第19話 右手の紋様
気を失って起きたら右手に変な紋様が出ていた。俺は紋様を見つめながら首を傾げた。先ほどまで、俺は両親と一緒に魔力測定していたはずなのだが、なぜベッドにいるんだろう。
改めて俺の右手にある紋様を見つめる。不思議な紋様だ。複雑で、とても模写しようとして出来るようなものではない。
(な、なんだ?この古代文字みたいな紋様は?正直、キモイぞ……)
誰かに落書きされたのかな……いつ? マリーシアが描くわけないし、リカオンかな……。
(もー……変な落書きしないでよね。)
コシコシ……
しかし、コスっても落ちる気配が全くしない。
(ん?油性か?落ちないぞ?)
コシコシ!……
(もう、めんどい……!やめた!)
全然落ちないので、俺はあっさり諦めた。
(あとで、マリーシアに石鹸で落としてもらおうっと!……というか落ちるよね?)
もし落ちなかったらどうしよう……、プールとかサウナに入れなくなるんじゃないだろうか……。それはそれで困るんだけど。
(まぁ、それはそれとして……俺何してたっけ?)
俺はボーっとした頭を何とかフル回転させて思い出した。
(そうだ!水晶の結果は?!あの後どうなった?)
確か俺は、魔力の大きさを調べていた途中だったはずだ。あれはどうなったんだろう? 両親を説得せねば、俺はエンジストーンに出会えないんだ。俺はマリーシアと魔力測定して魔力あったのか?!なんでベッドで寝てるんだ!?
こ、混乱してきた……。
(状況を整理しよう、こういうときは落ち着いて! えーと。たしか何があったっけ?)
嫌な予感がしてる俺
↓
女神が魔人が迫ってると警告
↓
魔力適性知るためにエンジストーンが必要
↓
隣り村にエンジストーンあり(女神情報)
↓
両親に連れて行ってもらう必要がある
↓
魔力を示すため水晶を使った
↓
使ったら、リリス登場。そして消滅?
↓
起きたら、油性ペンで右手の甲に落書き??
こういう流れだった。最後のところが意味わからない。特にリリスと、落書きが……。
特にリリスが美女だったというところもビックリだったわ。なんか赤銀色の龍にも変化していたし、意味が分からなすぎる……
そうだ、あいつ本当にいなくなったのかな?スキルを解除してみるか!
俺はリリスに会うためにスキルを解除してみることにした。
「…………」
解除してみた結果、そこにオーブなどもないし。当然リリスの声も聞こえなかった。
(まさか本当に俺に魂をよこしたのかな……そんな実感ないんだけど……)
俺はふと手の甲の紋様を見てみた。
(ま、まさかな……)
俺は思いついた想像を振り払うように首を振った。
はたから見たら、ブンブン首をふっている、変な赤ん坊だろう。
(うーん……考えてもリリスはもういないし……ま、まぁいいわ。とにかく!!両親に、俺の魔力がどうだったのか聞こう!)
隣の村までワザワザ行くに値する。俺に魔法の才能があると示せたんだろか……それを確認すべきだ!
俺は、両親に確認を取るべく1階へ降りていった。
ハイハイでね!!
2階から1階に降りる際、必ずマリーシアの、「ヤマトレーダー」に捕捉される。そして案の定、発見された。なので途中から俺は、マリーシアに抱えられなが大広間に入っていった
そこには今日は休日なのか、リカオンもいた。
そして、マリーシアの膝にだっこされながら尋ねてみる。
「ママ、ぼくどうだった?」
「どうって?ヤマトちゃん?」
マリーシアは幸せそうな顔で俺をみつめてくる。
「ぼく、まほうつかえる?」
マリーシアとリカオンは、顔を見合わせた。そして、耐えれないって感じで笑い出した。
「ははは、なれるとも!なれるよ!飛び切りの魔法使いにな!」
「ふふ、うちの子がまさか神話級の魔力をもっているなんて!ママ感動よ」
「どういうこと?ママ?」
「あら、ヤマトちゃん。覚えていないの?水晶がすごかったのよぉ?」
「そうなの……覚えていないや……」
「というか魔法のレベルが高いとか、そういうレベルじゃなかったけどな!ははは」
リカオンが意味深に笑った。
実際、俺が覚えているのはリリスや龍が出てくるシーンだけで、水晶がどうとか覚えていないんだ……。両親は見たらしいけど、つまり光ったってことでいいんだよな!?
ということは、隣村に連れて行ってくれるってことだよな?
「良かったぁ、じゃあ……けんさにいける?」
「そうね!あなた、さっそく魔力適性を調べに、 隣り村のバンキン村に行きましょうよ!」
バンキン村……すげー名前の村だな!
「そうだな、じゃあ来週にでも行こう」
「やったー」
「それでね、ママ。この右手の絵なんだけど……」
俺は右手に出現した紋様の相談をついでにすることにした。
「え?絵なんてどこになるの?」
「え?ほら……ここにビッシリと!」
マリーシアは、俺の右手をジっと見つめるが首を振るばかり。リカオンも同じ反応だった。
「何も見えないぞ?ヤマト?」
不思議なことに、この紋様は俺にか見えないようだった。
(ま、まじか……これ一体なんなの?)
紋様について、一抹の不安を覚えることになったが、俺はとうとう隣りの村へ行けることになった。どうも両親は、俺の魔力が神話級とか話しているのが気になるが、
(サ、サウナ入れるよね?) とくだらない心配をする俺であった。
翌週になり、俺たち家族は隣の村バンキンまで移動することになった。移動手段は馬車だ。
そうして、俺達家族はいま馬車に乗って、馬車の中で母親に抱きかかえられながら移動している。馬車は結構揺れるから舌を噛むので、あまり会話はない……。
これがまた揺れるんだわ!
ガタガタ…………ガタガタ!
(うぅぅっぷ!!!こ、この馬車揺れすぎじゃね??)
ガタガタ…………ガタガタ!
(ちょー気持ち悪いんですけど……)
とりあえず、停めてもらって休憩を申請してみよう…………。
「き、きもちわるいよ……パパ、ママ……」
「はは……あとで休憩を取ろう。もう少し頑張れ!」
不満を述べてみるが、両親は全然平気そうだ。つーか今 休憩くれよ……。
でも、もう少しは我慢できそうだ。御者でもある父親の判断に任せよう。
そう、御者を雇う金がもったいないので、リカオンが自分で手綱を握っている。しかし慣れているのか……馬2頭に上手なもんだ。
なんでも出来るんだな……あんた…………。
「パパしゅごい……」と一応褒めてみる。実際すごいよ、尊敬……。
すると、リカオンは少し嬉しそうな顔をして俺の頭を撫でると、前を向きながら、呟いた。
「パパとママが冒険者だった頃はよく乗ったもんさ」
「”ぼーけんしゃ”だったの?」
演技しているわけではなくて、俺の口調が幼いのは顎や口の筋肉が発達していないせいだ。
「そうだぞぉ!二人とも一応Aランク冒険者だったんだ。今もAランクだよ」
「す、すごーい。(やば……そろそろ限界だわ)う、うぇぇぇ 」
「だ、大丈夫か?ヤマト?」
やっと馬車を停めてくれた。俺はそこで、何回か吐いた。休憩もそこそこに先を急いでもらった。あまり時間をかけると魔物が出る時間帯になる……早く行かなければならない……。
それに早く俺は魔力適性検査をしてみたかった。ラノベなんかでは、結構チートぶりに驚かれる見せ場でもあるからワクワクするんだ。
俺は頑張った。
隣村まで、もう半刻の位置。御者の席からリカオンが声をかけてくる。
「ヤマト、エンジストーンで、全力出すなよ?米粒くらいの魔力でいいんだからな?大騒ぎになってしまう」
リカオンは、何回もそれを言う。つーかそれ言われても、意味わかんないんだよね。
あのとき、俺はそんな魔力出してた?俺は戸惑いながら、一応返事だけしてみる。
「うん」
まぁ、なんとかなるだろう。行けば判るさ!迷わず行けよ!!




