第82話 漁をしよう
翌朝、俺は早く起きた。
「メシ! メシィ!魚!魚ぁぁ!!」
川に猛ダッシュ。クローベアーで食いつないできたが、精神的にやばかったのだ。新しい食材に飢えていた。家を出てからロクなものを食べていない。欲を言うならパンとか食べたいけど、食べ物が変わるのであれば何でもよかった。
川に到着するなり、魚の漁り方のレクチャーをリリスにせがむ。
「ど、どうすればいい?まずは釣り竿を作るか?」
「あわてるな、オヌシのパワーがあれば道具など要らない」
「おう」
「いう通りにするんじゃ」
「わかった!」
「まず、拳2つ分くらいの石を拾う」
「わかった」
俺は周辺の川辺を見渡し、手頃な石を探す。
キョロキョロ(小さい石しかないな……あ、あれなんかいいな))
「次に強化魔法で力いっぱい川の中に石を叩きつけ……」
俺は最後まで聞かずに、動いていた。
面倒くさいので、俺の背の丈くらいの大岩に俺はガシ!と抱き着く。
「お、おい……オヌシなにしているんじゃ?そんなバカでかい石……」
俺はその大岩に力を込めると、そのまま地面から引き抜く。
「ぬおおおお!」
ズボォ!!
「な!?なんちゅう怪力じゃ!?ちょ、ちょっと待て。それを投げるんか?」
「おおおおおりゃああああ!!」
リリスが言うか言わないかのうちに、俺は力の限り大岩を川に投げ込んだ。
ドグシャーーン!!
川に水柱が立ち、あたり一面に水しぶきが襲いかかる。
「ぷあ!なにするんじゃヤマト」
ピチャ……ピチャ……
俺もリリスもずぶ濡れである。
「ご、ごめん。リリス……」
「うむー……人外な力をもっておるのぅ……。すさまじい」
リリスが感心しているような。呆れているような声を上げた。
しかし、俺はリリスの一点を見つめたままだ。
「何を見つめておる?な!?」
ずぶ濡れになったリリスの大きな胸が、張り付いた布によって形がくっきりと出てしまっていた。○クビなんかもクッキリで……なんか裸よりもエロい……。
「何を見ておるか!?」
バキ!
リリスが俺の頭を殴る。最近俺はリリスによく殴られている気がする。
「いて!ご、ごめん……リリス」
「まったく、このエロガキが……。カリアースそっくりじゃわい」
リリスは胸を隠して顔を赤らめていた。
「カリアースもエロかったの?」
「あいつは、むっつりスケベじゃったな」
なんだか親近感が持てる俺の前前世である。でも、水面を見てみると大量の魚がプカプカ浮かんでいる。成功は成功したみたい。
「しかし、よくやった。これだけ魚があれば食糧にこと欠くまい。今夜は焼き魚じゃな」
「やったー!!魚だ!焼き魚が食えるぞぉ!」
俺がめちゃくちゃ喜んでいるので、リリスは苦笑いしている。ちゃんと胸を隠しているあたりが女性らしい……。
「あとは、自由に料理せい。ちゃんと焼くんじゃぞ?」
「お前も実体化しているんだから、料理手伝えよ」
「わかったわい……」
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その後、俺とリリスは、大量の魚を何とか拠点に運んだ。
そして、クッキングタイムに移行。
ちゃんと血抜きをして腹ワタを処理して下処理は完璧にした。
「おぉ……オヌシ。料理の腕はすごいのぅ」
「まぁな、前世では一人で生きていたから……」
そう、モテない俺は前世では趣味が料理ではあった。なので料理には自信がある。親友の良太にも……
「お前は職業を間違えている」
と、言われるほどの腕前だ。ちょっとしたソースレシピなど40を超える。
まぁ、それはいいとして……。
焼き魚のうまいこと、うまいこと。塩がないので今いちだけど、5匹食べてお腹いっぱい。
「あまった30匹干物にするわ」
「干物……?」
リリスが不思議そうな顔をする。
「ああ、そうか。こっちの世界には干物ってないんだ」
俺は干物の作りかたをリリスに教えた。
「なんじゃ、干し肉と同じじゃな」
「原理は同じ、でも味が詰まって美味しくなるんだ」
「なるほど……では、その干物とやらを作ろう」
「匂いが心配だけどな……」
「このあたりは魔獣や動物がいないことは判っておる。問題ないじゃろう」
「だな」
その夜のことだった。いつものようにリリスと明日の打合せをしながら、夜を過ごして、翌朝に備えて早々に眠りに入った。
リリスは、いつものように入口の見張りに立とうとしたときだった。
穴ぐらの入り口のほうで、何か音がした
ザリ……
「いまの音は!?」
みなさん、どんなお正月過ごしてますか?作者は正月らしくない正月でした……。ご感想、ご評価お待ちしております。




