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イケメンに異世界転生したら森に捨てられてた件  作者: 八条院せつな
第2章 ヤマト 別れと放浪時代
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第86話 精霊誓い

エルフは、突如として両手に魔力を込めはじめた。周囲に何か厳かな雰囲気が流れようとしている。


「は、はじまるのか……」


「そう。エルフの儀式さ。精霊誓いと言う。君は善良そうだから、この提案をしている」


「わかった……誓いをしよう。やってみたいと思っていたんだ」


「やってみたかった?本当に変わった子だね。キミ」


リリスは黙ってみている。


(問題あるまい、ヤマトの考えている誓いと同じ意味か分からんが……)


「さぁ、はじめよう」


俺はコクリと頷くと、ルシナに同意を示した。


「よし!でははじめるよ」


「う、うん……どうぞ」


俺は服を脱ぎはじめた。


「な……何で服を脱いでるの!?」


ルシナが驚く。


「いや……儀式って。いろいろ裸になって抱き合ったり」


「何の儀式!?ねぇ、それ何の儀式をイメージしているの!?」


(……どうやら、俺のイメージしている儀式とは全く違うものらしい)


「ははは……冗談ですよ」


「じょ、冗談……そ、そうだよね」


俺はいそいそと服を着る。


(何しとんのじゃ。オヌシわ)


(いや……冗談だよ冗談)


(……本気じゃったろう……)


(……)


エルフは、おそるおそるヤマトに声をかけた。


「じゃ、じゃあ良いかい?はじめるよ?」


「はい、どうぞ。お願いします。すみません……」


何故だか謝ってしまう俺。


エルフはやりにくいが、この少年から悪意は一切感じなかった。どこか、ほのぼのとしたものを感じる。というか、バカバカしさを感じる。


(この子たちは、もう放置しておいて大丈夫じゃないの?)とさえ思い始めている。

しかし、軍の人間として報告する意味でも放置はできない。


気を取り直して、ルシナは儀式をはじめた。


「では……」


途端にルシナの周囲に異様な雰囲気が纏われはじめ、ヤマトとリリスは息を呑んだ。


シュアァァ……


(な、なんだ……あれは……)


(ふむ。精霊と交信をはじめているようじゃの)


ルシナは口を開く。


「森の精霊よ……」


すると、エルフの両手が光りはじめた。


「身体強化魔法?」


「いや、違うぞ。ヤマト……これは」


突然、両手から光を放ち、その光を使い地面に魔法陣を描きはじめたエルフ。俺はそれを見て驚く。チョークを使って描くものかと思ったのだが、魔力を使って魔法陣を描くのは意外だった。


「ま、魔法陣?!」


「ほう……、魔力で描けるとはなかなか見所のあるエルフじゃの」


リリスは、感心したかのようにエルフが描く様をみている。なんだか嬉しそうだ。リリスは敵味方関係なく、技術力がある者を褒める癖がある。


しかし、リリスが感心するということは、この魔法陣の描きかたは普通ではないのだろう。


「普通は、こういう風に描かないの?」


「普通は、チョークやインクを使って描くのぅ」


「やっぱりそうなんだ……チョークで描くのって情けない絵だよな」


「実際は、魔法使いなんぞ地味なもんじゃ。詠唱の暗記と魔法陣の研究。それに明け暮れる研究者がいかに多いか……」


しみじみとリリスは遠い目をした。何か昔の自分を思い浮かべているのだろうか……。すると、リリスが魔法陣を読み取り何かに気がついたようだ。ちょうど俺も気がついたことがある。


「ほう……」


俺は感嘆の声を上げる。


「ヤマト……お前も気がついたか?」


「判るも判らないもないだろう、一目瞭然だ」


「いつの間にそこまで成長を……ワシは嬉しいぞ」


俺は腕を組み、ウン!ウン!と頷く。


「まぁ、俺も男として成長しているからな」


「男として?は?」


リリスは俺の顔をまじまじと見つめる。ちなみに俺は一点を凝視している。


「ち、ちなみにヤマト。オヌシは何に気がついているんじゃ?」


「そりゃ、あれだろう。魔法陣を描いているとルシナが屈む。エルフのパンツが丸見えのところだろう?こりゃ絶景だわ」


ボカ!!


リリスは思いっきり、俺の頭を殴った。


「痛っ!!何すんだ!リリス!!」


「オヌシに期待したワシがバカじゃったわい」


「なんなんだよ……まったく」


俺は涙目になりながら頭をさする。実体化したリリスも考えものである。俺が悪いんだろうけど。少しでも場を和ませようとさ……。まぁ今言ってもリリスは信じてくれないだろう。


「ところでリリスは何に気がついたんだ?」


「ふむ。ほれ……見てみぃ。ルシナというエルフ娘。かなりの精霊使いじゃ。木と風の精霊、二つにアクセスしておる」


俺は、じっと様子を伺ったが、どのあたりが「木」なのか、「風」なのか見当もつかない。


「全然わからん……とにかくあの魔法陣で精霊を呼び出しているのか?」


「はぁ……なんだか疲れたわい。そうじゃ。あれは精霊誓い用の魔法陣じゃよ」


「精霊誓い……」


俺は魔法使いとしての修行をしているが、魔法知識はほとんどない。小さいときにマリーシアに魔法学の類の本はすべて処分されてしまったからだ。あのときのマリーシアの徹底ぶりは凄かった……。


それはさておき、ルシナの精霊誓いという儀式は為されようとしていた。


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