第69話 ヤマト vs クローベアー(後編)
「グオ!?」
クローベアーは、まさか魔法攻撃されると思わなかったのか、迫るファイアーボールを横っ飛びに避けた。しかし避けきれずに左腕に着弾。
ドウン!!
「ギャオン!」
叫ぶ声をあげながら、よろめいてゴロゴロと横に転がっていった。
「グオ!グオ!」
クローベアーは、痛がってゴロゴロ地面をのたうち回っている。左腕の炎はすでに消えているが、かなりダメージを負ったようだ。
「くそ!走りながら作ったから魔力の圧縮が未完成だった。威力が足りてない」
魔人のときは当たった先から、炎が燃え広がっていた。
「いまじゃ!トドメを刺すのじゃ!」
「わ。わかった!」
ゴロゴロ転がったクローベアーをおいかけると。そこは小さな広場のようになっており、クマはそこで左腕に炎傷に苦しんでいる。
広場の先は、切り立った崖だ。かなりの高さがある。
俺に気がついたクローベアーは後退し、崖の方へじりじりと下がる。かなりビビっているようだ。
「もう一発じゃ!わざと外して奴の左側に威嚇射撃しろ」
「左側だな!」
威力はなくていい、威嚇ということなら即やれる!俺は魔力を込めはじめる。
「よし!撃ったあと即座に右に走れ」
「わかった!ファイアーボール!!」
ドン!!
「グォ!?」
ファイアーアローを左に撃つと、クローベアーは俺からみて右側にヨタヨタと走っていった。崖にさらに近くなっている!
「今じゃ!!走れ!!」
「よし!!」
ドン!!
「グォ!?」
俺は魔力を足に込めて弾丸のように走った。クローベアーは崖とファイアーボールに挟まれていて動けない。
「力いっぱい蹴り飛ばせ!」
「わかった!!」
俺はさらに足に魔力を込める。
ドン!!
今までで最高スピードになった俺に、クローベアーは反応できていない。
「うぉら!!」
2m手前で軽くジャンプすると、クローベアーの顔を一閃。
ドガン!!
(く……重い……)
俺は右足で蹴ったが、まるで岩を蹴り飛ばしたような感覚に顔をしかめた。
「グギャ!!?」
ドッゴオオオン
俺の強化魔法マックスの蹴りで、顔面を蹴られたクローベアーは崖の際まで横っ飛ばされたが、なんとか落ちずに、土俵際で起き上がった。
「くそ!重いし、固いんだよ!こいつ!」
「何百キロかあるしのぅ……惜しかったわい」
そこは、崖まで数センチ!クローベアーにとっては危険な位置。
ガラガラ……!
地面は不安定そうだ。見ていて危うい。
ガラ!!ガラガラ!!!
「グギャ!?」
ヨロヨロと土俵際で踏ん張っていたが突如足元が崩れた。呆気なく、
クローベアーは崖下に落ちていった。
「グオオオオオオ……」
雄叫びを上げていきながら、落下するクローベアー。
「ま、まじか!?」
俺は崖下まで確認する。クローベアーが血を流してうつ伏せに倒れているのが見える。
「うーん……死んでいるのか?」
「この高さじゃ。助かるまい」
「か、勝ったのか……?」
そこで膝をついて、仰向けに倒れ込んだ。
「はぁ……はぁ……なんとか倒した。それにしても腹が減ったぞ」
安心した途端、空腹が俺を襲ってきた。そこで気がついた。
「も、もしかして、あのクローベアー。食べれるんじゃ!?」
「食えるぞ。クローベアーの肉は格別じゃぞ」
「まじか!ジュル……」
急に元気になった俺は、崖下にクローベアーを回収しに向かった。そこで俺は未知の体験をすることになる。




