第55話 ジャンプ
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リリスの言うとおりやってみた……。
まずは極限まで大きくした魔力球に、俺は火属性であるファイアーボールをイメージ。すると、球というより隕石に近い大きさの火の球が出来上がった。
「ほれ!それを思いっきり砦の向こうへ投げるのじゃ」
「な、投げる?魔力の球を?」
「この前やっておったろうが、魔人に向かってファイアーボールを発射したじゃろう?今度は投げるイメージじゃ」
「あのときは必死だったから出来たわけで……」
「発射するのより容易いのじゃ。絶対できるのじゃ。右腕に魔力を込めて、それをボールと連動させるのじゃ!」
リリスは、問題ない!という顔で俺に早くやれと言ってくる。こいつ、先生に絶対向いていないと思う。いわゆる天才肌で「なんでこんな簡単なこと出来ないの?」というタイプだ。
「つ、次から次へと難題を……ちくしょう、やけくそだ!」
俺は言われたとおりに、右腕に魔力を集中させる。
ズア……
(右腕に魔力が集まるのを感じる……よし、何かいけそうだ……やってみるか!!)
俺は野球の遠投の要領で、勢いをつけてそれを思いっきり投げた。
「ふん!!」
ブン!
ゴォォ……
凄まじい爆炎の球が、俺の手から離れて遠くに飛んでいく。その様は、小さい太陽が飛んでいるようにも見えた。
「おぉ!飛んでいった……あれ、森に着地するとどうなるんだろう?」
投げたまではいいのだが、あれ……相当ヤバいんじゃね?あんな小さい太陽みたいなもの投げつけられたら、森は火の海になるんじゃ……。
「ふふふ、それは見てのお楽しみじゃ。ちなみにあれはファイアーメテオ『炎隕石』という魔法じゃ覚えておけ」
「炎の隕石……たしかに。その名前はまんまだな。つーか、ここからだと城壁が邪魔で見れないだろう?」
「見れるはずじゃ。火柱が立つからのぅ」
「ひ、火柱?」
ゴクリ……
俺はしばらく耳を澄ませて状況を見守ったが、やがて爆音が周辺に響き渡った。
ドッゴォォン!!
「うおおおぉぉぉ!?」
俺は爆音を聞き驚いて叫んでしまった。それを見てリリスが笑った
「かかか!オヌシがやったのに、自分で驚いておる」
そして、城壁の向こうから火柱が立つのが見えた。火柱というか、爆炎が丸く盛り上がっている……。
空が赤く照らされ、テレビで見たことがある戦争時の爆撃シーンのようだ。
「こちらからこれだけ見えるってことは……む、向こうはどうなってるんだろう……」
「まぁ、行ってみればわかるじゃろう、ほれ侵入するぞ?」
「ど、どうやって?」
「ギリギリこれくらいの城壁なら飛び越えられるじゃろう。跳べ!」
「お、お前むちゃくちゃだな……」
火の球を放れだの、跳べだの。リリスの注文は多い。
しかし、今は従うほかない……俺はしぶしぶ身体強化魔法の準備をする。最近、強化魔法ばっかりだ。俺は魔法使いになりたかったんだが……なんか強化戦士のようにも思える。
「いつもより多めに身体強化魔法をかけろ、さすがに高さがギリギリじゃからな」
「わ、わかった……リリス、向こう側に行って様子を見てきてくれ」
「わかった」
そういうと、リリスは城壁の壁の中に入っていった。
「リリスはどこでも通り抜けられるから便利だな……幽霊っていうと怒るけど……」
少し待つと、リリスが壁から出てきた。
「大丈夫じゃ。城壁内は大混乱じゃ。そのまま跳べ」
「わ、わかった」
俺は、今度は足に身体強化魔法をかける。言われたとおり、多めに魔力を集めた。
ズアアア!!!
俺の足に大量に魔力が集中するのを感じる。
「ふん!!」
ドン!!
俺が跳び上がると、そのまま跳躍をする。ロケットのように跳びあがる姿は、すでに人のものではないだろう。人間は数メートルもジャンプしたりしない……
ブアアアァ!!!
風切り音とともに、俺は城壁の上をタタタと走ると、そのまま乗り越えて向こう側に再びジャンプ。
ブア!
高いところから落下する恐怖感が半端ない。
「うわわわ。地面が迫ってくる……このまま着地すると死ぬ……!?」




