第20話 父の魔法 ※魔法属性資料
馬車での移動は続く。
ガタ……ガタ……
相変わらず揺れが酷い。
ラノベなんかで馬車で移動とかってよく出てくるんだけど、少し憧れはあった……。しかし実際乗ってみると全然良くない。
揺れるし、暇だし……。そもそも、眠れないのよ!こんな揺れで寝れる奴がいたら変態だ。どうすりゃいいのよ!って感じ。
(はぁ、前世のときの電車とかバスって無茶苦茶快適だったんだな)
しみじみと、前世の生活水準の高さを感じる。
この馬車で出来ることと言ったら、気分転換に周囲を見渡してみることくらい。いまは草原地帯を走っているようだ。
(しかし、広い草原だな…………)
ひたすら広い草原だ。今のところ、動物には出会っていない。動物でも見られれば動物園気分で楽しめるんだが、馬車を見ると逃げて行ってしまうらしいので、たぶん見れないだろうとのこと。
「つまんない……」
俺は不平を漏らしてみる、スマホでもあれば時間潰しできるんだが、暇この上ない……。
「そうねぇ、ヤマトちゃんに持ってきた本ならあるけど読む?」
「読む読む!!」
しかし、読み物はじめてみると揺れが激しい馬車で読むことが非常に難しいことに気がついた。
「むぅ」
不平を漏らす俺。
「困ったわねぇ」
マレーシアも弱っていたところで、リカオンが提案をしてきた。
「そうだ、ヤマト。一度、パパの魔法見てみるか?」
「え?みたい!みたい!」
一度、助けてもらったとき、使ってたみたいだけど。なにせ生後1日だから、視力自体がないに等しかった。実は、魔法をちゃんと見たことないんだ。
「ではでは、見てろよー」
馬車を停めて、御者の席から降りるリカオン。心なしか嬉しそうだ。
「あなた頑張ってーー」
パチパチっと手をたたくマリーシア。仲良いよな、この夫婦。
リカオンは集中するかのように、目の前に両手を合わせて詠唱を開始した。
「##############」
何やら高速で詠唱をするリカオン。その表情は真剣そのものだ。やがて詠唱が終わったのか、リカオンは両手を前に突き出すと、大きな声で叫んだ。
【吹き荒れよ、フレイムプロージョン『炎の爆撃』!】
すると、前方に炎の爆撃がおこった。
ドウン……ゴァン……!!
雨あられのように炎が落ちてくる。すごい迫力だ。
「しゅ、しゅごーい!!」
すげー……これなら一帯の魔物を駆逐できるだろう……
これどれくらいのランクの魔法なんだろう?
「あらあら、パパったら。あの魔法使うなんて。よっぽど良いところ見せたいのね。ふふ」
なるほど、パパの威厳を保ちたかったんだな、でも分かる気がする……
ここは褒めておこう。実際すげーし!
「パパ しゅごいーーー! しゅごい!」
「ふふ、パパが魔物から守るからなー。安心するのだ。息子よ」
リカオンは、とても嬉しそうに胸を張った。いや、実際すごいよ。感動したわ。魔法!俺も使いたい。むっちゃカッコイイ!!
父の魔法を見て、俺はすっかり魔法の魅力に取りつかれていた。早く使ってみたいものだ。魔法。
その後、馬車の中で、マリーシアはいろいろ教えてくれた。まずは魔法属性についてだ。
魔法属性は大きく7つに分類されるらしい
【火】【風】【水】【土】【光】【闇】【ユニーク】
これらは、俗にいう【魔法】で、それ以上でもそれ以下でもない。
【ユニーク】とは何かというと……、これには色々ある。【時空魔法】【精霊魔法】【召喚魔法】【エンチャント魔法】などだが、これはごく稀に獲得する人がいるくらいで数が少ないらしい。精霊魔法などは、エルフ族が【ユニーク】として獲得することが多いらしいので、種族特性みたいなものはあるようだが……
ちなみに、
リカオンは【火】1属性持ち
マリーシアは【光】と【ユニーク】2属性持ち
ユニーク属性は、全体魔法使いの中でも1%いないそうだから、マリーシアは素晴らしく珍しい2属性&ユニーク持ちという存在らしい。マリーシアのユニーク魔法は精神干渉系らしく色々使えるみたい。
すげーぜ!マリーシア!
属性の特徴をまとめると、こんな感じ
【火】攻撃魔法が多い
【風】攻撃防御どちらにも使える
【水】防御に強い、攻撃にも使える
【土】防御に強い、攻撃にも使える
【光】治療系の魔法が多い、またアンデッド系の敵にも有効
【闇】攻撃というか精神干渉みたいな魔法が多いみたい
【ユニーク】よくわからない、スキルとの区別も難しい
ユニークは人によって様々だから、どんな性質なのかは、わからないし。
スキルとの区別が、非常に難しいそうだ。
また、
属性は一人1つが一般的、
2つ持てば、王宮お抱え魔法使いレベル
3つ持てば、伝説の勇者レベル
4つ以上持てば、神話レベルなのだそうだ。
ということは、うちのマリーシアは王宮レベル。属性2つ持ち(そのうち1つはユニーク)というのは、まじで王宮魔法使いレベルの人らしい。マリーシアは、今も各国から引き抜きに狙われていたり、命を狙われているみたい。それで夫婦で片田舎に住んでるんだってさ。
やべーぜ!マリーシア!
ちなみに、結界封印の魔法が得意だったレシータ巫女は【ユニーク】のみの1属性だったけど、その特性の希少性から、あれだけの活躍ができたみたい。
余談だが、マリーシアはユニーク持ちということで国から毎月、お金をもらっている。となると、リカオン、お前はヒモなのか?……とそれは冗談で…………リカオンもかなり優秀な魔法使いらしい。剣と魔法を同時に仕える稀有な存在だということ。魔法剣士という分類らしいが、王国に2人もいない存在だそうな。
マリーシア、リカオン。とんでもなく凄い人物にもらわれたらしい……俺は。
さて、魔法属性についての話はこれくらいにして……、そんな話を聞いていたら、バンキン村に到着した。
バンキン村は、うちの村のすぐ隣に位置する中規模程度の村だ。人口は2000人というからそれなりだけど。近くの村のなかで唯一ここには神殿があるという話だ。もともと鉄鋼業が盛んな村で、労働者の村だ。あまり治安は良くないらしい。村に入ってからリカオンの気配がピリピリしはじめた。
妻と子供を連れているから、リカオン的にピリピリするんだろう……。
(ようやく到着したか。つーか、馬車の乗り心地が最悪すぎて本当に疲れた。俺は抱っこされているだけだからいいけど、マリーシアが腰が痛そうだった。いつか、スプリング内蔵の馬車を開発してやる。じゃないと、うちの美人ママの腰が悪くなってしまう)
この村の神殿で、俺は魔力適性が判明するはずだ。リカオンの緊張を放っておいて、俺は期待に胸を膨らませるのだった。




