第56話 砦に侵入してみました
さすがにこの高さだと衝撃が殺せない。このままでは大けがをする?
「アホ!身体強化で膝クッションを使え!」
「わわわ!!ふん!!」
迫る地面に向かって足がついた瞬間に、俺は魔力と気合を入れて膝を曲げる。
ズン!!
地面はふつうの砂地で、俺が着地すると砂が舞い上がった。軽く周辺が揺れて地震みたくなったような気がする……、俺の体重は30キロほどだが、それでもあれだけの高さから着地するとそれなりの衝撃だ。良く俺の膝は無事だな……
無事着地した俺は、勢いを殺せたことに感動していた。
「で、できた……!」
「感動している場合か。周辺に隠れて様子を見るのじゃ」
「よ、よし!!」
俺は近くに小屋があったので、その裏に隠れて様子を探ることにした。
現在、砦は大騒ぎになっている。今俺がいるところは城壁の内側だが、砦の中の様子が手に取るようにわかる。中は駐屯所みたいになっているようだ……。兵隊がうろうろしている。
(すげー、慌ててるな……。森の中どーなってんだ?)
(様子から見るに山火事の具合がひどいようじゃな……)
(やべーじゃねーか。それ……)
確かに兵隊たちが、水バケツを持って走っている……血相を変えて叫んでいる。
「隊長!水が全然足りません!!」
「す、砂だ。大量の砂を用意しろ!」
「砂や水をかけようにも……火勢が凄くて近寄れません!!」
「うぬぅ……一体何なのだ……魔獣の森に攻撃するなんて王国側とも思えんし」
「隊長!火の回りが早いです!早くなんとかしないと……!」
「ええい!応援を頼むぞ。とにかく城壁の上から水と砂を撒け!撒きまくれ!」
俺は兵隊たちの様子を伺いながら、冷や汗を流した。これ……俺が犯人なんですけど、大問題になってない?やばくない?
(相当な火勢なのかも知れない……やばいことちゃったよ俺)
(あとでヤマトの水魔法で消す予定じゃ。大丈夫じゃよ)
(俺に消せるのかな……それに森の動物とか死んでない?無闇に動物を殺すのは)
(大丈夫じゃ、砦近くには動物はいないもんじゃよ。動物も人間が怖いからのぅ)
(だと良いんだけど…)
とにかく、無事に侵入できた。それは間違いない……
先ほどの、火消し部隊とは別に……城壁中は大騒ぎだ。兵隊たちが血相をかえて叫んでいる。
「魔王襲来だー!」だの
「テロだーー!」だの。
大変な騒ぎ……俺が出ていっても気が付かれないんじゃないかな?
(たしかにあの火魔法はすごかったもんな……)
遠目から見て、火山が噴火したのかってくらいの爆音がしたからね。俺もビビったもん。
リリスが教えてくれた魔法はファイアーボールの進化版『炎隕石』(ファイアーメテオ)、威力やべー……。
(さて……魔獣の森へ入るにはどうする?リリス)
(同じじゃよ。今度は逆側の城壁を飛び越えれば終了じゃ)
(よし……)
俺は慌てふためく城壁内。向こう側に魔獣の森との境界の城壁が見える。
「あれか……あの壁を飛び越せば魔獣の森だ」
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