第88話 精霊と話せる系
ゾォ……
俺は背筋が冷たくなるのを感じる。目の前に立っている「何か」の存在の大きさを魂が感じる。
(な、なんだ……この存在には逆らってはいけない気がする)
(ふむ。風の精霊が降りてきたようじゃの……)
(そ、そうなの!?)
確かに、すさまじい存在感を「そこ」に感じる。
(うん?なんか、うっすら風が渦巻いているような……)
(なに!?そこまで見えるのか?ヤマト!?)
リリスがかなり驚いたような様子で俺に確かめた。
(うん……。ほら、そこに……風のオーラを感じる……)
(ワシには全く見えん……オヌシは一体……?)
リリスが俺のことをマジマジと見つめてくる。本当にリリスには見えないようだ……。
「……」
俺はいたたまれなくなり、風の精霊とやらに話しかけてみることにした。
「あの……風の精霊さん……。そこにいらっしゃいますか?」
そういうとルシナとリリスは笑った。
「風の精霊と交信できるのは、ハイエルフか相当力のあるエルフだけだよ」
「無理じゃよ。ヤマト」
しかし……二人の予想に反して。精霊からの反応があった。
ビュオ!
一際大きい風が起きた。まるで、俺の言葉に反応したように見える。
「な!?い、いま!?」
「ど、どうしたことじゃ!ヤマトの言葉に反応したように見えたぞ!?」
「……なんか反応してくれたね。風の精霊さん」
「ばかな……ボクでも出来ないのに……ははは!ぐ、偶然だよね」
ルシナが納得しようとすると、俺は続けて呼びかけてみた。
「俺の声が聞こえてますかぁ?もし聞こえていたら、2回だけ風を起こしてください」
すると……
ビュオ! ビュオ!
「に、二回反応した……し、信じられない……」
ルシナは、本当にびっくりしているようだ。
「なんか、俺って精霊と交信できる系?」
「系ってなんじゃい!」
リリスがツッコミを入れてくるが、出来るものは仕方ないじゃん……。
「でも、応えてくれるぞ?」
「うむ……そのようじゃの。信じられんが……」
特にビックリしているのは、ルシナだ。
「な……な……」
驚くルシナを他所に、俺は面白いので続けて精霊に語りかけてみることにした。
うーんと……そうだな。質問形式にしてみるか!
「風の精霊さん、今度スカートめくり手伝ってください。YES=1回 NO=2回」
「バ!」
ルシナが形相を変える。
「バカ!ヤマト君!なんてことを」
「?」
怒るルシナを他所に、精霊は回答してくれた。
ビュ!!
1回だったので、今度手伝ってくれるようだ……。わりとフレンドリー?
「一体……ヤマト。お前は……」
「ス、スカートめくりに同意してくれる精霊って……」
リリスは呆然としているようだ。ルシナも呆気に取られていたが、仕切り直しが必要と感じたのか、咳払いをした。
「コホン……、じゃ、じゃあ魔法陣の上に立ってくれるかな?ヤマト君」
俺は精霊に対しての恐怖心が大分和らいだが、何だか嫌だった。得体が知れない……。
「今回は遠慮しておきます」
ズっこけるルシナ。
おぉぉ……。コントのノリ!?
「な、何言ってるの!?いま拒否したら、精霊に殺されるよ!?」
「え!?まじで……!?」
「もう……問答無用。誓いはしてもらうよ。じゃなきゃ。人族は信用できない」
「なんて勝手な……」
「だから、ボクは「やるか?」って聞いたのに……」
「わかったよ……やりますよ……」
俺は観念することにした。
「はぁ……まったくやりにくいなぁ……」
ルシナは呆れていた。
リリスは苦笑いを浮かべ、ヤマトにテレパシーで話しかけた。
(大丈夫じゃよヤマト。やましいことは何もない。普通に儀式をしてやれ)
(わかったよ……)
まぁ、リリスが大丈夫というのだから大丈夫なのだろう……。特段やましいこともないので、俺は覚悟を決めて大人しく魔法陣の中に入った。
俺が魔法陣に入ると、ルシナはリリスに顔を向けて魔法陣に入るように促す。
「ワシもか?」
すると、ルシナはコクリと頷く。
「貴女も信用できない」
「やれやれ……わかったわい」
リリスは首をすくめて、リリスも魔法陣の上に乗った。
ブン!!
「うわ!?」
俺とリリスが魔法陣に入った途端、魔法陣は著しく輝きだした。




