第93話 捕食とは
捕食とは一体何なのだろうか……。
不思議なことにスキル欄に「捕食」はない。これはスキルではないらしい。
リリスに聞いてみた。
「捕食って何なん?」
「判らん。謎が多すぎるのじゃ」
「リリスでも判らないのであれば、誰も判らないだろうな」
「捕食自体が何なのかは分かっておらん……。しかし徐々に判明している部分もある」
「たとえば?」
「例えばじゃな……、捕食するのに有効な対象は自分より上のステータスやスキルなんじゃろう」
「あ……、それは何となく判る」
「うむ。何度も同じ種を捕食しても無意味というわけじゃ」
「ちなみにスキルに捕食がないのは、どう思う?」
「ふむ……おそらくじゃが、推測で良いかの?」
「全然いいよ」
「人は生まれたときから身についている -息を吸う- ことがスキル欄にないじゃろう?つまり、オヌシの捕食は魂に根付いているものなんじゃろう。良くは判らないけどな」
「なるほど……。リリス、おまえ頭いいな」
「さらに魔人を倒したときに捕食メッセージが出てこんかった。つまり、暴走モードで倒した魔物は捕食できんということになる」
「制限が無いようで「在る」ということか」
「そうなると問題は、カリアースが本当に龍人族だったのかってことじゃ」
「え?」
「確かに肉体は龍人族じゃった、しかし魂は違ったのかもしれん。禁忌魔法にも異常に長けておったし……」
「どういうこと?意味が分からなんだけど……」
「カリアースは捕食が出来たと考えられるのじゃ……つまり、奴も半神だった?いや……カリアースの体はどう考えても龍人……」
そこまで話すと、リリスは思考し黙した。
(リリスにとってカリアースは、本当に重要人物だったんだな……)
しかし、カリアースって変な魂を持つ奴だったんだな……ってことは、つまり俺もってことか……。
その日の夜は、そのまま寝てしまった。
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ピー……ピー……
俺の朝は早い。朝を告げる小鳥の声で起きる癖がついてしまった。超早起きっす。
どうも森に来てから起きるのが早くなってしまったようだ。夜もすることがないので早くに眠ってしまうからだろう。
「ふあぁぁ。朝か……、リリスいるか?」
すると、リリスが入口からこちらにやってくる。
「起きたか」
「毎日見張りサンキューな?」
「ワシは睡眠が必要ないでな、問題ない」
「実際、助かるよ。川で顔洗って、歯を磨いてくるわ」
「うむ」
そうなのだ。実体化したリリスであるが、相変わらず食事も睡眠も必要ない。
「さて……」
朝起きて、俺の寝袋を干すことから俺の日課ははじまる。この寝袋も、結構古くなってしまった。今度、村にいくことがあれば新しいのを買いたい……。いつ行けるか分からないけどね。
俺の洋服だが、実は5着もある。それも川で洗濯しているので、比較的清潔と言える。
この森での生活も、そろそろ1ケ月になろうとしている。俺も新生活(原始人生活)に慣れてきた。自慢にもならないけどね……
「さぁ!爽やかな朝だ!」
「うむ。昨日のクローベアーは捕食しても効果がなく残念じゃったな」
「1分とは言え、むちゃくちゃ痛かったぜ?」
俺はしつこくリリスに、捕食の大変さをアピールするのを忘れない。
「ほいほい!新しい魔獣を探すのじゃ」
(こいつ聞いてねーな……)
「まぁ……食材としてはクローベアー以外も欲しいしな。もちろんスキルも欲しい」
「うむ、では出発じゃ」
「了解!」
俺とリリスが元気よく森へ進もうとしたときだった。
「ちょーと!少年!!」
「うわ!ビックリした!!ルシナ?どしたの? 」
俺は突然に後ろから話しかけられ、驚いて振り返るとそこにルシナがいた。
「何が爽やかな朝だよ!ちょっと昨日の戦闘みたよ!何であんな強いのよ少年!!」
「そう?えへへへ……」
「照れるな!!普通に人間の子供が魔獣倒せるわけないのよ!」
ガクガクガク!
ルシナは俺の肩をもって激しく揺らす。
「ちょ、ちょっと止めて」
俺がルシナに振り回されて目が回っていたころ。ルシナの後ろから声がかかる。
「その人がルシナの言ってた人?」
ん?誰だ?




