第66話 ステータス魔法
翌朝、俺が眼を覚ますとリリスは居なかった。少し不安になった俺は、リリスを呼んでみる。リリスがいないと不安になるあたり、自分でも情けないと思う。
「リリス!リリス!」
大きな声で呼んでみる。
「なんじゃい?」
リリスはすぐに洞窟の入口から帰ってきた。どうやら、俺が寝たあと見張りをしてくれていたようだ。リリスの姿に安堵する。この誰もいない森の中で、リリスは心のよりどころに感じていた。
「見張りしてくれていたのか……すまない」
「それはいいんじゃが。昨日の話に戻るが……、まずは食料じゃ。メシを食わねば、いずれ餓死するぞ。すぐ狩りに出発じゃ」
そして、俺はまたメシ(動物)を探しに行った、
ところがだ……
3日経っても、動物は捕まえられなかった。鹿は諦めて、リスとか小動物を狙ってはみたものの、まったく狩りは成功しなかった。
干し肉もすでに食べ尽くしてしまい、水もなくなった。
しかし、幸いにも近くに川を発見したので、水不足になることはなかった。
「は、腹減った……」
俺は腹が減って仕方なかった。かなり衰弱してきているのをリリスも認め、状況は深刻になりつつある。
(こ、これは危険じゃ……)
さすがに焦りを感じたリリスは、いろいろ(あっちを探せ、こっちを探せ)と指示を飛ばすが、一向に動物は捕まえられない。
しかし、単純なことであった。野生の動物をそうそう簡単に捕まえられるはずがないのだ。警戒心が強い動物は、俺が遠くにいることを早くから捕捉しており、近寄った時点で逃げているだけなのだ。素人の俺が、動物を発見する確率はゼロに近い。
空腹で衰弱に向かう俺は、このままでは死んでしまうと思うようになってきている。
(こ……これはヤバイ……本当に死ぬかも……)
思考も朦朧として仕方がない。空腹のあまり、そこらへんに生えている、草や木の実を食べているが、まったく栄養がないせいか、力が抜けてくる。
リリスが心配してくれている。俺の気でも紛らわそうと、ステータス魔法を教えてくれた。詠唱がいるらしいが、ここでも俺は詠唱なしでステータス魔法を成功させた
リリスいわく、
「オヌシはイメージできている魔法は詠唱がいらないのだろう、しかし、イメージできていない魔法は詠唱に頼ることになるかも知れぬ」とのこと。
ステータス魔法を使うと、俺の今のステータスが見えた。目の前に3Dホログラムのように現れて、面白い
「リリス。これ他人にも見えているのか?」
(いや、他人には見えん。ステータスカードなら見えるが、ステータス魔法は他人には見えん。ワシはオヌシの見てるものが見えるが)
俺のステータスは……。
以下が俺のステータス
【ヤマト・フォン・ドラギニス】
『種族』半神半龍 ※はじまりの精霊
『職業』魔法使い見習い
『状態』飢餓
『魔法Lv』肉体強化Lv2 火魔法Lv2 水魔法Lv2
『スキル』死霊耐性
『称号』二つの龍を宿すもの、全属性魔法使い
これが俺のステータスだ。
「あれ?力とか魔力とか数値化されないの?これだけ?」
「なんじゃそれは、オヌシの世界では力が数値化されるのか?」
「いや……俺の元いた世界ではステータス魔法自体がないけど……」
ラノベで読んだものと違うのは当たり前だよな……。
「種族のところだけど……やっぱりというか、俺は半神半龍なんだな……横についている「はじまりの精霊」って何!?オステリアもそんなこと言っていた気がする」
「はじまりの精霊……聞いたことがあるぞ」
「知っているのか?リリス?」
「いや、お伽話で聞いたことがある程度じゃ。何故オステリアがそれを?」
「俺もそれを問い詰めたんだけど、ごまかされてしまってさ」
そうなんだ、転生するときに確かにオステリアは「はじまりの精霊」と言っていた。それを問い詰めたら、急に態度が変わったんだ。
「怪しいのぅ。あの悪神め何を狙っておるのじゃ……」
「リリスの時代でお伽話って、かなり昔の精霊なのかなぁ?」
「少なくとも、ワシの時代に「はじまりの精霊」という精霊は見たことがない」
「ということは、架空の精霊ってことも?」
「それはあるじゃろう。神話に出てくる登場人物は、大概架空じゃ」
「神話なの?興味あるな」
前の人生では神話なんて興味なかったが、今は神様と絡むことが多いので興味津々である。知っておいたほうが何かと今後、役に立つかも知れない……。
「教えてやりたいが……うろ覚えなんじゃよ。すまん……」
「ざっくりでいいよ。どんな神話?」
「世界創造という神話が、龍人族には残されておっての、その最初の一節にあるんじゃ」
「聞かせてくれよ」
そういうと、リリスが神話を聞かせてくれた。




