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イケメンに異世界転生したら森に捨てられてた件  作者: 八条院せつな
第一章 ヤマト幼年時代
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第29話 リリスの魔法訓練

これからリリスと魔法の修行を行う必要があるのだが、魔法の修行は家族に禁止されている。これは問題だ。


今もほら…………


「ヤマトちゃーん。そろそろ、お昼寝からおきなさーい」


パタパタと廊下を走る音が聞こえてきた。おそらくマリーシアが、俺の様子を見に来たのだろう。これから、またマリーシアと広間へ移動してしまう。つまり魔法の練習時間などないということだ。


(リリス!本当にほかの人には見えないんだよな?)


俺は心配になりリリスに問いかける。するとリリスは、先ほどの椅子の上に座ったまま動じる気配がない。


(せっかくじゃ。このまま様子を見てみるのじゃ)


ガチャ……


ドアが開き、マリーシアが顔を出して部屋の様子をうかがう。


俺は「ゴクリ」と唾を飲み込む、なぜならリリスが平然と部屋の中央の椅子に座っているからだ。普通であれば、マリーシアが絶叫するシーンである。


しかし……。


確かにリリスの方向に視線をもっていったのだが、無反応であった。


「ヤマトちゃーん?あら?起きてるじゃない。ほらほら、じゃあ広間へ行きましょう」


マリーシアが嬉しそうに部屋に入ってくる。すぐそばにリリスが座っているにもかかわらず全く気がつく素振りがない。どうやら、リリスの言うとおり俺にしか見えないらしい……すごく不思議な光景である。


「ママ……おはよ……」


つたない喋りで、マリーシアに挨拶をする。マリーシアはニコリと笑うと、そのまま俺を抱きあげて広間へ連れていってしまった。その様子をリリスは無言で見ている。


ガチャ……


部屋を出るマリーシアとヤマト。部屋には誰もいなくなった。リリスは溜息まじりに呟く。


「しかし……、訓練する環境では確かにないのぅ……」

広間にはメイドのナタルが控えていた。マリーシアは基本俺につきっきりだ。広間には、美味しそうな匂いが満ちていて鼻腔をくすぐる。特に焼けたパンの香ばしい香り鼻腔をくすぐる。


「あ、おはようございます。ヤマト様」


ナタルは赤ん坊の俺にも丁寧な言葉を使う、一応俺はこの家の跡取りということで貴族扱いらしい。


「おはよ……ナタル」


俺が挨拶をするとナタルは破顔した。


「きゃ、なんて賢いのでしょう。ヤマト様は本当にすごい赤ちゃんです」


どうも、ナタルも俺のことが可愛くて仕方ないらしく、たまに礼儀を忘れる。しかし、それは全く問題ない。両親も俺の面倒を良く見てくれているナタルを愛していた。ナタルは純粋でとても良い子だ。


ナタルは15歳で、ブラウンヘアーの似合うリスみたいな雰囲気の子だ。両親はいるらしいが、この村ではなく隣り村とのこと。この世界では15歳になると成人なので結婚相手をそれまでに見つけるか、働かなければならない。ナタルは美少女と言ってもいいんだろうけど、15歳になるまで婚約者が見つからず、働くことになったということだ。


そのナタルが、俺の体を抱き上げながら何なら悩んでいる。横にはマリーシアがちょうど横にいる。


「ん~、マリーシア様?」


「どうしたの?ナタル?」


微笑を浮かべながら応えるマリーシア。マリーシアもナタルのことを信頼している。マリーシアは若く、ナタルと年齢の少し離れた姉妹と言っても良いくらいの年齢差だし、非常に仲が良い。


「あの、ヤマト様のお洋服が少し小さくなっているような気がします。そろそろ新しいお洋服が必要です」


「あら、確かに少し小さいかしら?ふふふ、ヤマトちゃん。どんどん大きくなっているのねぇ。ふふふ」


そんな他愛のない会話をしていると、リリスが部屋に入ってきた。俺は一瞬ギョッとしたが、マリーシアもナタルも、リリスに気がついた様子がない。彼女の姿は誰にも見えないんだった……。


(リリス……何してたんだ?)


視覚化して何処かに行っていたのは知っていたが、その先で何をしているかまでは把握できない。俺はテレパシーでリリスに声をかける。


(ふむ、実験じゃ。どれくらい視覚化してヤマトと距離が離れられるのかをな)


(なるほど、どうだった?)


(大した距離ではないのぅ。10mほどがやっとじゃ)


(そうなのか……)


(それよりも魔法の訓練だが開始するぞ)


(…………?はぁ?お前、この状況を見て分からないのか?)


俺は一瞬、リリスが何を言っているのか分からなかった。この母親とメイドに可愛がられている中で魔法の訓練など出来るはずがないではないか……。


(ああ、それか。オヌシ何か勘違いしていないか?)


(へ?勘違い?)


俺とリリスがテレパシーで会話をしている間、マリーシアとナタルは「次のベビー服」について楽しそうに会話をしている。


(オヌシのイメージする魔法の練習とはどんなじゃ?)


(え?たとえば、草っぱらで魔法ぶっぱなすとか?)


(まあ、そういう練習も必要じゃがのぅ、だが違う)


(じゃあ、どういうものなんだよ?)


リリスは、カツカツと俺の眼の前で左右に歩きながら教師然としている。何か重要なことを教えようとしていることは伝わってくる。


(まず火の魔法を魔法を使うとは、どういうことじゃ?)


(そりゃ、火を出すことだろ?)


(違う。そりゃ結果じゃ)


(じゃあ、どうすりゃいいんだよ?わかんねーよ)


(まあ、まずやってみるか。ほれ両手を出してみぃ?)


(ほい)


俺はマリーシア達の前で、両手をひょいと出したが、不思議と違和感はない。赤ん坊が手を前に出しているのは、それほど不自然でないのだ。


(では今から、その両手から魔力を出してみい)


(は?できるわけねーだろ)


(いいからやれ)


(はいはい……)


俺は気合を入れて魔力を出す振りをしてみた。


(…………まったく出ておらんぞ)


(そりゃそうだ、魔力の出し方をならってないもん)


(まぁ。良い……。つまりそういうことじゃ。判るな?)


俺はリリスが何を言いたいのか理解した。つまり、魔力を操る訓練は、近くに両親がいても問題ないということを言いたいのだろう。


(ほう、その顔はワシの言いたいことを理解してきたということか?)


(こういう訓練なら場所を選ばないということだろう?)


(そういうことじゃ……魔力を出すとは、内なる魔力を感じるということじゃ。ではこのまま訓練を続けるぞ)


こうして、俺はマリーシアやナタルがいる傍らで、リリスの魔法訓練を始めるのだった。

2日ほど、俺はリリスに「魔力を感じる、そして放出する」という練習を続けた。そして2日にして魔力を感じることに成功した。


リリスから言わせると、これは異常なことらしい。まず第一に魔法の才能に溢れていた龍人族の子供でも、魔力の発現自体が10歳からなので、このような赤ん坊は見たことがないとか。 さらに2日で魔力操作の基本を覚えるのは、龍人の中でも「天才」に分類されるとのこと……


(さすが、オステリアの血をもらっているだけあるわい……末恐ろしいわい)


(そうなのか?でもまだ、魔力の操作の基本を押さえただけなんだろう?)


今は昼寝の時間ということもあり、自分の部屋でリリスと二人っきりだ。マリーシアは俺が昼寝していると思っているので別の部屋だ。


(そうじゃ。魔導は深い。ほれ、ではおさらいじゃ。さっそく魔力を出してみぃ?)


(了解!おらぁ!!)


俺は自分のなかの魔力を意識し、そして両手に集めるイメージを進める。すると、指先が痒くなってくる。これが魔力が出ている証拠でもあるらしい。


(ほう、赤子にしては出ておるの)


(そうなの? 魔力見えないけど)


(まだ魔力を視る訓練はしていないからのぅ、確かに出ておるぞ)


どうも出ているらしい……。こんな感じで俺からすると訓練が進んでいるのかどうか実感がない。 しかしリリスがいることで、魔法技術が進んでいるのは間違いないようだ。師匠がいるというのは大きい。

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