第42話 新しい家族?
新章はじまりです
ヤマト達が暮らしている「カタナール村」。ここは王国の最南領土である「カルドーゾ領」と呼ばれているうちの一つの寒村である。
カルドーゾ領には「カタナール村」を含めて4つしか存在しない。
カタナール・バンキン・シシール・ララースタ ※ララースタのみ「都」扱い
カタナール村には、かなり昔にカルドーゾ領主に任命された貴族。カルドーゾの館がある。大層立派な館であり、たまに村のものが整備と修理をしているので綺麗なままである。歴史的にはカタナールの村が一番古いが、一番寒村でもある。
カルドーゾ領は辺境の地でもあった。しかし、王国の10%を占める広領土であり、採掘や畑などを行えば、一大産業が興ることは間違いない。しかし、そんなカルドーゾ領はとある理由により長い間、領主が不在であり、放置されていた。
……それは【魔獣の森】と隣接しているためだ。誰もここの領主をやりたがらないのだ。
魔獣の森……カルドーゾ領の南に位置しており、大きく広がっている。強い魔物や魔獣がいることで有名で、王国を他国からの侵略から助けている「壁」にもなっている。何度も開拓軍を差し向けたが、軍の被害が甚大になるばかりで、王国側も「壁」として割り切ることにしたのだ。
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ラスタリス王国の王宮にシーンを変える
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ラスタリス王エクリプスは玉座に座り、頬杖をつきながら書記官より報告を受けていた。面白くない顔をしている。
昨日、王国内での脱税貴族が発覚して、不正を嫌う王は激怒した経緯もあるのだ。
しかし、報告を受けて王の顔は徐々に柔らかくなっていく。
「そうか……、リカオンが成功したか」
王の年齢は31歳。若王だ。金色の豪奢な髪と、たくましい体格から「金獅子王」と呼ばれている。容姿は非常に整っており、社交界にそのまま出せば女性からも人気が高いだろう。彼は若くして王の座についたが、知性的で現実主事な性格から、古い慣習を嫌う性格。積極的な政治への取り組みと、不正への厳罰な対処。民からの支持も厚かった。戦闘能力も非常に高く、戦時になれば自ら前線に赴く獅子王でもあった。
書記官はメガネをクイっと上げながら、冷や汗を流している。
「はい、スパイの捕縛に成功しています。かなりの手練れでしたが流石と言えます」
「まだ腕は健在か……」
「目下、スパイを尋問中です。しかし1点気になる点が……」
「なんだ?」
「捕縛するにあたり青い火柱が立ち、冒険者リカオンはそこで発見したに過ぎないと言っています」
「青い火柱……、何か調べはついているのか?」
「い、いえ!いま調査中でして!」
この金獅子王は、間違った報告などを嫌う。報告の辻褄などがあっていないと即座に首を斬られるのだ。報告も命がけである。
「リカオン達への報酬は見送りますか?」
「馬鹿な。発見の方法は問わぬ、リカオンはスパイを捕らえた。それは賞賛に値する」
「は。はい!ギルド側もリカオンの冒険者復帰を望んでいます」
すると、金獅子は笑った。
「リカオンの奴は何と言っている?戻る気はあるのか?」
「先ほど、カタナールから手紙が来まして……」
「なんと書いてある?」
「子供も出来たので、そのままカタナールに住みたいと」
「……養子を取ったと聞いていたが。そんなに田舎が良いか。」
豪快に笑う王に、書記官は縮こまった。
「今回の報酬に、ギルド側は金貨1枚と想定していますが……。」
王は、そこで微笑しながら顎に手を置いた。
「ふむ……。奴はカタナールから動かないと言ったんだな?」
「は!」
「では、良かろう……。ペンを持て。国印もだ」
「は!」
文官達が慌ただしく動きだした。王の前に机と、ペンと紙が設置された。
書記官は国印を両手で慇懃に持ち、玉座前に膝をついている。
「うむ…………」
サラサラと、王は何かを書く。
「これで良かろう。国印をもて」
「は……。ここに」
すると、書記官が恭しく国印を王へ差し出す。
バン! と押印がなされると、ラスタリス王は書記官へそれをぞんざいに渡した。
「これをリカオンへ届けてやれ。私からの祝いと報酬だと」
「は!!」
書記官は、その書面を見て仰天する。
「こ……これは!!」
書面内容は、簡潔そのものだったが、内容が衝撃的だった。
【リカオン・フォン・ドラギニスをカルドーゾ領主に任命する:エクリプス・フォン・ラスタリス】
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【ヤマト視点に戻る】
ナタルは俺が村に帰ってきたのを見ると、安心のあまり気絶してしまい。三日三晩寝込んでしまった。ごめんよ……ナタル。
俺は1ケ月以上も失踪していたことについては説明を求められたが、ほかの村々を見学したり旅行をしていたと言っておいた。苦しい言い訳だが、他の村なども寄りながら帰ってきたので、アリバイも問題なくある。
時間差で帰ってきた両親には無茶苦茶怒られた。話を聞いて、それこそ目玉が飛び出るくらい驚いたマリーシアも、三日三晩寝込んでしまった。
ごめんよ……母上。
暗殺依頼を受けた両親は無事に依頼を達成したということだ。(ほぼ俺が解決したに近いが、両親も詳細は俺に語ろうとしない。あえて聞かないけどね)。
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そして、報酬を期待していたドラギニス一家だったが、とんでもない報酬がやってきた。
「なにぃぃ!?俺が領主!!!!?」さけぶリカオン。
王国からの使者が、やってきて任命書を手渡してきたのだ。
「ごほん……。早々に、王宮へ参られよ。叙任の義を執り行う」
「は、はぁ……」
そういうと、使者は帰っていった。これには、一家どころか近隣の村をも巻き込んだ大騒ぎになった。
「ドラギニス家が領主決定」
バンキン村ほかの村長たちが緊急集合して、緊急会議。リカオンは、王都へとんぼ帰りして叙任の義もすませてきた。
そして青ざめたリカオンは、こう告げた
「エクリプス王にやられた……」
どうやられたかというと、なんと「辺境伯」に叙せられたのだ。
一気に大出世。
王からの任命を断れるはずもなく……。俺達一家は、領主一家となった。
屋敷も引き払い。カルドーゾの館と呼ばれる大屋敷に引っ越し。もう大騒ぎ……。
まぁ、そんなこんなで新しい館での生活がはじまったが、基本的に毎日のルーティンは変わらない。リカオンは色々忙しそうだったが、カルドーゾ領は小さいので、リカオンと雇った数名の使用人達でなんとか領主運営はやっているようだった。
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時間は過ぎ去り。俺は5歳になっていた。相変わらず親に魔法は禁止されているので、訓練らしいものは出来ないが数年の間に培った魔力圧縮技術はかなり成長している。
リリスいわく、今も昔も「魔法使い」もいるが、むかしは「魔力」使いがいたらしく。俺はその「魔力」使いとしても大成できるだろうとほめられた。
(魔力使いって何よ……それ。俺は魔法使いになりたんだけど……)
そろそろ圧縮も卒業して、魔法を発動させる段階らしい。なんとか時間と場所を確保して、魔法練習をする必要があり。リリスと俺は悩んでいた。
ちょうど、そのときだった。我が家にビックニュースが舞い込んだのは。
なんと、マリーシアが妊娠したのだ!
最近マリーシアの目眩が酷かったので、医者に見てもらったところ、妊娠が判明したのだ。リカオンが家にいる時間が多かったので、両親の「仲良し」の時間が多くなったことも起因しているのだろう。まぁ、そんなことはどうでも良い。
俺は兄になるのだ!凄い凄い!!
両親は大喜びだ。俺も喜んでいる。
妹がいいな!絶対妹がいい!
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