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イケメンに異世界転生したら森に捨てられてた件  作者: 八条院せつな
第一章 ヤマト幼年時代
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第31話 1歳半になりました

俺はあれからスプーンに魔力を込めまくった。


一体なにやってるんだ俺は……。魔人が攻めてくるというのにスプーンに魔力を浴びせまくる生活……。悲しい作業だ。


3本くらい仕込んだところで、リリスが「最低10本は必要じゃ」というので、スプーン自体を食器棚から盗むのに苦労した。


折角つくったのに、マリーシアに取り上げられては元も子もない。なので、俺は作成した魔力を浴びさせたスプーンを、おもちゃ箱の中にあるヌイグルミの中に隠しておいた。隠すのにも小さいスプーンは便利である。


マリーシアが、「なんかヤマトちゃんがスプーン盗んでどっかにやってしまうのよねぇ……」と愚痴をこぼしていた。


愚痴も言うのも仕方ない、うちにあるスプーンはすべて高級品だ。一本1万クランはするらしい……それを10本も盗んでいるんだから申し訳ない。


でも、これは魔人対策になるらしいので勘弁してほしい。スプーン10本で命が救われるのならば、きっと親も納得してくれるだろう。


(ごめんね……マリーシア)


7日ほど時間をかけて俺は魔力を浴びせまくったスプーンを10本ほど作成した。やった……やりきったよ。


(作ったぞ、リリス。これをどーすんの?)


リリスは俺が作成した10本のスプーンを手に、満足そうに眺めながら答えた


(ふむ、良くヤマトの魔力が染みておる。これなら十分じゃろう)


(染みてるって……)


(よくやった。よし、このスプーンを村の山の奥へ捨ててくるんじゃ)


(山へ?そうか……わかったぞ、リリス。もしかして……)


(そうじゃ、この魔力が染みついたスプーンは、オヌシの身代わりとして十分じゃろう。これで魔人を混乱させるのじゃ。魔人は山にお前がいると勘違いするじゃろう)


なるほど!って……俺は山へいけるほどの足をもっていない。まだ赤ちゃんだしね……俺はリリスに質問してみる。


(で?どうやってスプーンをそこまで持っていくんだ?)


(…………)


(ま、まさか……)


(考えてみればオヌシは赤ん坊じゃったな……最悪ワシが……あ!)


(お前も何もできんだろ。まさか……)


(うっかりしておった……良いアイデアだと思ったのだがのぉ)


(おい!!何も考えてなかったのかよ!)


(すまん。ワシは体をもっていなかったんじゃった……うっかりしておったわ)


まじかよ、かなり時間を浪費したぞ。おい。俺が落ち込んでいると、マリーシアが部屋に入ってきて、俺に洋服を着せてきた。


(散歩か?)


と思ったが、いつもと違う洋服だったので俺は不思議に思い質問してみた。


「ママ、どこいくの……?」


「ヤマトちゃん。大丈夫だからね。今日 近くの都にいくわよ。そこで診てもらいましょ」


(なに?都へ?!まさに足ができた!!)


ちなみに何を見てもらうのかは疑問だったが……。マリーシアの言う「見る」というのは「診る」ということに気がついてはいなかった。

ガタン……ガタン……

すぐに馬車に乗らされ、俺は今、両親とともに馬車に揺られている。向かうはララースタの都である。


一番最寄りの都は、北へ30kmの「ララースタの都」だ。結構遠い……馬車で半日はかかる。


子供を連れていくところではないが、それほどマリーシアの心配度が高いということだろう。そんなに心配させてしまい反省……


何故、急に都に行くことになったのか、理由は判らないが、それはマリーシアとリカオンの用事だろうと思っている。なにか俺の頭を撫でながら深刻な顔をしているのが気になってはいるが……


馬車の中には、俺以外に誰も気がついていないがリリスも同乗している。リリスは俺の顔みながらテレパシーを送ってきた。


(……そろそろ一本放れヤマト)


(ラジャー!)


道の曲がり角で、リリスが都度指示を飛ばしてくるので、俺は決まった行為を行う。


チャリーン……


俺はこっそり、マリーシアの眼を盗んでスプーンを1本捨てた。


(よし……これで3本目だ。順調だ)


そう、俺達は都に行くまでの間にスプーンを馬車から捨て続けた。山ではないが、家から距離があれば良いのだ。単純に捨てていくとさかのぼって我が家の場所まで誘導してしまうため、曲がり角などポイントに捨てていく。


まるでララースタの都の方向へ向かっているかのような軌跡になっている。都へ魔人が向かってしまうと問題になるので、都近くではやらない。これがリリスの言う作戦だ。


魔人が俺の魔力の臭いを頼りにしているということは、これは相当に有効な手だと思う。


こうして、俺はララースタの都につくまで10本のスプーンを捨てまくった。


そして無事に都に到着した。やりきった俺は満足気だ。ところで何をするんだろう?


「ママ、ここでなにするの?」


俺は仕事を終えたことも手伝って、にこやかにマリーシアに訊いてみた。すると、マリーシアは深刻な顔をして俺に伝えた。


「ヤマトちゃんの病気を診るためよ」


(え!?病気!?)

かなりの時間をかけて到着し、医者に診てもらったが、「なんでもない。順調です」という診断を受けた。当たり前だ……。そのまま何事もなく村へ引き返した。都でのイベントは本当にそれだけ、何しに行ったんだか……。

こうして、俺は訓練を続けながら半年の時間が過ぎ去った。俺も生後10ケ月である。もう少しで1歳だ。


魔人はどうなったって? あれはもう大丈夫だ。スプーン作戦が功を奏した。

あの後、すぐに女神が教えてくれたのだが、魔人はスプーンの匂いにつられて迷っているらしい。今では北の方向へ行っているとのこと。


(こんなにうまくいくとは……)


(あたりまえじゃ。ワシが考えた作戦じゃからな)


リリスは偉そうにえばっているが、確かに成功しているので、何も言えない……とりあえず、命の危機は完全に脱したと言ってよい。


リリスと一緒に訓練を続けている。今では魔力操作レベルもかなり向上している。身体的な成長として、だんだん顔立ちもハッキリしてきた。両親いわく「世界で一番整った顔の赤ちゃん」らしい。


マリーシアはよく「将来、きっと美形になるわぁー。女の子あんまり泣かせてはだめよー」 と、うっとり俺を見ている。


親の欲目だろう?と思ってたが、オステリアが自信作と言ってるくらいだから、俺の顏は神がかってるということだろう。女神は美の神でもあるので、間違いない。鏡で見たことないから分からないけど……


ちなみに近所の奥さんが、わざわざ俺を見にくる。よほど、俺の顏は可愛いらしい。昼は、マリーシアは応対で大忙しだ。何かにつけて、俺を抱っこしにくる村の奥様たちにマリーシアは、近いうち金をとろうか検討中だ。俺はパンダか……

【 ヤマト 1歳半 】

さらにリリスの監修のもと修行は続く。すでに俺は1歳半になっていた。


最近は、すっかり魔力を圧縮することに成功するようになってきた。リリス曰く、ここまで魔力をコントロールようになるには、龍人族でも5年はかかるようだ。俺の成長速度は異常みたい。


そして、魔力も相当に高いらしい……リリスはそこにも驚いていた。


(魔力も異常じゃ、すでに魔法使い見習い程度の魔力を持っておる。こんな赤子は見たことない。さすがカリアースの生まれ変わりじゃ)


ちなみに、リリスのいうヤマト・フォン・カリアースって男は、龍人族の中では、随一の魔法使いだったらしい。魔力も桁違いで神と対等に渡り合う男だったとのこと。


その人物の生まれ変わりというが本当なのだろうか。だとすると、俺の地球での人生は一体何だったのだろう……それが疑問……。


カリアースの話をよくリリスから聞く。とにかく、魔法使いとしては一級だったが、結構お茶目な人だったらしい。


彼が幼いとき、よく若い女性のお風呂をノゾキして、リリスに電撃をくらっていたエピソードや。エロ本を収集する癖があったらしく、それで良くリリスに怒られていたみたい。


(なんか、親近感湧くな……)


カリアースの話をするときには、リリスはすごく優しい目をする。凄く可愛がっていたのだろう……


リリスから龍人族の歴史や、昔話をよく聞く。龍人族でのリリスは、そりゃあ人気あったみたい。1500歳で死ぬまで、見た目は若い女性の容姿をもち、優れた知性と魔法力。さらに龍人族のカリスマ的なリーダー。人気が出ないわけがない。かなりモテたらしい……


(なんで1500歳で若い容姿なんだよ)


(ちょっと秘術を使ってのぅ、見た目は今の容姿と変わらなかったんじゃ)


ひ、秘術って……すげーな。こいつ……


確かに女神みたいだったもんなこいつ。むちゃくちゃ綺麗な長老って、不思議な言葉だ……


俺、1歳半。平和な時間が過ぎ去っていく……

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