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イケメンに異世界転生したら森に捨てられてた件  作者: 八条院せつな
第一章 ヤマト幼年時代
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第38話 ドリペンネ発見

リカオン達の居所をはっきりさせたあと、俺たちはリカオン達が何を話しあっているのか調べることにした。リカオン達がどのような作戦でターゲットの情報を得ようとしているのかを知りたかったからだ。


直接聞くわけにもいかないため、俺はリリスにスパイさせてみた。彼女の見えない特性は、非常に有効だ。


「………………」


リリスを送りこみ、しばらく待つこと20分ほど……リリスが戻ってきた。


「待たせたな、戻ったぞ」


「おう、どうだった?」


「どうもリカオン達は、ターゲットが親しくしていた冒険者仲間の家を張っているらしいのぅ。それにプラスして聞き込みを続けているようじゃ」


「なるほど……」


「しかし、結果は芳しくないようじゃ。まったく情報を得られていないようじゃよ」


「ということは、俺たちとあまり進捗変わらないようだな」


「うむ…………」


こまったな……リカオン達が情報を掴んでいれば、リリスという透明人間を送りこみ、寝ている隙を狙えばドリペンネを捕らえられるのに……。ドリペンネって奴はかなり用心深い奴なのか?


「となると、リカオン達がやろうとしている捜査に先回りしてリリスが情報を得るやりかたに切り替えるか……そのほうがサポートに徹して効率的だよな」


「ワシもそう思うぞ、ああ見えて二人とも熟練の冒険者じゃ。頭もキレる。ある程度、任せたほうが良いじゃろう」


「そうしよう…………」


リカオン達が自分の隠れ場所から動かないのを見ると、俺達は一度宿屋に戻ることにした。


困った……。リリスが居れば、ことはスムーズかと思っていたのだが、そう簡単に進まないものだ。まぁ、捜索二日目にしてリカオン達の居場所をつかめただけでも良しとするか……焦ってはいけない。お金もあることだし、今日あたりは美味しいものでも食べて……。


俺がそんなことを考えて冒険者ギルド前を通りかかったとき、ギルド前にあった一軒屋に目が留まった。


「うん?……あれは?」


俺がその家を見つめていると、リリスが不思議そうに尋ねてくる。


「どうしたんじゃ?」


「いや、あの家…………」


「あの家がどうしたんじゃ。古民家のように見えるがの」


リリスは、家をみつめてそう評した。確かに古ぼけた家で、今は誰も住んでいないようにも見える。たしかあの家は……そうだ、ハイエルフの子が言っていた家だ。


「この前、ハイエルフの子と話したって言ったよな?」


「ああ、覚えておるぞ。なんでもグリーンの髪をしたハイエルフだったそうじゃな、ハイエルフ自体が珍しいのに、グリーンとは珍しいとは思っておったが……それとあの家は何か関係があるのか?」


「ああ、その子がさ、不思議なことを言ったんだ」


「不思議なこと?」


「困ったことになるだろうから、そのときはあの家を調べてみろってさ。そう言ったんだよ」


「ほぅ……意味深じゃな」


リリスは顎に手をやり、眉間に皺を寄せて考えている。

リリスにバカにされるかと思ったのだが、意外と真剣に考えてくれた。


「実際、今困っているじゃん?調べてみるべきか、迷っていたんだ」


「なるほど……それは調べてみるべきじゃ。ハイエルフは不思議な能力を持っていることが多い」


「…………あのハイエルフ、すごい不思議な子だったけど大丈夫かね?罠とか……」


「その娘がくれたという腕の紐も、何か友好の証にも見える。大丈夫だと思うぞ」


リリスは、俺の右手首についているブルーの紐を指さしながらそう言った。あのハイエルフに着けられてから、なんとなく外すのを躊躇い、着けたままにしている。不思議なことにかなり頑丈にできている紐らしく、まったく劣化する気配がない。これ、はさみでも切れないんじゃないだろうか……。


「月の糸で出来ているとか言ってたな。すごく貴重らしい」


「なに!?それは月の糸なのか!?それは……とんでもないものじゃぞ」


「え?そんなに凄いものなの?」


「うむ。ワシもはじめてみるが、『月のさなぎ』という、月の光を食べる不思議な幼虫がいての。それが出す糸なんじゃ」


「さなぎなのに、何か食えるのか?」


「ふむ。さなぎ状態じゃが。動きまわるが?」


(地球の虫知識と比べてはいけないか…………)


「そもそも月の光って食えるのかよ、めちゃくちゃ不思議な虫だな」


「うむ。月のさなぎ自体が貴重じゃ……」


「で?効用はなんなんだ?この糸の効果とかさ」


「うむ……まず効果じゃが……」


ゴクリ……すごい効果なのだろうか……。


「月の糸の効果は、まず『肩こり』『腰の痛み』を緩和させる効果がある」


「健康グッズかよ!!」


俺はがっくりと肩を落とした、なんだよ。それ……もっと伝説的な効果があるのかと思ったんだが。


「それだけではないぞ、月の糸は魔力回復時間を大幅に短くしてくれるのじゃ」


「え!?すげーじゃん!それを早く言えよ…………」


「通常、魔力は枯渇すると毎時2%ほど回復するが、その月の糸を身につけている者は毎時10%ほど回復すると言われておる」


「ご、5倍!?そ、そんな凄いの?めちゃくちゃレアアイテムじゃん!」


魔力回復薬としてポーションなどがあるが、あれは絶対値が決まっている。それにさほど大きく回復しない。通常の5倍速度で回復となると破格の回復ブーストだ。


「うむ。月の糸一本だけでも、効果はすさまじいが。その紐レベルになると……」


ゴクリ……糸一本だけで、そこまで凄い効果なのに、これ紐になってるぜ?効果すごいんじゃないの?


「まず一生肩こりからは解放されるじゃろう」


「そこじゃねーだろ!!」


「うむ……そうじゃった、おそらく魔力回復速度は人外なものになるじゃろうな。なくさないほうが良いぞ、国宝レベルじゃ」


まじか……そんな国宝レベルのものをもらってしまったのか、俺は……、それを持っていたあの子っていったい何者なんだろうか?


「返すにも、あの子の名前すら知らないし…………」


「とにかく、その者は味方だと思うぞ。あの家を調べてみるのじゃ」


「そうだな、リリス頼む」


「了解した」


そういうと、リリスはその家の中に入っていくと、すぐに戻ってきた。


「ど、どうだった?」


俺は急ぎ聞いてみる


「いたぞ!いたぞ!ドリペンネは、あの家に潜伏しておったのじゃ!」


「うそ!?まじか!」


「やったのじゃ!まさかギルド近くに潜伏していたとは……灯台下暗しじゃな」


たしかに、こんな近くに潜伏しているなどと誰が想像できるだろう。ドリペンネは肝も据わっているキレ者だ。


「それで?奴は今何をしていた?」


「何やら、出立の準備をしていたぞ。すぐにでも捕らえねば逃げてしまうかも知れん。急いだほうがいいじゃろう」


「!?なら、早くリカオン達に伝えないと!!」


俺達は来た道をとって返し、急ぎリカオン達のいる隠れ家に戻ろうとしたときだった。


何か嫌な予感した俺は振り返る……すると……。


ガチャ……


何と家から一人の男が出てきたのだった。おそらくドリペンネで間違いあるまい。 俺が想像していたよりも体格が良く、筋肉質な体型をしていた。身長は190cmはあるように見える。


背中には大剣、腰には魔法杖を差している。


(魔法剣士のくせに大剣を使うのか……)


通常、魔法剣士というとレイピアか長剣が関の山だ。大剣は、剣士の中でも腕力を問われる武器だ。魔法剣士が選ぶ武器ではない。


ドリペンネは周囲を気にしながら大きな荷物を手に持っている。これから近場に出かけようとするには明らかに大きすぎる荷物。これから逃げようとするか、住処を変えるために移動する準備に見えた。


俺はそれを見て、一歩遅かったことを確信した。これからリカオン達を呼びに行ったのでは遅い、戻ってきたときにはドリペンネの居所はつかめなくなるだろう。


俺は、即座に決意を固めた。


「よし……俺一人でやる……」

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