第81話 リリスが実体化している件(後編)
「もし、もしじゃよ?この捕食という特殊技能は、オヌシが幼年期の間だけの特典じゃったらどうする?ということを質問しておる」
「……だとすると今は、成長する千載一遇のチャンスだよな」
「そう!そうなんじゃ!わかってくれるか!」
リリスは顔を、パァーっと明るくした。
俺は嫌な予感がした。おそらく青ざめていたと思う。
「まじか……おい。お前まさか……」
「うむ……、もうちょっと森で捕食するんじゃ?しない?」
「絶対いやだーーー!!!」
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しかし、そのあとリリスと散々打ち合わせをした。リリスの結論としては、俺達は魔獣の森に留まって捕食をするべし!ということだ。スキルと他ステータスの上昇は、目を見張るものがある。ここで取れるものを取らないのは勿体ないらしい。
俺は猛烈に反対した。
「嫌ぁぁぁ!絶対に嫌ぁぁぁ!!」
「ええい!うるさいわい!オヌシの今後のためじゃ!」
結局、リリスは譲らなかった。言っていることは正論なため、俺も渋々了承するしかなかった……
「くそぅ……スンスン……怖いよう。早く森から出たいよう……」
俺がさめざめしく泣くので、リリスは苦笑いをするしか無かった。
「オヌシのためじゃ!我慢じゃ!」
「俺は我慢と努力が一番きらいなの!」
「ダメ人間か!」
などと、さんざん悪態をついたが、ここは前向きに考えるしかあるまい……。
リリスのいうとおり、スキルとステータスを上げまくれば。当然生存率が上がる。それは結果として、俺の身の安全を保証をするものだ。
仕方がないので、俺はやるからには一生懸命修行してやることにした。
次の日……
俺はまずは覚えたスキルをちゃんと習得することにした。ゲールクロー『疾風爪』にしても、まったく使えない状態だ。これは勿体ない……
ということで、今日はゲールクロー『疾風爪』を重点的に練習している。やり方?やり方は簡単だ、木の前に立って“ひたすら撃つ”だ。
“撃つべし” “撃つべし” “撃つべし” “撃つべし”
しかし、 ヘロヘロ〜っと光る爪が発生したら木まで3m。それが届かないという情けないレベル。3mなのに届かないで消えてしまう。シャボン玉のほうが、3m届くよね?
100回くらい“撃った”だろうか。その辺りから、形がはっきりしてきて、木に届くようになってきた。
(お?ちょっと変わった?)
練習が形になってくると、俄然やる気が出てくる……。そういうものだ。幸いにも体力はバカみたいにあるので、俺はひたすら撃ち続けた。
200回くらいから、木に当たると「パシ!」って音がしてきた。
陽も暮れて、体力的にはまだまだあるんだが、俺は気疲れした。
(ここらで終了とするか……)
動きが止まった俺はリリスは不思議そうに見つめる。
「どうした?」
「疲れた……止めた」
俺は木が背を向けて、洞窟に戻ることにした。
「根気がないのぅ……まぁ良いが……」
「と、当然メシはないよね?」
「燻製にしたクローベアーがあるじゃろう」
「またあれかぁ……でも、無いよりいいよね」
「デビルウルフはファイアーアローで焼いてしまったから食えたものじゃないわい」
「あれは俺の選択ミスだ……」
そうなのだ、せっかくデビルウルフを倒したのに、黒焦げ状態で食えたものではない。もったいないことをした……。
「ていうか、俺1週間近くクローべアーだけなんだけど……」
「明日メシをいい加減調達するのじゃ」
「動物いねーじゃん……この辺さ。どうせ明日も見つからないよ」
俺が拗ねているとリリスがわらった。
「ふふふ」
「なんだよ、気持ちわりーな!何笑ってんだよ……」
「安心しろ、この前 川を見つけたじゃろ?あそこで魚を取ろう」
「そうだ!!そうだった!でかした!リリスーーー!」
ギュ!!
俺は感激のあまりリリスに抱きついた。俺の手がリリスの腰に回る。
「あ、あん……こ、これ!止めるのじゃ!」
ボカ!
「痛い!!」
リリスに頭を殴られた俺……。実体化したので、色々セクハラとか気をつけなければいけない!と思った今日この頃……。




