第71話 激痛
すると、クローベアーの黒い球がシャークヘッドの口に吸いこまれていき
バクッ!
と大きな口をあけて食べた。
「た、食べた……」
そして、シャークヘッドは、クローベアーの黒い球を飲み干す仕草をする。
ゴクン……
「あ、飲み込んだ」
「芸が細かいのぅ……」
すると、シャークヘッドが俺の胸に戻ってくる……。
「うわわわ……戻ってくるぞ」
俺が慌てるのと関係なく、シャークヘッドが俺の胸に吸い込まれていった。
すると、俺の体に変化が現れた。
!?!
体中に激痛が急激に発生したのだ。
「ぐ、ぐああああ!!!ギャァァ!!」
「ヤマト!?」
リリスも慌てた。予想外にヤマトにマイナスに働いたようであった。
「選択を間違えたか!!」
リリスは自分の思慮浅さに後悔した。ヤマトは相当に苦しそうだ。
「ぐ、ぐぐぐ!ギギギギ」
歯を食いしばって痛みに耐えるが、気を失いそうになる。
それくらい、痛い!痛すぎる!
なんつーか、耐えられない痛みっていうの?例えるなら、歯の神経を触られるときの感覚?それの100倍痛い!痛みが全身をかけめぐる。
「ぐ……ぎぎ……これは、耐えられる痛みではないぞ、まじで死ぬかも」
「ヤマト!しっかりするんじゃ!」
「そ、そんなこと言っても……ぐあああ」
……1時間経過……
この状態が1時間も続いたのだ。
「はぁ、はぁはぁはぁ。ぜぇぜぇぜぇ」
「ヤマト!大丈夫か?!」
「し、死ぬかと思った……」
1時間くらい経ってから、急激に痛みがなくなって……今はまったくだ、なんだったのだろう?
「今は何ともないのか?」
「うん、全然平気。むしろ調子がいい」
「ちょ、調子がいい?あれほど苦しんでいてか?」
「うん、不思議なんだが……空腹感がなくなっているんだ。あんなに、お腹が空いてすきまくっていたのに……」
「むぅ……捕食……」
リリスは何か答えを導こうとしているかのように悩んでいた。
「リリス、空腹感がないんだ。それに体中から力がみなぎる」
「ふむぅ?」
「うん、全然。このまま3日は寝ずにいけそう」
「……ステータスを表示してみぃ?」
「わかった……」
【ヤマト・フォン・ドラギニス】
『種族』半神半龍 ※はじまりの精霊
『職業』魔法使い見習い
『状態』良好
『魔法Lv』肉体強化Lv2 火魔法Lv2 水魔法Lv2
『スキル』死霊耐性 疾風爪
『称号』二つの龍を宿すもの。全属性魔法使い。捕食者。
<アラート>
スキル:ゲールクロー『疾風爪』を取得しました
称号 :捕食者を取得しました
俺とリリスは、ステータスを見て顔を見合わせた。
「な……何これ……」
俺とリリスはステータスを覗き込み。唖然としていた……。二人そろって、かなり間抜けな表情をしている。
「リリス、お前面白い顔しているぞ……」
「オヌシもな……」
くだらない会話を繰り広げつつ、俺たちは顔を見合った。それはそれとして……だ。ステータス上で、ツッコミどころ満載だ。
「状態が飢餓から良好に変わっている……、それにスキルを取得してるぞ?」
「……むぅ」
リリスは真剣な顔をして俺のステータスを覗き込んでいる。そして何か気がついたかのような表情をした。
「リリス?何か気がついたのか?」
「うむ、これは推測じゃがな」
「推測でいいから、考えを聞かせてくれ」
「もしかするとじゃ。捕食することにより相手のスキルを奪った……いや、吸収した……。そういうことなのかも知れん」
「捕食でスキルを吸収?」
「そうじゃ」
「スキルを吸収とかって、そんなことできるものなのか?」
「出来るわけあるまい。そんなことが出来たら世の中変わってしまう」
しかし、現実に俺はスキルを身につけてしまっている……
「そんな大げさか?」
「そうじゃ、スキルとは種族や血に由来することが多いが、絶対的優位性を持つ才能の一つじゃ。それを譲ったり、吸収できる性質のものではないのじゃ」
「なるほどな……。ということは、スキルを奪えるチートスキルみたいなものか捕食って」
「現段階ではそう見える。ちなみに誤解のないように言っておくが、相手のスキルを奪う「ロベリー『強奪』」というスキルは、あるにはある」
「なんだ……あるんじゃん」
「最後まで聞け、強奪スキルには発動条件が何重も必要じゃし、超レアスキルじゃ。世界に1人しか確認されておらん」
その世界に一人って奴が気になるな……。それはあとで聞こう……。
「捕食はその強奪ってスキルに近いと?」
「いや、捕食はまったく違う。強奪スキルは代償スキルじゃ。何かを差し出して、その代わりにスキルを奪える……」
俺は代償だの、何だので頭が混乱してきた……




