第26話 休戦協定
話しかけた人(神?)の様子がちょっと変……というか凄ぇ変。
「龍人って女をメロメロにさせるっていうけど……たしかに前に立つと……はぁはぁ……くるわぁ……」
「く……くるって……?」
「はぁ……はぁ……。もう我慢できない!ちょっと神と禁断の関係ってやつになってみましょ、むちゃくちゃにして……」
すると、その美人女神はするすると服を脱ぎはじめた。
「ちょ、ちょっとぉ!?」
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ヤマト:トランス状態に移行
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地平線の果てからこんにちは、私ヤマトです。いま神々がお住まいになる神界のとある場所におります。
前方に見えますのは……はい、綺麗ですね。どこまでも続くホライズン、地平線でございます。神界の果てとオステリア神は言っていましたが、ここはどこなのでしょう。
天を仰ぎ見ますと、たまに不思議な物体が飛んでいくのが見えます。
はい、よく見るとオステリア神ですね。とりあえず、拝んでおきましょう。
さらに!はい!こちら写真ポイントですよ。なんと、先ほどのオステリア様がピンク髪の超絶美女と戦っております。これは凄い戦いですね。地球の格闘技や剣技なんて目じゃないですね。何せ空とかも飛んでいますから見応えあります。
特撮もびっくりです。
たまに炎や電撃なども飛び交います。これは、もはや怪獣同士の戦いと言っても過言ではありません。
そして、視線を落としますと……。いまとってもエキセントリックな状況です。なんと超絶美人の見知らぬ女神が、眼の前で服を脱ぎはじめているのです。いったいどういう状況なのでしょう?
あらあら……全部脱いでしまいました。私はここで、目を覆って見ないようにします。これは見てしまっては、鼻血ブー状態は免れませんから。でも、ちょっとくらいなら見てもいいでしょうか?
「ふふふ、何で顔を覆っているの?ほら、こっちを見て?楽しみましょう」
「え?ちょ、ちょっと…………」
その女神が、俺のズボンに手をかけてきた。そのときだった。
ドガ!! ズザー!!
「キャア!?痛い!?」
オステリアが、女神の後頭部を蹴り飛ばしたのだった。女神は前のめりに倒れ、その勢いのまま3mほどスリップ走行した。
美女が裸で「く」の字で、地面をコスりながら飛んでいく姿はなかなか見れるものではない。 あ……大事なところが見え……。
「はぁ……はぁ……何をしているのです!息子よ!」
オステリアは俺の頭をパチンと叩いた。
「痛!あ、オステリア様」
「あ、オステリア様……じゃありません!」
突然、目の前に現れたオステリア。苦笑いしているが、ちょっと怒っている。いつの間にこっちに来たんだろ?もはや、瞬間移動だ。こりゃ。つーか、あの勢いでけられた女神、大丈夫か?
「痛ぁーい?なに?何事ぉ?」
前に倒れていたが、後頭部をさすりながら立ちあがった。顔や体に傷もない、服は汚れているが…………
(あ、案外大丈夫だそうだ。さすが神様。あれくらいでは死なないんだ)
「神ともあろう者が、一体なにしてるんです?」
オステリアは呆れ顔だ。その表情は破壊神からもとに戻っている。
「きゃああ!オステリア神!?あんたの男だったの?」
「男……?……違いま……」
「きゃああ!!上位神の男を誘惑しちゃったぁ!!きゃああ!」
そうエロ女神がさけぶと、走って逃げていってしまった。
「おいおい……神界の女神ってあんなの多いのか?」と俺はオステリアに語りかける。
「割と自由な女神が多いのです。男神も似たようなものです」
思っていたより、神様って親しみ深い感じらしい…………。
オステリアは苦笑いをしていた。その表情は柔らかいものに変わっていた。
すると、リリスが走り寄ってきた。
「はぁはぁ……戦いを中断してどこに行く!オステリア!!」
リリスはかなり負傷しているし、疲労していた。肩で息をしているし服はボロボロ、血だらけ。特に左肩の負傷がはげしく、だらりと腕を下げている。
「お、おい。リリス。大丈夫か?」
「はぁ!はぁ、はぁ!ゼェ、ゼェ……。おまえは何しとんのじゃ……」
リリスは、チラリと俺を冷たい眼で見た。
(う、冷たい目……)
そりゃそうだ。まじめに戦闘している横で、俺はほかの女神とチチクリあっているように見えていたわけだから、おっしゃるとおりです……はい。
でも俺が仕掛けたわけじゃないのよ?
「い、いや……これはあの女神が…………」
俺が応えようとすると、オステリアが笑った。
「興が乗りません。あのバカ女神のおかげでテンションが下がりました……」
「な、何を言っている。お前とワシの決着はついておらんぞ!」
憤怒の表情のリリス。しかし、リリスはボロボロだ。勝敗はすでについているように見える。
「ふふ、リリスさん。素晴らしい戦闘力でした。驚きですね。ここまで強くなるとは正直感動です。良い戦いでした!」
パチパチと手を叩く始末、完全にオステリアは戦闘モードから解除されているようだ。リリスも呆気に取られている。
「ところで神崎さ……いえ……ヤマトさん。何をしていたんですか、まったく……」
「いや、あの女神が急に……」
俺が言い訳をしようとすると、オステリアは腕を組みウンウンと勝手に納得しはじめていた。
「まあ、あなたは私の自信作ですからね。もともと龍人は女をメロメロにさせる種族ですし。仕方ないか……」
まさか、あれほどとは思わなかったよ……
「オステリア、貴様ぁ……ワシを無視するな!」
リリスはオステリアを睨みつける。
「ねぇ、リリスさん。戦いは一時休戦としましょう。私はあなたの力をみて提案があります」
「提案じゃと?ふざけるな!」
「まぁ聞いてください。実はここにいるヤマトさん。私の血が半分以上入っています。息子と呼んでも差し障りないでしょう」
すると、リリスがピタリと止まった。そして話を理解したのか。突如として叫んだ。
「な、なんじゃと!?」
驚くリリス。驚きすぎて口をアングリと開ける始末だ。
(リリスさん……美人が台無しですよ!)
「本当です」
ケロっとした顔で、そう追い打ちをかけるオステリア。
「ヤマトがオステリアの息子!?しかし、ヤマトは龍人の匂いがする。れっきとした龍人じゃ!間違いない!」
匂いって何よ……俺、臭い!?
「はい、それも正解です。ヤマトさんは、半分は龍人で半分は神という構成で私が「造り」ました」
それを聞くと、リリスは驚愕の表情をしたまま固まった。
「な、なんてことじゃ。ヤマトフォンカリアースの生まれ変わりが、半神半龍とは…………」
ショックなのか、膝をつくリリス。なんだか俺は悪いことをした気分になっていた。俺、悪くないよね?
「詳しい話は省きますが、このヤマトさん。もとは違う世界で生きていた男性です。カリアースの生まれ変わりというのも確認しています」
「え?俺はそのカリアースという男の生まれ変わりは間違いないんですか?」
「間違いありません」
(そうなんだ……この女神。一体なにを狙っているんだ?)
俺と同じ疑問をリリスと持ったらしい。
「なんと…………オステリア。何を狙っておる。カリアースの魂の男と、お前の血を混ぜ……一体なにを?」
(カリアースとは一体どんな奴だったんだろ)
「ふふふ……言いたくありません。しかし、リリスさん。途中まではあなたと私の希望は同じです」
「同じじゃと?」
「はい、このヤマトさんを強く成人まで成長させたい。あなたはヤマトさんを成長させて龍人族を復興させたい。ほら?成長させるまでは一緒でしょ?」
ニコリと笑う女神。その笑顔はとてつもなく純粋なように見えた。
しかし、俺はその笑顔をみて恐怖した。
(この女神は信じてはいけない…………)
俺はリリスのことは魂が同化してから信頼している。しかし、逆にオステリアは危険だ……何を考えているのか分からないが、すべてを語ってはいない。信じてはいけない……そんな気がした。
「…………何がいいたいのじゃ?オステリアよ」
リリスは顎に手をおきながらオステリアの返事を待った。
「ですから、今は休戦してヤマトさんを成長させるまで協業しましょう」
「なにぃ!?お前などと誰が!!」
「…………数か月後にヤマトさんに危険が迫っていることは知っていますか?」
その言葉を聞いて、リリスは驚いた。
「ヤマトに危険が!?どういうことじゃ!?」
オステリアは、リリスの驚きをみてニコリと笑い、その笑っている眼の中に怪しい光を俺は見た。
「はい、私が未来視したので間違いないです」
「数か月後に何が起きるのじゃ!?」
「……聞きたいですか?リリスさん。それではヤマトさんが成長するまでは私の言うことを聞きますか?」
「……ク……悪神めが……本当なのか?ヤマト?」
リリスが俺にすがるような視線を送る。
「ああ、そうなんだリリス。俺はこのままいくと半年後には殺されてしまうようだ。魔人ってのが俺の家に向かってきているらしいんだよ」
「魔人が……なんてことじゃ。いまのヤマトでは為すすべもあるまい」
リリスは頷いたあと、そして天を仰ぎみた。その表情は、何かを決断するために心を落ち着けているように見えた。そして、やがてオステリアに向き直った。
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