第61話 再会
俺は言われたまま、ファイアーボールを数発撃ち込んだ。かなり大きな穴が深くできた。晴れてここが俺の拠点となるらしい……。俺はその穴を見つめながら唸ってしまった。
「うーむ……」
一応貴族の子として生まれて、これまで不自由なく育ってきたのに、ここが俺の家かよ……。
熊みたいな生活に今日からなると思うと悲しくなる。
「どうした?ヤマト」
「いや……、ちょっと憂鬱になってな」
マイホームイズ洞窟!!
当然、洞窟だから前がガラ空きだ。冬とか寒そう……。それに獣や魔物に侵入されると、危険だろう。あとで入り口に何かカモフラージュ作らないとな……。
そんなことを考えていると、リリス的には満足らしく。
「ふむ、まぁまぁの深さじゃ。これでいったん完成じゃ。今夜はここで寝るとしよう」
「こ、これでいいの?ベッドとか作らないの?」
「時間がないのじゃ。今日は雨風が防げればよかろう……。次は食料確保じゃ。急がねば」
「やっぱり何か動物を狩るのか?魔獣でも俺はいいぞ?」
「魔獣も食えるぞ、しかし止めておいたほうがいい。この魔獣の森に住まう魔獣のレベルが分からん。下手に戦うと死ぬぞ」
「わかった……動物を狙うわ」
「それが良いだろう」
「じゃあ、探しにいかないとな……ふぅ。忙しいな」
「すでに昼じゃ。急いで夜までに探さないと夕飯はないぞ」
「うわわ……わかった!」
俺たちは動物を探しに出かけた。
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それから俺は動物を探した……そりゃー一生懸命に探した。もう必死になって探した。何せ夕飯がかかってるからな! けど、狩りなんてしたことない俺には荷が重かった……
動物なんて見つかりゃしない……。完全になめていた。
動物の危険察知能力はすさまじい。俺が接近すると逃げてしまっているんだろう。動物と出会うこともできない俺……。
……す、すごい難しい……
しかし、徐々に動物を遠くから見つけることには成功してきた。しかし、遠くから眺めるだけである。
俺は発見した鹿を見つめながらリリスに話しかける。
「リリス……鹿が多いね。この森ってさ」
「うむ。多いな」
「ほら、あそこに群れでいるよ」
「うむ。いるな」
「なのに、なんで捕まえられんのよ!!くそ!!」
森中に動物はたくさん居る気配はあるんだけど、動物へさらに接近すると逃げて行ってしまう……。強化魔法で速度を上げておいかけても、奴らは森の住人。木を利用してスルスルと逃げやがる。何回やってもうまくいかないのだ。
鹿に翻弄される俺を見て、リリスは溜息をついた。
「うーむ。これは難航するかも知れんのぅ……」
そして、夜になってしまった。飯(動物)が見つからないまま……。
「はぁ……はぁ……。こりゃダメだ。動物をつかまえられる気配がない」
俺ががっくりと膝をつくと、リリスが苦笑いをしながら告げた。
「仕方ない、穴ぐらに戻るぞ。夜は魔物がウヨウヨ出てくる。危険じゃ」
「え!?マジか。俺なにも収穫なし?」
「村で買っておいた干し肉やらがあるじゃろう?それを食って我慢するんじゃ。それより穴ぐらに戻ることじゃ、魔獣に囲まれて生き延びられるほど、オヌシはまだ成長しとらん」
「こえーよ。森に住むのって……」
俺まだ幼稚園くらいの年齢なのに……なぜ、こんな厳しい環境に……
俺達が拠点に戻り、俺の新しい自宅(穴ぐら)が見えてきた。
「……!?リリス!誰かいるぞ!?」
「追手か?どこかに隠れろ!ヤマト」
俺とリリスは警戒レベルを上げて、薮陰に隠れる。
バ!
「こちらに気がついたかな……」
「微妙じゃな……こちらを見ているようにも見えた」
ヒソヒソとリリスと話していると、後ろから声がかかる。
「気がついているよ」
「!?」
「!!」
振り返ると、そこにはグリーンヘアーでツインテールの美少女が立っていた。
「うわぁぁ!!!いつの間に!」
「び、びっくりしたのじゃ!」
ゴロゴロと転がりながら、少女から距離を取る俺とリリス。
「ふふふ……、なにしてるの?」
少女は微笑した。その笑顔をみて俺は驚く。
「ハ、ハイエルフの子……」
ハイエルフの子……、どうなるのか。次話ご期待ください。 ご評価お待ちしております。




