表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イケメンに異世界転生したら森に捨てられてた件  作者: 八条院せつな
第2章 ヤマト 別れと放浪時代
58/175

第58話 魔力欠乏


「うおらら!!!」


野球の遠投のように、俺はタタ……と軽く勢いをつけると、右腕に魔力を込めて思いきり投げた。


ブオン!! 


水の球が、山火事のへ向かっていく。そして、それは火事の中心に落ちた。


ジュオー!!!ドシュー!!


大量の水が蒸発すると同時に、炎を消していく。すさまじい光景だ。水蒸気で周辺が何も見えなくなっていく。


ジュー!!ジュー!!ジュー!!


しかし、水のほうが勢いが弱いのか炎の勢いが収まらない……


「ふむ、水の量が足りないようじゃ。ヤマト、もう2発ほどぶつけるんじゃ」


「に、2発……」


リリスの注文?により、俺は水の球をさらに2発作りだしてブツけた。


「うりゃ!!うりゃあ!!」


凄まじい水蒸気が周辺を霧状態にしてしまったが、徐々に火事は消えていった。


「か、火事が消えた……」


「でかしたぞヤマト。火も消したし、奥へ進もう」


「はぁ……はぁ……」


「どうした?ヤマト?」


「な、なんか体が怠いんだ。重いというか…………」


リリスが心配そうに俺の顔を覗き込む。


「なんと……魔力欠乏を起こしておる」


「魔力欠乏?足りなくなってるってことか?」


「うむ。そのまま魔法を使い続けると死にはしないが気絶してしまう」


「そ、そりゃマズイぞ。こんな魔物が多い森で気絶なんかしたら……」


「しかし、おかしいのぅ……たしかに通常「中位魔法」を連発すれば、その症状は普通なのじゃが。ヤマトの場合、それくらいで魔力欠乏などあり得ん……」


リリスは、首を傾げた。リリスはヤマトと幼い頃からいるため、彼の魔力はそれこそ上位魔法10連発に耐えられるほどだと読んでいた。そのヤマトが魔力欠乏を起こしている原因が判らない。


しかし、二人は気がついていなかった……。ヤマトの腰につけている「魔法袋」が怪しく光っていることに……


「はぁ……はぁ……むっちゃ苦しい。何これ。まじ無理」


「いま襲われると魔物のエサじゃな。よし、休憩するぞ。少し移動するんじゃ」


城壁の上から、兵隊たちが騒いでいるから、ここから離れることには賛成だ。俺とリリスは、急いで森の奥へと急ごうとしたその時だった。


ジャリ……


後ろのほうから音がしたので俺は振り返る。


「!?」


そこに立っていたのは、若い兵隊だった。おそらく防衛の砦の兵隊だろう。青ざめた顔で、俺に剣をむけて震えている。


(ま、まずい……今の魔法を見られた?!)


「こ、子供!?いや……さっきの魔法は……」


兵士に発見された。気まずい空気が流れる。


(やべ……。見られたっぽい……、リリスどうしよう……)


(まぁ見られても問題はないじゃろう、たぶん水魔法で火を消しただけじゃから……)


(いや、俺みたいな子供がドデカい魔法を使えること自体が問題なんだよ)


(剣を向けているのぅ。まずい……オヌシは今魔力がないんじゃ)


(今攻撃されたら、俺はなすすべもないぞ……とりあえず話しかけてみるか?)


(じゃな……オヌシは頭が回らないじゃろう。ワシの言うとおりに言え)


(わかった……何て言えばいい?)


(「僕は敵じゃないです。剣を……」)


俺はリリスの言うとおりに口を開いた。


「あの……僕は敵じゃないです。剣を向けないでください」


「き、君は人なのか?」


「その小さい目は節穴かのぅ?人以外に見えるのであれば、医者をお勧めするのじゃ……っておい!!」


やべ!リリスにツッコミを入れてしまったよ。


「き、君は子供の割に口が悪いね!?」


(おい!リリス!お前口が悪いから警戒されたじゃねーかよ!)


(わかった。少し気をつけよう。こう言え「失礼した……」)


(まったく頼むぜ?)


俺は引き続きリリスの口をまねた。


「失礼した。僕は人ですじゃ。はい、間違いないですじゃ」


「な、なんか口調が変だけど…」


(あぁ!もう、ややこしいから自分で話すよ!)


「すみません。もう大丈夫です。はい」


「……たしかに人のように見えるけど、さっきの魔法は……」


「ああ、ちょっと早熟で魔法が使えるんです」


「早熟って……魔法は10歳からしか……」


「いろいろありまして……」


俺の喋りに敵意がないと見たのか、兵隊は少し気を緩めた顔をした。かなり若い兵隊だ。階級も低そうだ。茶髪でツリ目がちの、キツネ顔である。しかし、善良そうだ……。


「……火を消してくれたのか?」


「はい、なんか大変そうだったので(俺が原因なんだけど……)」


「こ、ここで何をしているんだ?お、俺のことを殺すつもりか?」


「殺さないですよ!何言ってんですか!?」


むしろ、俺が殺されそうである……


「て、敵じゃない?」


「だから、さっきからそう言ってます……そもそも火を消した恩人に剣をむけるってどうなんですか?」


「た、たしかにそうだ……俺が悪かった」


チャキ……


兵隊は剣を下げた。話は通じるようだ。

ご感想、ご評価いただけると泣いて喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ