むしろ己の醜さを告白しています。
おかしなことに急に持てだした私でした。バンコクを出てバンコクに戻るあいだ、東南アジアを反時計回りし終えると、知らぬ間に男性の人気者になっていました。オープン・カフェで食事していれば、相席していいかと聞きながらナンパして来ます。お寺の境内でぼうっとしていると、写真を撮らせて欲しいと言います。渡し舟に乗れば、一緒に半日観光しないかと誘われます。カオサンでは特に持てました。ビエンチャンに滞在中の数日間も二度三度そういう事があって、決して悪い気はしませんでした。けれどもカオサンあたりにいると毎日毎日当たり前のように声がかかります。多くは欧米人のバックパッカーです。バックパッカーと言っても、下は同じ年から上は六十才くらいまで。一番多かったのが、「これから何々ホテルのバーに行かないか」というのです。もちろん全部断りました。でも何だかアイドル気分でした。あさましくも、やがてアイドル気取りする自分がバンコクのバックパッカー街を歩いていました。
カオサン・ロードに宿をとっていた一週間たらず、実に数十回のナンパにあったに違いありません。いえ、自慢しているのではないのです。むしろ己の醜さを告白しています。それまではコンプレックスのかたまりだったのが、いったん声がかかりだすと、「本当に私はそれ程の女なのではないか。今まで気づかなかっただけでないのか」といった考えに頭が満たされ始めたので。クリスとアラキさんが特別なのではない、と結論付け始めたので。そして、以前アラキさんが私をほめて投稿してくれたページに、カオサンのネットカフェからアクセスしたりしていました。
http://reviews.bookstudio.com/author/10794/10685/4.htm




