第60話 拠点作り
結構、奥へ進んだ気がする……時刻はすでに朝を迎えている。一睡もしてない俺は心身ともに疲れていた。
今歩いているここは山や崖に囲まれた比較的広い空間だ。魔獣の森というが、森だけではない。山や川があり、さらに火山などもあるという。 ここは木々が少ないし、小高い丘になっているので見晴らしも良かった。
すると、リリスが周囲を確認しながら満足そうに頷いた。
「ここまでくれば問題なかろう」
「ふぅ……」
「よし、ここに拠点を作るぞ、ここで1週間ほど過ごす」
「へ?こ、ここで一週間も?何をするんだよ、早く龍人の里へ行こうぜ。魔獣の森の中にあるんだろ?」
「アホ、龍人の里はこの先遠くにある。このまま進むのは危険じゃ。魔物や魔獣がウヨウヨ出てくるぞ?ここでまず修行するんじゃ!」
「修行?へ?ここで?」
「拠点を作るんじゃ。しばらくここに住むぞ」
「はあ!?おま……本気か!?魔獣の森に住むのかよ!」
コクリと頷くリリス。
「だったら、どこかの村で過ごしたほうが良かったじゃねーかよ」
「だめじゃ。人里では魔人がオヌシを見つける可能性がある」
「魔人……」
俺は魔人という単語を聞くと憎悪が芽生える。俺と両親を別れさせた存在だからだ。
「魔獣の森だと魔人が発見できないのか?」
「うむ。ここの森は魔素に満ちておる。オヌシの魔力を隠すのに絶好の場所じゃ」
リリスはどこまで計画していたのか、たしかに魔人に襲われない場であれば、それは俺にとって絶好の修行の場所だろう。
俺はジックリ悩んだ末に、リリスの提案を受け入れることにした。
「わかった……。ここで修行してから龍人の里にいくよ」
「うむ。まだ魔法を何も教えておらん。絶好の機会じゃ」
「そうか、そうだな。攻撃魔法はすこしは教えてもらったが……」
「あれも、その場凌ぎのものじゃ。基本から教える」
「あの炎隕石とか水隕石とかって、基本?」
「あれは相当高度じゃ。中位魔法じゃな」
「お前……さも簡単!簡単!って感じで、やらせてなかったか?」
「オヌシなら出来ると思っておったからの、実際にはオヌシは中位魔法くらいまでは余裕じゃろう」
「なんだよ、それ…………」
「砦周辺の魔獣レベルは低いと思われる。ここらの魔獣は修行に適しておる。さあ、野営の準備じゃよ。夜中に魔物に襲われないような場所を探すぞ」
「普通にサバイバルじゃん……大丈夫かよ」
こうして、俺はサバイバルモードに強制移行することになった。
「とりあえず拠点とやらの準備をしよう」
「うむ、まずは拠点作りじゃ。洞窟なんかが理想なんじゃが……作るとするか!」
「ど、洞窟を作るって?」
俺は聞き間違いかと思ったが、リリスは無視して話を進める。
「うむ、あっちに崖があるな。あっちに行くんじゃ」
「りょ、了解……」
俺はリリスが指示する小高い崖についた、目の前に大きな断崖がそびえ立つ……。近くに川があるのか、苔や草などが纏わりついていて、ジメジメしていて少し衛生面で問題がありそうだ。
しかし、高さの点では申し分ない。
「リリス、この崖に?」
「ここに洞窟を作ろう」
「ど、洞窟を作る?俺スコップとかもってないぞ?」
「そんな時間はない。手っ取り早くファイアーボールを撃ち込んで、爆破させて穴を作るんじゃ。火で乾燥させるから一石二鳥じゃ」
「な、なんて斬新な……!!大胆過ぎますぜ」
「じゃろう?」
「洞窟が出来たら睡眠取っていい?」
「いや、そんな時間はない。穴ぐらができたら、食料調達じゃ。ちなみに魔獣は危険じゃ。弱そうな動物を探すんじゃ」
「え?睡眠なし?まだ食料あるけど……」
村で買った食料がまだあった。それにしても2日ほど分だが……。
「そんな時間はないぞ。備えて動かねば、2日後は飯なしで過ごすことになるぞ?」
「うぇ……」
「今日は正念場じゃ。がんばれ」
「考えてみればさ、俺まだ5歳よ?こんなサバイバルしてる5歳児って俺くらいじゃね?」
「……まずは寝床じゃ、はよファイアーボールを撃たんかい」
「無視かい……」
正月から編集していると折れそうになるのでご評価お待ちしております。




