と険しい山だな」
「はぁ……はぁ。すごいね、ヤマト」
「何が?」
「なんでそんな体力があるの……?はぁ……はぁ……ボクのほうがクタクタだよ」
「そう?」
俺はそういったが、心あたりはある。捕食によりステータスはかなり高くなっている。だから、俺の体力は一般的な少年のそれとは違う。それにしても軍にいるルシナよりも体力が上回っているとは……。
歩いていると、川の上流に巨大な石柱が二つ見えてきた。門を作っているように見える。




