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イケメンに異世界転生したら森に捨てられてた件  作者: 八条院せつな
第2章 ヤマト 別れと放浪時代
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第46話 別れの夜(前編)

ズボ……


俺の腹にさしていた腕を引き抜く魔人。


ボタボタ…………


俺の腹から大量の血が地面に落ちていく。それを見つめながら、俺は意識が遠のく……


「く……」


とても立っていられない。


「ごは……」



俺は血を吐いて地面に倒れ込んだ。


ドサ…………


リリスが叫ぶ。


「ヤマト!!」


魔人を包んでいた炎が急速に小さくなっていく。魔人は嬉しそうに声を上げた。


「お?炎がちいさぐなってぐな……あづくねぇ」


喜ぶ魔人。術者であるヤマトの意識が刈り取られたことで、魔法が消滅したのだ。


「て、手こずらせやがって……ぐぎゃ、でもこれで龍人の子をたべれるぞぉ……ぐふふ」


魔人がヤマトの体に手を伸ばそうとしたときだった。魔人はヤマトの体に異変を感じた。


バ!!


跳び退く魔人。


「な、なんだぁ?」


魔人は、自身の身への危険信号をキャッチしていた。


危険……この龍人の子は危険……。そう告げていた。


「青いオーラ……」


リリスがごくりと唾を飲み込む。


ヤマトの体が青く発光しはじめ、全体的にオーラを纏っている。この状況は以前にも見たことがある。リリスはこれから起こることを予想した。


「こ、この前はヤマトが暴走して……」


魔人は少し驚いたが、光っているだけなことに安心したようだ。


「び、びびらせても無駄だあ……食ってやるぞぃ」


魔人がひるまずにヤマトに手を再度伸ばそうとしたときだった。


ドゥン!!


「ぐぎゃああ!!!?」


魔人が宙を舞った。


ヤマトが高速で起き上がり、魔人の腹を下から上に殴り上げたのだった。アッパーカットのポーズをとっているヤマト。


「い、いつ起きがったのじゃ……見えんかった……」


ゴン!!


そのまま落下し、地面に叩きつけられる魔人。


リリスはヤマトの様子を観察した。


「どうじゃ!?ヤマトの意識は!?」


「ふー……ふー……」


「だ、だめじゃあ!!前と同じじゃ……狂戦士モードじゃ」


ふとヤマトの腹のあたりを見てみると、貫通していた傷は塞がっており、その傷の部分が青く光っているように見えた。


(やはり超回復……オステリアの能力じゃ。く……奴の息子というわけか)


「ふー……ふー……燃えあがれ……」


ヤマトが言葉を発すると、魔人の胸に小さくなっていた赤い火が、青に変化し一気に吹き上がる。


ゴァァ!!


「ぐ、ふぎゃぁぁぁ!?」


青い炎に焼かれ、苦悶の声を上げる魔人。魔人自体が、まるで青い火の玉のようになっている。マグマが溶かすかのように魔人が焼かれていく。


「す、すさまじい火力じゃ……」


魔人の体に燃え広がった青い豪炎は、収まる気配がなく、まるで生き物のように燃えている。はじめ魔人は、狂ったように苦しんでいたが、次第に弱っていき、最後は動かなくなっていった。


最後は真っ黒な炭の状態で横たわっている。ブスブスと焼かれる音と匂いが周囲を包む。


「なんとあっけない……すさまじい威力じゃ。神の力か……」


リリスは神の力の恐ろしさを知っているが故に、魔人との戦闘はこれで終了したと悟った。


「魔人は倒したが……、こやつはどうする?」


「フー……フー……」


荒い息使いのヤマトだが、これを今度は正気にもどすことが先決だ。そのときだった……。


パ千……パ千……


同時に、ヤマトの右手首から白いスパークが始まる。月の糸が、ヤマトの青いオーラと反発するように火花をまき散らしているのだ。


「ぐ、ぐあ……」


ヤマトはその火花に包まれると、苦しそうに悶えながら地面に倒れ込んだ。ヤマトの背中がまばゆい光に包まれたかと思うと、青いオーラは消滅し、そして火花も消滅した。


「おおぉ……いいぞ。その月の糸がヤマトの意識を戻すはずじゃ」


リリスがヤマトに声をかけようとしたとき、信じられないことが起きた。


「……ん?」


ズオオオ……


「な!なんと!!」


なんとヤマトの背中から白龍が出てきたのだ。


「は、白龍……これがリカオン達が言っていた……」


大きさは小さい山ほどある……、空中に浮かびこちらを見つめている白龍。


(黒い龍は出ていないようじゃな?いったい……)


リリスが状況を掴みかねていると、白龍が動いた。


ゆらり…… 


ゆっくりと目を開く白龍。ヤマトを見つめると悲しそうな雰囲気を出しているようにも見えた。


(悲しんでいる?どういうわけじゃ?)


すると、白龍は大きく咆哮した。


「ゴウォォォォ!!!」


叫び終えると、スーーーッと白い龍は透明になり、ヤマトの中に消えていった。リリスはいまの現象にひたすら驚いていた。


「な、なんだったんじゃ!?」


そして、ヤマトが気がついた…………


「う……うぅん……」


立ち上がり状況を理解しようと周囲を見渡すヤマト。


「気がついたかヤマトよ。もうすでに魔人は倒しておる。大丈夫じゃ、両親も無事じゃよ」


リリスが説明を始める。


「え?倒した?誰が!?」


「……前と同じじゃ。おぬしが神の血を発動した。ほれ、そこに消し炭になっておるじゃろ?」


リリスが指さした方向を見ると、人の形をしたものが黒く焦げているのが見えた。


ヤマトはそれを見て安堵の表情に変化した。


「父上も母上も無事なんだな!?」


俺が再確認すると、リリスは頷いた。俺はそれと同時に力が抜け、膝をついた


「そ、そうか……また発動したのか。でもよかった……」


安心しつつ、魔人の死骸から目を離さない。気を抜いて魔人が復活などしたら、たまらない。しかし、しばらく凝視していたが、魔人の死骸からプスプスと煙が立ち上っているだけだ。たぶん大丈夫だ……もう死んでる、倒したのだ。


「よし!やったぞ」


しかし、まだ少し心配だ。一応死骸から目を離さないでいる。ギリギリだった。神の血がなければ死んでいた。


魔人の死骸を見つめながら俺は考えこんだ。魔人が何故ここに? 村人は無事なのか?うちだけ?


疑問が次々に出てくる。


「良くやったぞヤマト、下級魔人とはいえ、龍人の子が魔人を仕留めたんじゃ。誇って良いぞ」


そうなのか?俺は無我夢中で何したか覚えていない。つーか俺の力じゃないし……


「オステリアが言っていた魔人ってこいつのことなのかな?」


「うむ……しかし断定はできん。オステリアに聞いてみんとな」


しかし、ここ数年オステリアは夢にも出てこない。こちらも用事があったわけでないので求めていなかったが……今度神殿にでも行ってみるか。そこに行けば会えるとか言ってた気がする。


「ところで何故魔人が地上界に?魔人って魔王とセットじゃないのか?」


「おそらく、オヌシの血に惹かれてきたんじゃろうな。オステリアはそれを警戒していたようじゃが……」


「俺の?なんで俺なの?」


「龍人の心臓は、魔人の大好物なんじゃよ」


「そうなの!?怖っ!」


「龍人は生まれてから戦いの人生なんじゃ……」


(オステリアがそんなことを言っていたな……)


「ん?ということは、俺がいる限り魔人はまた来る可能性があるのか?」


「おそらく……一匹とは限らんしのぅ。今回のは低級魔人だったからよかったが。次また魔人に襲われるのは、そう遠くないじゃろう……」


「そ、そんな……また来るのか? こんな化け物が!?」


「うむ……」


「冗談じゃない!うちには妊婦もいるんだ!!両親を二度とこんな危ない目にを遭わせられない」


「……しかし避けられまい、それがため龍人は一つの国を作ったのじゃ」


「龍人っていっても、どこにそんな国があるんだよ。俺一人じゃないか……」


「ワシの責任なんじゃ……龍人の国を滅ぼしたのも、地上界を危険にさらしたのも……」


「そんなことはどうでもいい。俺は家族が無事ならそれでいいんだ」


「言いにくいがの……赤子が産まれたあとも、ずっとこの問題は残る……オヌシがいる限り魔人はやってくるじゃろう。家族を守り続けるのは不可能じゃ……」


「そ、そうだ……今回はたまたまドアを大きな音で入ってくるようなバカな魔人だったから気がついたけど。もし、こっそり侵入されていたら……」


「皆、死んでいたかも知れんのぅ……」


「何が言いたい……リリス?」


「……言いにくいが、分かるじゃろう?ワシだって辛い、オヌシが家族を大事にしていたのは理解しているつもりじゃ」


「家を出ろと?」


「そうじゃ……それしか家族を守る方法はない」


「……」


おれは、顔が真っ青になっていくのを感じた。確かにリリスの言うとおりだ。


俺は……俺は……この家に居てはいけないのかも知れない。


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